コロナ禍は終息しつつあるのかウィズコロナの状況で、まだ比較的大きなシンポジウムや会議が開催し辛くなっています。そのような中で、シンポジウムをオンラインのビデオ配信で実施してみましたので、その構成等を簡単に説明します。使用したツールは、Blackmagic Design ATEM Mini Pro、ZOOM、YouTubeです。
シンポジウムの規模・条件
想定したシンポジウムの規模等は次のとおりです。
- 会場とライブ配信のハイブリッド開催
- 登壇者は資料をスクリーンに映写して説明
- 会場の参加者は登壇者を中心に20名前後
- ライブ配信の視聴者は200名~300名程度
ここで一番気になったのは、映像と音です。会場では講演者がプレゼン資料をプロジェクターに映写し、マイクを使用して説明します。会場では映写した画と声が同じタイミングで出ますが、配信先で音ズレが発生しないかが心配でした。
機器等の構成
全体の構成と重要なツールについて説明します。
次の図がライブ配信を行った全体構成です。重要なツールとしては、「Blackmagic Design ATEM Mini Pro(以下ではATEM Mini Proと称します)」、「ZOOM」、「YouTube」があります。
なるべくデータの流れに沿って説明します。
- ATEM制御用PCとは、「ATEM Mini Pro」を制御するためのソフトウェアです。「ATEM Mini Pro」のハードウェアからも操作できますが、このソフトウェアの方がよりきめ細かな設定ができます。事前にPC(パソコン)にインストールしておきます。
- 配信用PCでは、ZOOMとYouTubeを連携してLAN経由で外部へ配信されます。
- 演者撮影用カメラは、講演者を映すカメラでHDMIインターフェースで「ATEM Mini Pro」に繋がります。
- プレゼン資料用PCは、会場でプレゼン資料を操作するためのPCです。ここからの出力は、HDMI分配器により、「ATEM Mini Pro」とプロジェクタに出ていきます。なお、分配器を介さずにプレゼン資料用PCから「ATEM Mini Pro」へHDMI入力し、HDMI出力をプロジェクタに繋げても良いと思います。この場合は、もう1台のPC(幕間用画像を設定したおくとか)を用意して「ATEM Mini Pro」の出力と切換器(あれば)経由でプロジェクタに繋げる方法もあります。
- 演者用マイクは、講演者のマイクと会場のスピーカーが繋がっており、そこからの音声を「ATEM Mini Pro」に入力します。「ATEM Mini Pro」にはマイク入力端子が2つあり、その1つを使います。
- 講演者の映像、マイク、プレゼン資料用PCからのデータは、HDMI経由で「ATEM Mini Pro」に入力され、必要に応じてピクチャー・イン・ピクチャーなどを設定し、HDMI出力端子からモニタとUSB-C経由で配信用PCにデータが渡ります。なお、「ATEM Mini Pro」には、Ethernet I/Fコネクタがありますので、ルーターがあれば直接LANに繋げる事もできます。
- モニタは、「ATEM Mini Pro」で設定された画像を確認するためのものです。Proはマルチビューが可能で、各HDMI入力画像や設定後の画像等が同時に確認できます。
なお、ZOOMとはビデオ会議用のツールで、有料版はYouTubeと連接する事ができます(無料版のZOOMはYouTubeと連接できません)。
少しお金がかかりますが、「ATEM Mini Pro」とZOOMとYouTubeがあれば、ネットでもいろいろと使用例が出ており、素人でも比較的容易にライブ配信を実行する事ができます。
この中で、今回のキーになった「ATEM Mini Pro」を簡単に説明します。
優れものBlackmagic Design ATEM Mini Pro
次の写真が「ATEM Mini Pro」の側面のインターフェースの部分です。
機能を一言でいえば、いわゆる「ビデオスイッチャー」です。HDMI入力が4つあり、4つまでのカメラやPCが接続でき、HDMI出力から加工・同期がとられたデータとして出ていきます。
例えば、HDMI入力1に自分を映したカメラを繋げ、HDMI入力2にPCのゲーム画面を繋げるとゲーム画面上にピクチャー・イン・ピクチャーで小さく自分を映す事が可能です。スイッチを押すだけで、そのように設定されるのでとても簡単です。
USB TypeC端子がありますので、PCや記録用ハードディスクと繋げる事ができます。
Ethernetの端子がありますので、スイッチングハブを介してPC、ネットワーク等と繋げる事ができます。
マイク入力端子も2つあり、切り替え可能になっています。
ご興味があれば下記サイトからご覧ください。
注意点
とても簡単にライブ配信できるのですが、いくつか注意点があります。
- ZOOM経由でYouTubeライブ配信すると、画面右下に「ZOOM」のロゴが出てしまいます。気になる方は、ZOOMは使わないで他のソフトウェアを使わなければなりません。
- 会場のスクリーン映像・音声と比較するとライブ配信先の映像・音は10秒前後遅れます。このため、双方向で対話を行う会議には向きません。
- マイクからの入力設定には、マイクとラインの2種類ありますが、マイクを設定すると雑音も増幅されて全く使えません。必ずラインを選びましょう。
- リアルタイムに配信していると会場参加者のPCが音を拾いハウリングを起こす可能性があります。会場参加者にはマイクオフを事前にお願いしておく事が必要です。
さいごに
ライブ配信では、失敗は許されませんので、何度かリハーサルを行いました。私を含めてスタッフ全員初めての事なので、分かるまでが少々手こずりましたが、一旦構成が決まるとあとは驚くほど簡単でした。 ATEM Mini (またはPro)の使用方法等はネットのブログやYouTube等で沢山配信されていますので、これらの情報もとても助かりました。感謝ですね。
私は、コンテンツが無いのでユーチューバーは、まだまだ無理ですが、10万円ぐらいで一通りそろいますので、チャレンジしてはいかがでしょうか。
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