積立投資信託におけるアセットアロケーションと検討方法

定年後の生活を支える退職金(一時金)については、特にコア資産の部分の運用について、ある程度のインフレを考慮しつつもリスクを抑えるように慎重に実施しなければなりません。このため積立投資信託が一つの候補になります。コア資産を積立投資信託で運用する場合のアセットアロケーションの検討方法について説明します。

アセットアロケーションとは(資産毎の配分)

アセットアロケーションとは、各アセット(資産)の運用におけるリスクとリターンを考慮して各資産の割合を決めることです。

一般的にリターン(利益)が大きいものはリスク(価格の±変更幅)が大きくなり、リターンが小さいものはリスクも小さくなります。これを自分に合ったリスクでリターンを最大限にすることがアセットアロケーションの目的になります。

リスクを抑えるためにアセット毎の相関を考慮

リスクを抑えるためには、アセット毎の相関をみて、逆相関(逆の動きをする)のものを適度に組み込むことが有効です。下記の図は日本株式から見て各アセットの相関を見たものです(アセットの名称が異なりますがご容赦ください)。一般的に日本株式は国内債券と逆相関がありますので、日本株式が上がると債券は下がりますので(逆に日本株式が下がると債券は上がる)。下記の図にはありませんが、金も日本株式と逆相関をとる傾向にあります。

このため、アセットアロケーションには、国内債券と金を必ず入れることにします。

アセットアロケーション検討フロー

アセットアロケーションを決める考え方の一例は次のとおりです。

  1. 目標を決める。例えば、リターン5%以上、リスク10%以内とする。
  2. 分散する(アセット分散⇒債券/株/金、地域分散⇒国内/外国、時間分散⇒積立)。
  3. 日本株式と逆相関の日本債券と金は必ず入れる。
  4. 金は10%とする。
  5. 購入候補であるアセット(今回は積立投資信託)のリターンとリスクを調査する。
  6. 各アセットの組入比率を決定する。
  7. 組入比率とリターン・リスクにより加重平均した全体のリターン・リスクを計算する。
  8. 全体のリターン・リスクを見て、必要に応じて再度2から試行し、最終的な組入比率を決定する。

アセットアロケーションの決定

次の表は、アセットアロケーションの検討に使用したエクセル表です。

アセットのリターン/リスクの値はモーニングスターのもので、過去5年間のデータです。組入比率はアセットの積立購入時の割合で、この値は私が現在運用している比率です。加重平均の結果、リターン4.2%(目標未達)、リスク9.8%となっています。

また、表右側の「国内/外国」、「債券/株式/金」は、組入比率に応じた各々の割合です。つまり、アセットのリターン/リスクの値がこれで良ければ、組入比率を入力するだけで「積立投資信託全体のリターンとリスク」、「国内:外国」比率、「債券:株式:金」比率が自動計算されます。

このエクセル表は本ページ下部にダウンロードボタンを入れておきましたので、よろしければお使いください。

我が家の配分比率

上記表に記載済ですが、最終的に決めたアセット(資産)の配分比率です。

結果と他のアセットとの比較

これも上記表に記載済ですが、結果と他のアセットのリターン・リスクは次のとおりです。

残念ながら、リスクは目標値の5%を達成できませんでした。定年後の大切なお金ですので、リスクを10%以内に抑えた結果です。また、時期を見て再チャレンジしたいと思います。

今回使ったエクセル表(サンプル)

下記からダウンロードできますので、ご活用ください。

最後の判断は

積立投資信託を題材にアセットアロケーションの検討方法を説明しました。もちろんこれは積立でなくとも同じように検討が可能です。アセットの商品でリスク・リターン値が開示されているものは、それらを活用することにより、なぜそれを選んだかの根拠が明確になり、少し安心します。

ただ、商品によっては短い期間でリスク・リターン値を算出していますので、その期間の動向に大きく左右されます。上記の表でも、ハイイールド債券が良い位置になっていますが、最近の値上がりが寄与しています。なるべき期間の長い類似商品の値を使ってください。また、このリスク・リターン値は、あくまで過去のデータですので、将来を約束するものではありません。

これらのデータを基に最後に判断するのは自分自身ですので、積立とはいえ状況判断が求められます。

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