令和6年度の年金額改定について2024年1月19日厚生省プレスリリースがありました。これによると令和5年度年金額と比較して平均2.7%アップとなります。近年にない比較的大きな引き上げですが、物価変動率3.2%アップと比べるとマクロ経済スライドの調整率が入り、実質手取減になります。これらについて説明します。
2024年度の年金額の例
次の表は、2021年度から今回発表された2024年度の標準年金額の推移をまとめたものです。
表中、国民年金(老齢基礎年金)は加入期間480月の満額の値です。また、厚生年金は先の老齢基礎年金を含み平均的な収入(賞与含む月額換算の平均標準報酬43.9万円)と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を合わせた年金額です。
これを見ると2021年度から2022年度は年金支給額が減少していましたが、2023年度で前年比約1.9%アップ、2024年度で前年比約2.7%アップとなり、2年連続の上昇です。
改定額の支給開始は、4月分からが対象になりますので、実際の支給日は2024年6月15日(4月分+5月分)ですが、当日が土曜日のため前日の2024年6月14日金曜日になります。
区分 | 2024年度 (月額) | 2023年度 (月額) | 2022年度 (月額) | 2021年度 (月額) |
---|---|---|---|---|
国民年金 ※老齢基礎年金(満額、1人分) | 68,000円 ※+1,750円 | 66,250円 | 64,816円 | 65,075円 |
厚生年金 ※夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額 | 230,483円 ※+6,001円 | 224,482円 | 219,593円 | 220,496円 |
なお、昭和31年4月1日以前生まれの老齢基礎年金(満額)は、月額67,808円となり、前年比約2.7%アップされた年金額です。同様に夫婦2人の標準的な厚生年金額を前年比約2.7%アップで計算してみると月額229,807円程度となります。
年金額改定の仕組み
2024年度の年金額は、名目手取り賃金変動率(3.1%)となり、これに、2024年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.4%)がなされ、2024年度の年金額改定率は2.7%となります。
2024年度(令和6年度)の標準年金額及び年金額の改定ルールについては次の厚生労働省のプレスリリースをご覧ください。この資料には、国民年金保険料の引き上げ(保険料が値上げ)、在職老齢年金の支給停止調整額に引き上げ(支給停止となる上限額が上がる)、障害年金・遺族年金や児童扶養手当についても改定額が記載されています。
なお、2024年度(令和6年度)の参考指数は次のとおりです。
- 物価変動率:+3.2%(令和5年の値)
- 名目手取り賃金変動率:+3.1%
=実質賃金変動率(▲0.1%) ※令和令和2~4年度の平均
+物価変動率(3.2%) ※令和5年の値
+可処分所得割合変化率(0.0%) ※令和3年度の値 - 実質賃金変動率:▲0.1%(令和2年度から令和4年度の平均)
- マクロ経済スライドによるスライド調整率:▲0.3%
- 前年度までのマクロ経済スライドによる未調整分:▲0.4%
=公的年金被保険者総数の変動率(▲0.1%) ※令和2~4年度の平均
+平均余命の伸び率(▲0.3%) ※定率
さいごに
2023年度は、物価上昇が現役給与アップ以上に進み、また社会保険料等の改定等で実質的に収入減となっています。主な収入が年金になる世代にとっては、現役の給与が実質的に上昇しなければ年金も増えませんので、インフレ率以上の継続的な現役給与上昇を是非実現してもらいたいものです。とはいえ、よく意味のわからないマクロ経済スライド調整がありますので、現役給与が増えても年金上昇は期待できないではないかと思います。
このような状況の中、新NISAが開始されましたので、やはり年金だけに頼るのでは無く、比較的安全な資産運用等もしっかりやって大切なお金の延命も図ることが重要とあらためて考えさせられました。
まだまだ長い人生ですので、余力をもって続けていきたいと思います。
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