定年後の金投資を考える、下降トレンドでの老後の資産防衛

一時期2,000ドル/トロイオンスを超えた金価格ですが、最近では軟調な状況が続いています。しかし、ある程度金に投資・保有することは、資産の安定に繋がります。定年後の保有資産の保全でも役に立つ金の投資について考えてみました。

金(ゴールド)の最近の動き

次の図は、最近5年間の金のドル建て価格推移を現したチャートです。

金の5年間の週足チャート(チャート広場から)
【金の5年間の週足チャート(チャート広場から)】

2018年中頃から約2年間で800ドル程度上昇し、2020年8月には2,000ドル/トロイオンスを超え、最高値を更新しました。その後、下落基調となり軟調な状況です。

下値は十分確認できていませんが、新型コロナウィルス後の経済復活が期待される反面、地政学的なリスクが増大しているようで、非常に不安定な現状です。

このような時にリスクヘッジとして期待が大きくなるのが金ですので、真剣に考えても良いように思います。

資産に組込む理由

金はどこの国でも通じる実体のある資産です。保有する事により預貯金のように利息が付きませんが、それでも財産の内、5%から10%程度は保有した方が良いと言われています。

金が買われる理由を整理すると次のとおりです。

  • 通常は、金価格とドル建て株式とは逆相関があります。このため、資産全体のリスクを低減するためにポートフォリオの一部として保有します。
  • 米国株式市場が最高値を更新しており、投資家は高所恐怖症のきらいがあります。株価の急落に備えたリスクヘッジのために保有します。
  • 新型コロナウィルスの影響により米国を中心に世界的な財政出動でお金が投資先を求めています。米国株式市場の活況もこれが原因の一つですが、その一部が回帰する可能性があります。
  • 金は利息を生みませんが、世界的な金融緩和により債券等が低金利になっています。その結果、相対的に金の価値が上がっています

他の指数との比較

ドル建て金価格、米国株式指数、ドル円相場との相関をみていきたいと思います。

通常の相関

次の表は、一般的に言われている相関関係です。実際の動きをみると必ずしもこのようになっていない場合もあります。

金価格米国株式指数ドル円
↑(上昇)↓(下落)↓(下落)
↓(下落)↑(上昇)↑(上昇)
【通常の相関】

金価格と米国株式指数との関係は逆相関です。金価格が上昇する時は米国株式指数は下落し、金価格が下落する時は米国株式指数は上昇します。

つまり、米国株式指数が下落する時は資金が金に逃げるという事です。

金価格とドル円との関係は逆相関です。金価格が上昇する時は相対的にドルが安くなっている事と等価ですので当たり前ですね。

ドルと円は為替ですので相対的に逆に動きます。つまり、金価格と円貨でみると順相関となります。ドル建ての金価格が上昇しているときは円高傾向にあります。

実際の動き

次の図は、最近5年間の金価格(米国ETFのiShares Gold Trustのチャート)、ダウ平均株価、米ドル円交換レート(USD/JPY)を比較したものです。

金価格とダウ平均株価とドル円相場の比較(Google Financeから)
【金価格とダウ平均株価とドル円相場の比較(Google Financeから)】

金価格(iShares Gold Trust)と(ダウ平均株価)をみると、2019年中頃から2020年始め頃までは同じような動きをしていますので、通常の傾向とは異なります。しかし2020年後半からは通常の逆相関のような動きになっています。

今後、通常の(いままでの常識であった)逆相関の傾向が続くのか注視したいと思います。逆相関が続くとすると米国株式市場が急落する時に金価格は大きく上昇する場面が来るかもしれないという事です。

なお、ドル円の為替については、上下5%ぐらい変動幅で動いており、2019年頃からは他指数にそれほど影響を与えていないようです。

金への投資方法

金へ投資する方法としては、現物、純金積立、投資信託、国内外ETF等いろいろあります。これらについて簡単に説明し、私の例を紹介します。

金投資の種類

主な投資の方法としては、次のとおりです。

  • 現物:金のコインと金地金です。これらは、買と売で価格差があります。コインの場合は、プレミアム価格が付きますので、売り買いとも少し高くなります。大量に保有する場合は保管が心配です。銀行等に預けると別途保管料がかかります。
  • 純金積立:例えば、田中貴金属の純金積立は3,000円/月から可能です。手軽な方法ですが、積立手数料が購入額の1.5%~2.5%と少し高いです。
  • 投資信託:ノーロード(売買手数料無料)のインデックス型投資信託があります。保有する限り費用として信託報酬が発生します。例えば、SMTゴールドインデックスオープンでは、信託報酬率0.275%です。
  • 国内ETF:日本市場に上場されているETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)です。株式同様に売買手数料が必要です(最近では買付手数料を無料にしている証券会社もあります)。また、投資信託同様に信託報酬が必要です、例えば、SPDRゴールド・シェアの信託報酬率は0.4%です。
  • 米国ETF:米国 NYSE Arcaに上場しているETFです。米国に上場されているので米ドルが必要ですので外国為替取引等で円貨を米ドルに換えてから購入する必要があります。例えば、SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(ティッカーコードGLDM)があり信託報酬率は0.18%で最も安価です。

金に関する商品については、次の記事でもまとめていますので、よろしければご覧ください。

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金の投資方法

私の場合

現物は保管が大変ですので、退職記念に金貨を家族にプレゼントで購入した程度です。

投資信託は市況を気にしなくともよいので積立をやっています。以前は、「iシェアーズゴールドインデックスファンド」(信託報酬率0.5085%)でしたが、さらに信託報酬率の低い「SMTゴールドインデックスオープン」(信託報酬率0.275%)に変更しました。

国内ETFは、出来高が比較的少ないのでやっていません。

海外ETFは、ドル円交換レートが1ドル≒100円の時にレバレッジ1倍で購入し、現引き(FXのドルを現物のドルで受け取ること、SBI証券で可能)した米ドルで「iシェアーズ ゴールド・トラスト(ティッカーコードIAU)」(信託報酬率0.25%)を購入しました。今なら「SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(ティッカーコードGLDM、信託報酬率0.18%)」を購入すると思います。

何を一番に進めるかと聞かれるとやはり手軽で積立可能な投資信託でしょうか。

なお、私は楽天証券とSBI証券を利用させていただいています。ご興味があれば次の公式サイトをご覧ください。

→SBI証券公式サイトを見る

→楽天証券公式サイトを見る

さいごに

いつの世もそうなのでしょうが不安は尽きません。ポストコロナやポストオリパラでは、何があるのでしょうか。地政学リスクも怖いですし、増税も待ち受けているのかもしれません。

定年後になり、保有資産を取り崩すにしてもある程度は資産に働いてもらわなければなりません。そのような中で、少しは金(ゴールド)に投資する事も大切な財産を守る一つの有効な手だと思います。

自分では避ける事のできない外圧もありますが、何かあった場合でも十分リカバリーできる最善の道をこれからも探していきたいと思います。

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