年金生活が始まる老後は、収入が増える可能性はほとんどありませんので、一層お金は大切にしなければなりません。市中銀行とネット銀行を活用し、お金の移動の際に極力手数料を支払わない方法を我が家を例に具体的に説明します。なお、これは年金に限らず給与でも利用できる方法です。
家計の事情
家計においていろいろな場面でお金を移動しなければなりません。しかし、その都度手数料を取られては、定期預金でも超低金利の今の時代に割が合いません。
ネット銀行では、預金高や取引回数に応じて一定回数手数料が無料になるサービスを提供しているところもあります。
ネット銀行の活用による手数料無料やポイント付加の特典については次の記事でまとめていますので、ご興味があればご覧ください。本稿の概要版が下記記事の位置付けです。
楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀行では、給与や年金の口座振替を申し込むとATM引き出し手数料や振込手数料を無料にしてくれたりやポイントを付与してくれるサービスがあります。ただ、今まで活用していた市中銀行も公共料金などを口座振替[…]
一方、いままでクレジットカードの引き落としを市中銀行に設定していたり、ネットに不慣れで近くの市中銀行を利用したいという人も居られると思います。
我が家もその部類で、クレジットカードの多くは三菱UFJ銀行を利用しています。またこれから始まる奥さんの年金は近くのJAバンクにしたいと希望しています。
さらに私の場合は、最近の利用はほとんどネット銀行とキャッシュレス決済ばかりですので、市中銀行とネット銀行の両方を活用する方法を考え、整理してみました。
以下、金額は適当ですが、具体的にその方法を説明していきたいと思います。
我が家のマネーフロー
家計の収入から支出において市中銀行とネット銀行を活用したマネーフローについて説明します。
仮定
前提条件として次を仮定します。
- 夫(私:証券等運用係)と妻(奥さん:生活費係)の管理する銀行口座を分けます。
- 私はネット銀行の楽天銀行と住信SBIネット銀行を利用し、奥さんはJAバンクと三菱UFJ銀行を利用します。
- 収入として、私の老齢年金(基礎年金・厚生年金・加給年金)2,000,000円/年、企業年金60万円/年、その他収入8万円/月があります。奥さんの老齢年金はまだ始まっていません(代わりに加給年金が付いています)。
- 定年後も会社の健康保険に入り(特例退職被保険者制度)、健保組合に健康保険料(+介護保険料)25,000円/月を納めます。この時、健保組合の振込先指定金融機関はゆうちょ銀行のみで変更不可です。
- 証券等運用用のマネーフローは含めません。
家計のマネーフローと個別説明
ボックスの見方
全体のマネーフローはお金の区分をボックスで表し、ボックス間の関係でマネーフローを示しています。ボックスの見方は次のとおりです。
- 区分:収入の種類、銀行名、カード名等を表しています。
- 入出金額:入金額、出金額、経由する金額等を表しています。
- 説明:お金の主な内容を説明しています。
- 入金又は締日:入金日、クレジットカードの場合は締め日を表しています。
- 出金又は引落日:出金日、クレジットカードの場合は引き落とし日を表しています。
全体のマネーフロー
次の図が、家計のマネーフローの全体図です。
このマネーフローの特に強調したい特長は、一旦設定すると後は完全自動だという事です。適宜確認は必要ですが、いちいち人手で振込処理をしなくとも良くなります。
黄色のボックスが収入(老齢年金、企業年金、その他収入)になり、月当たりでは、280,075円となります。
この収入から、健康保険料等25,000円/月が自動的に引き落とされますので、生活費(ベージュ色のボックス)として使えるお金は月当たり、JAバンクの128,904円と三菱UFJ銀行の126,171円となります。
我が家では、この生活費等の部分が奥さんに見てもらう金額になります。
個別説明
主な区分と入出金については次のとおりです。
老齢年金
65歳から支給される老齢年金には、老齢基礎年金、老齢厚生年金、そして奥さんが65歳未満であれば加給年金が加算されます。支給は本人が指定した口座に「偶数月の15日に前2月分」が振り込まれます。
そして振込時に所得税と復興特別所得税として7.6575%が源泉徴収されます。
ここでは、月当たりの入出金として記載した方が分かりやすいので一月分の支給金額として記入しています。つまり、次の計算式で算出した金額です。
- 老齢年金一月分=年間支給額2,000,000円/12月×(1-7.6575%)
老齢年金の振込先は、特典のある楽天銀行にしました。
企業年金
私のいる会社は企業年金制度があり、支給は本人が指定した口座に「偶数月の1日に前2月分」が振り込まれます。老齢年金同様に源泉徴収有りで一月分の支給される金額を記載しています。
- 企業年金一月分=月当たりの支給額50,000円×(1-7.6575%)
企業年金の振込先は、従来から生活費用等で利用している三菱UFJ銀行にしました。
その他収入
その他収入として、少し働くと仮定しています。この収入も振込先は三菱UFJ銀行にしました。
楽天銀行
楽天銀行の「年金受取サービス」を利用して楽天銀行に年金を入金します。これにより他行への振込無料回数が3回になり、楽天ポイント(1~3ポイント)がもらえます。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行の「定額自動入金サービス」により楽天銀行から住信SBIネット銀行へ健康保険料(25,000円/月)の分だけ入金します。「定額自動入金サービス」を利用することにより、楽天銀行側の他行振込無料回数を減らす事なく無料でお金の移動ができます。かつスマプロポイント(30ポイント)がもらえます。
ただし、「定額自動入金サービス」は、入金元(楽天銀行)から引き落とされるのが毎月5日又は27日で、住信SBIネット銀行に入金されるのはその引き落し日の4営業日後の午前中です。
このため、楽天銀行に15日に入金された場合は27日に引き落とされ、(うるう年を考慮して)4日後に住信SBIネット銀行に自動振替で入金し、余裕をみて住信SBIネット銀行から振込可能日を5日としています。
ゆうちょ銀行
定年後の健康保険は、特例退職被保険者制度を活用し、継続して会社の健保組合に入ります。会社の健保組合への入金はゆうちょ銀行指定のため、健康保険料(+介護保険料)の分だけ振り込まなければなりません。引落日は、毎月10日です。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、従来から生活費等で利用しており、クレジットカードの決済用口座としても使っています。これを変更するのは結構大変なので、このまま利用を続けることにしました。
JAバンク
JAバンクは近くに駐車場付きのところがあり、ATM利用が土日含めて無料なので、生活費等の一部をここに集める事にしました。奥さんの希望が強かったので。ネット銀行にはないメリットがあり、使い勝手を重視した結果です。
ゆうちょ銀行や地方信用金庫などもATM手数料等使い勝手が良く、地域コミュニケーションも大切にしたい人にはお勧めです。
クレジットカード
クレジットカードは三菱UFJ銀行に紐付けられています。
クレジットカードの引き落とし日は、各社で異なりますので、注意しなければなりません。
留意点等
- 上記の図では、銀行が5行、クレジットカードも多数ありますので、時期をみて、銀行やクレジットカードが更に絞れるかを整理する必要があります。
- 楽天銀行から住信SBIネット銀行への入金には、数日間の遅れが発生します。この遅れが嫌な場合は、楽天銀行から直接ゆうちょ銀行に自動振込(毎月おまかせ振込)する事になります。楽天銀行は、年金振込口座に指定すると他行振込3回無料になりますので、この内、JAバンクとゆうちょ銀行の振込で2回消費し、残りの他行振込無料回数は1回になります。
- 家計のマネーフローを整理しても、クレジットカードの引き落とし日が各社異なりますので、家計簿アプリ(マネーフォワードやZaim等)等を有効活用した方が良いと思います。例えばマネーフォワードの場合は、10金融機関まで無料で管理できますので、奥さんが管理する金融機関だけ利用するでも良いと思います。
さいごに
今回は家計を中心にマネーフローをまとめてみました。実際は、この他に資産運用を目的としたマネーフローもあり、もう少し複雑です(家計は奥さんが管理、資産運用は私が管理の分担になっています)。
また、従来の市中銀行もほとんどそのまま残しており、効率性を求めるのであれば、さらに改善する事ができます。
定年後は、だんだんと身綺麗にしていく事を考えて行かなければなりません。このため、今回のように一旦お金の流れを整理し、その後に無理の無い範囲で徐々に改善してシンプルにしていきたいと考えています。
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