投資信託の費用としては主に信託報酬が記載されています。ただ投資信託によってはファミリーファンド方式をとり、集めて資金をさらにマザーファンドで運用しているものがありますので、これらの信託報酬も費用として加算され、これが実質的な費用になります。今回は、世界株式型と米国株式型で実質的な費用を比較してみたいと思います。
多くの投資信託が採用しているファミリーファンド方式
ファミリーファンド方式とは、投資信託(当該ファンドをベビーファンドといいます)で集めた資金をさらにマザーファンドと呼ばれる投資信託やETF(上場投資信託)に投資し、実質的な運用をマザーファンドで行う仕組みです。
世界株式型の比較
まずは、世界株式型の例として、SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま)、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を比較してみます。
区分 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド 愛称:雪だるま | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
---|---|---|---|
委託会社 | SBIアセットマネジメント | 楽天投信投資顧問 | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2022.1.31 | 2017.9.29 | 2018.10.31 |
基準価額 | 11,093円 | 17,506円 | 18,092円 |
純資産 | 23,236百万円 | 285,633百万 | 1,087,882百万円 |
信託報酬 ※ベビーファンド | 0.0638% | 0.132% | 下記に含む |
運用管理費用 (含.信託報酬) | 0.1102%程度 | 0.195%程度 | 0.11330%以内 |
信託財産留保額 | 0 | 0 | 0 |
ベンチマーク | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)等 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)等 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込、円換算ベース) |
マザーファンド | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF、 SPDR ポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国) ETF、 SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツ ETF | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF、 バ ン ガ ー ド ・トータル・ストック・マー ケットETF、 バ ン ガ ー ド ・トータル・インターナショナル・ストックETF | 外国株式インデックスマザーファンド、 新興国株式インデックスマザーファンド、 日本株式インデックスマザーファンド |
三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズは、同じような投資信託であれば業界最安値を実現する事を標榜していますので、さらに運用管理費用を抑えていく可能性があります。この期待もあるのか、純資産は他と比べて一桁大きなボリュームとなっています。
米国株式型の比較
次に米国株式型として、S&P500指数に連動すSBI・V・S&P500インデックス・ファンドとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、NASDAQ100指数に連動するニッセイNASDAQ100インデックスファンドを比較してみました。
区分 | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | ニッセイNASDAQ100インデックスファンド | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
---|---|---|---|
委託会社 | SBIアセットマネジメント | ニッセイアセットマネジメント | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2019.9.26 | 2023.3.31 | 2018.7.3 |
基準価額 2023.5.24 | 18,698円 | 11,143円 | 20,407円 |
純資産 | 893,444百万円 | 1,795百万 | 2,064,222百万円 |
信託報酬 | 年0.0638% | 下記に含む | 下記に含む |
運用管理費用 (含.信託報酬) | 0.0938%程度 | 0.2035% | 0.09372%以内 |
信託財産留保額 | 0 | 0 | 0 |
ベンチマーク | S&P500指数(配当込、円換算ベース) | NASDAQ100指数(配当込、円換算ベース) | S&P500指数(配当込み、円換算ベース) |
マザーファンド | バンガード・S&P500 ETF | ニッセイNASDAQ100インデックスマザーファンド | S&P500インデックスマザーファンド |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの「V」はバンガード社のETFをマザーファンドとしているシリーズを現わしています。eMAXIS Slimシリーズの一つであるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が最も純資産が大きくなっています。
また、ここでニッセイNASDAQ100インデックスファンドを挙げているのは、過去の長期的なチャートを見るとNASDAQ100が最もパフォーマンスが良いためです。しかも、従来のNASDAQ100指数に連動する他のファンドが運用管理費用0.4%以上だったのに比べて、最近設定(2023.3.31)されたこのファンドは運用管理費用0.2035%と大幅に低く抑えています。少しは持ちたい投資信託の一つです。
さいごに
今回あげた投資信託はどれも魅力的だと思いますが、どれを保有するかは、その人の投資方針に依ります。比較的若い人で長期に積み立て可能な人は、米国NASDAQ100指数に連動するもの、定年後であまり長期投資できない人は、全世界株式型の投資信託で安定を狙うなどが考えられますが、あくまでその人の考え方次第です。株式型はリスクが大きい傾向にありますので、納得できなければ投資すべきではありません。
私の場合は、既に定年後の身ですが、SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま)とニッセイNASDAQ100インデックスファンドを余裕の範囲で少しづつ購入しています。
定年後とは言え、まだまだ人生は続きますので、皆さんも余力の範囲で検討されてはいかがでしょうか。
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