銀行の預金は1行あたり預金の元本1,000万円まで保護されますので、資産がある人は分散しているのが普通です。しかし、まだ預金額が少ない人でもネット銀行を2行利用していると手数料無料回数を増やすなどメリットがあります。そして関連する証券会社と連携する事でさらにメリットが出てきます。これら複数のネット銀行や証券会社を活用するメリットについて説明します。
2大ネット銀行を利用するメリットの概要
それ程意識しなくとも銀行の通帳が増えるものです。あまり取引銀行が増えると管理が面倒になり、その内休眠口座が生じる可能性が大きくなります。また、自分が亡くなった時の事を考えるとその後処理のために残した家族に迷惑をかけてしまいますので、これが取引銀行を増やすデメリットです。このため、できれば取引銀行は少なくした方が良いと思います。
それでも、ネット銀行を2行持つと便利です。さらに資産運用をする上で欠かせないのが証券会社ですので、これらを含めて検討しておく必要があります。
銀行を整理する場合は、これらについても考慮して2~3行ぐらいにしておくのが良いのかなと考えています。
ここでは、ネット銀行として楽天銀行と住信SBIネット銀行、関連するネット証券として楽天証券とSBI証券を前提に説明していきたいと思います。
ネット銀行を2行にするメリットをあげると次のとおりです。
- 預金分散による銀行破綻リスク回避:預金保険制度により保護される預金等は1行あたり元本1,000万円です。1,000万円以上保有している場合は、2行に分散することにより銀行破綻時のリスクを回避できます。
- システム障害リスク回避:銀行システムの障害でATMから引き出しできない等の障害が最近よく発生していますが、2行に分散する事でこのリスクをほぼ回避できます。
- 手数料無料回数の増加:預金額やサービス利用回数に応じてATM利用手数料や他行振込手数料が一定回数無料になるサービスがあります。これを2行分活用する事ができます。
- 証券会社と連携による金利優遇と無料資金移動:2行にする事とは関係ありませんが、ネット銀行は市中銀行と比較して金利が良いです。さらに関連する証券会社と連携する事で金利優遇サービスや無料の資金移動ができるようになります。
銀行と証券の関係
各メリットを説明する前に、一例として銀行2行と連携する証券会社の関係を次の図のように明確にしておきます。
楽天銀行で給与等の振込を設定します。これだけで他行宛振込手数料が月3回無料になります。また、楽天証券と口座連携をする事で自動的に双方向の資金移動をしてくれます(マネーブリッジと称しています)。
住信SBIネット銀行はSBI系(SBIホールディングス)の銀行です。住信SBIネット銀行の定額自動入金サービスを設定しておくと定期的に楽天銀行から無料で資金移動ができます。また、SBI証券と口座連携する事で自動的に双方向の資金移動をしてくれます(ハイブリッド預金と称しています)。
次にメリットをもう少し詳しく説明します。
預金分散による銀行破綻リスク回避
普通預金、定期預金、定期積金、掛金、ビッグ等元本補てん契約のある金銭信託・貸付信託、保護預り専用の金融債などは、1行ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。大手銀行でも破綻する時代ですので、1,000万円を超える人は銀行を分散しておくのが安心です。
システム障害リスク回避
最近ではシステム障害を、みずほ銀行が今年既に8回起こしていますし、三菱UFJ信託も2時間ほど起こしています。これが発生すると、ATMでの入出金や振り込み、残高照会等の手続きができなくなりますし、インターネットバンキングを使えなくなります。いざとなればクレジットカード決済でも良いのですが、まだまだ日本は現金主体ですので、勘弁して欲しいですね。2行同時ということは考えづらいので、まず安心かと思います。
手数料無料回数の増加
楽天銀行では「ハッピープログラム」、住信SBIネット銀行では「スマートプログラム(スマプロ)」と称して利用に応じて手数料が一定回数無料になるサービスがあります。
楽天銀行のハッピープログラム
楽天銀行は、下記の他に給与・年金等の振込設定をしておくと他行宛振込手数料が月3回無料になり、しかも使えなかった分は翌月持越し(最大5回で)ができます。
住信SBIネット銀行のスマプロ
住信SBIネット銀行の「スマート認証NEO」とはスマホでネットバンキングを行う際に使う認証用アプリです。これを活用するだけでランク2の特典がゲットできます。
他行宛振込手数料の無料回数の例
例えば、給与振込を楽天銀行にし、住信SBIネット銀行ではスマホのスマート認証NEOアプリを設定しておくと、他行宛振込手数料の無料回数は合計8回(=楽天銀行3回+住信SBIネット銀行5回)となります。
証券会社と連携による金利優遇と無料資金移動
楽天証券と住信SBIネット銀行は、各々の関連証券会社と口座連携を取る事で金利優遇サービスを得たり、先の他行宛振込手数料無料と合わせてほとんど無料でお金の移動が可能になります。
まずは金利優遇サービスでは次のとおりです。
- 楽天銀行と楽天証券の口座連携(マネーブリッジ):預金金利0.1%(連携しない場合は0.02%)
- 住信SBIネット銀行とSBI証券の口座連携(ハイブリッド預金):預金金利0.01%(連携しない場合は0.001%)
無料のお金の移動については、ネット証券の無料の入金サービスを利用します。
楽天証券もSBI証券もほとんどの入金処理が無料です(証券会社が負担)。証券口座に入金されたお金は、マネーブリッジやハイブリッド預金のサービスで翌日には連携されている銀行口座に移動します。つまり、楽天銀行や住信SBIネット銀行以外の銀行から(連携している証券会社を介して)無料で 楽天銀行・住信SBIネット銀行口座に移動ができたという訳です。
その後は、先に説明した回数分無料でATM出金したり、他行へ手数料無しで振込ができます。
繰り返すと、楽天銀行から住信SBIネット銀行へのお金の移動は、住信SBIネット銀行の定額自動入金サービスを利用する事で無料です。スポット的に移動が生じた場合は無料回数内で実行します。他行のお金も一旦関連する証券会社に入金する事で翌日には自動的に楽天銀行・住信SBIネット銀行に無料で移動できますので、その後は無料回数内で他行振込などを行います。
このように実行するとほとんど無料でお金の移動ができます。
なお、今回は触れませんでしたが、楽天証券もSBI証券も1日100万円以内の株式売買手数料を無料にできるプランがあります。両証券会社を利用すると合計200万円/日の株式売買手数料が無料になります。これも嬉しいサービスです。
さいごに
楽天銀行や住信SBIネット銀行等ネットバンクをうまく利用するとほとんどの手数料が無料になります。設備投資の負担が比較的軽いとはいえ、企業努力として、これらのサービスは素晴らしいですね。最近では、市中金融機関でも手数料の大幅引き下げがありますが、無料ではありませんでした。しかも、市中銀行の口座有料化のニュースもあり、これで大丈夫なのかと心配になります。
国もデジタル化を推進している中で、ほとんどスマホやパソコンで用が足りてきていますので、市中銀行には厳しい状況です。とはいえ、まだまだITに不得意な(私を含めて)お年寄りも居られるので資産運用や相続等に係るサービスに力を入れていくのかなと考えています。なんとかコストを下げて、魅力のあるサービスに期待したいと思います。
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