中国恒大集団のデフォルト懸念や米国テーパリングの足音、コロナ禍終息の遅れ等により、世界の株式市場が軟調になってきています。老後資金を安定化させるためには、株式や投資信託の投資がある程度必要ですが、市場が不安定になると浮足だってしまいます。そのような時に精神安定剤となるのが金(ゴールド)です。最近の金の動向と留意点を記載します。
金を持つ意味
昔から資産は分散して保有すべきと言います。資産としては、例えば、預貯金、株式、不動産、金などに分散する方法があります。
預貯金は、今の超低金利ではほとんど利息が付かず、見た目の金額が安定していても少しのインフラで実価値が目減りしていきます。
株式は、大きく上がる場合もありますが、暴落して長く底で低迷する場合もあります。長い人生を考えるとインフレに耐え、資産の延命を図るためには投資必須と考えていますが、これに大半の資金を投入するのはリスク大です。
不動産は、購入価格が高く安定していますが換金性が悪いので、いざお金が必要な時には困ります。それでもREITで手軽に投資するという方法もありますので、ある程度保有しておいた方が良いかもしれません。
金は、預貯金のように利息や株式の配当が付きませんが、希少性から株式と比較すると価格が安定しています。昔からよく金は資産の5~10%程度保有しておいた方が良いと言われています。
今は株式市場が中国・米国・コロナ禍等不安定要因で低迷していますので、外国為替や米国株式市場等との比較を通してあらためて金の価値を考えてみたいと思います。
金と外国為替
金の日米価格、外国為替、NYダウ平均等でいくつか比較して見たいと思います。期間と記号の意味は次のとおりです。
- 期間・数値:2019年11月~2021年9月の月平均値又は終値
- oz($):金1トロイオンス当たりのドル価格
- g(¥):金1グラム当たりの円価格
- NYダウ($):ダウ・ジョーンズ工業株価平均のドル価格
- TTS(¥):為替T.T.S.(Telegraphic Transfer Selling rate)、米ドルを販売する際の円換算レート
まずは、oz($)、g(¥)、NYダウ($)、TTS(¥)を全て表記したグラフです。左軸はNYダウ、oz、gでドル数値ですが、gのみ円の数値です。また、右軸はTTSの円数値です。
TTSは104円~115円に変動し、NYダウは一時的な落ち込みはありますが順調に上昇しています。 oz、g の金価格はスケールの関係で何となく上がっているのかなとの感じです。
金の日米価格比較
金の価格変動が良く分かりませんでしたので日米金価格を焦点にしたグラフが次のものです。
左軸がozでドル、右軸がgとTTSで円です。金価格はドル建ての国際価格で決まりますので、円建てにする場合は為替レート(この場合はTTS)が関係してきます。しかし、先のグラフでは変動が見えたTTS(104円~115円)も金価格のトレンドで見れば、ドル建て(oz)も円建て(g)でも同じような動きだという事がわかります。TTSのグラフも表示されていますが、スケールの関係もあり、このようにで平坦にみえます。
金価格(円建て)とNYダウの比較
次は金価格と株式市場との比較です。まずは、円建ての金価格とNYダウの比較チャートです。
左軸は1g当りに円建て金価格、右軸はNYダウのドル数値です(ついでにozも表示していますが、スケールの関係でであまり意味がないですね)。
金価格と株式は一般的に逆相関(上昇・下降が逆の関係にある)と言われていますので、その傾向がみられます。しかしそれでも両者とも上昇トレンドを続けているのが面白いですね。共に上がり・下がりを続けながら上昇を続けています。
金価格(ドル建て)とNYダウの比較
同じく金価格と株式市場との比較ですが、今度はドル建て金価格です。 上記同様に逆相関の傾向にありますが、為替の影響がありませんのでより傾向が顕著に出ています。ドル⇔円は相反関係にありますので、逆相関を少し打ち消す作用が働いているからです。
それでも同様に両者とも上昇トレンドを続けています。
留意点
今回は過去2年間のトレンドなので短期間ですが、金価格、株式市場が逆相関の状況が多く見られ、かつ共に上昇トレンドを継続しています。このため、両方を保有する事により、例えば株価が下落したとしても金を保有している事により損失をある程度防ぐことができそうな感じです。これを含めて留意点は次のとおりです。
- 金は株式と逆相関にありますが、株式同様に上げ下げ(逆相関なので金は下げ上げ)を繰り返して上昇トレンドを継続していることからある程度保有した方がリスク軽減になりそうです。
- 金は、一般的に保有資産の5~10%程度保有するのが良いと言われています。
- 金に限らず余裕を持って購入しましょう。このためには日頃から注視して下値を拾っていくか積立投資を考えましょう。
金の投資方法については、次のサイトでも一部まとめていますので、ご覧ください。
一時期2,000ドル/トロイオンスを超えた金価格ですが、最近では軟調な状況が続いています。しかし、ある程度金に投資・保有することは、資産の安定に繋がります。定年後の保有資産の保全でも役に立つ金の投資について考えてみました。金(ゴー[…]
さいごに
定年後になっても、まだまだ株式投資を続けています。自分の寿命はわかりませんので、極力お金にも働いてもらわなければなりません。しかし、リスクの大きな株式投資ですので、安全性を少しでも高めるために金投資も必要だと考えています。
今回、株式市場が危うい動きを続けていますので、あらためて金の動向を調べて少し安心しました。しかし何事も絶対はありませんので、精神的にも金銭的にも余裕を持って運用する事が肝要だと思います。
大きな失敗は厳禁です。あくまで余裕も持って臨んでいきたいものだと考えています。
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