現物・信用取引の約定手数料無料サービスを2つの証券会社で活用する方法

SBI証券や楽天証券では、一定の約定額以下であれば手数料が無料になるサービスがあります。手数料が無料になると少ない値幅でも利益を得やすくなりますし、両証券会社を利用する事で株式売買額を増やしたりトラブルによる取引一時停止等のリスクを回避できる可能性があります。事例を交えて、これらについて説明します。

2つの証券会社を利用するメリット

つい油断すると銀行口座等が多くなり管理が面倒になりますが、証券会社を2つ持つとメリットもあります。主なメリットは次のとおりです。なお、私はSBI証券楽天証券に口座を保有していますので、メリットもその両証券口座を保有していることが前提となります。

  • 取引一時停止リスクの回避:時々ネットワークやシステムトラブル等により金融機関の取引停止のニュースが報じられます。両証券ともネット証券ですので、もしも一方がトラブル発生して取引できない場合でももう一方が生きていれば機会損失から免れる事ができます。
  • 約定手数料無料枠の拡大:SBI証券では株式の現物取引・制度信用取引・一般信用取引で各々約定代金100万円まで手数料が無料になります。楽天証券では株式の現物取引・制度信用取引・一般信用取引を合計して100万円まで手数料が無料になります。これらを組み合わせる事で、約定代金が200万円~400万円が手数料無料で実施できます。
  • ツールの利用:SBI証券では「HYPER SBI 2」やYahoo!との連携、楽天証券では「iSPEED」等の特長のあるサービスが利用できます。自分の使い勝手の自由度の広がります。
  • 銀行の活用:SBI証券では住信SBIネット銀行と、また楽天証券では楽天銀行と連携する事で証券と銀行の口座間で無料の自動入出金処理ができます。金利優遇(住信SBIネット銀行0.01%、楽天銀行0.1%)や銀行から他行への振替手数料が一定回数無料になるサービスがあり、利便性が向上します。

活用方法に入る前に

具体的事例に移る前に、約定手数料と信用取引、そして待ち伏せするのに比較的良い配当権利日等について簡単に説明します。

約定手数料無料サービスについて

株式取引における一日の約定代金の合計により課される手数料です。SBI証券では「アクティブプラン」、楽天証券では「一日定額コース」と称しています。簡単に比較すると次のとおりです。

  • SBI証券「アクティブプラン」
    • 一日の約定代金が、現物取引100万円、制度信用取引100万円、一般信用取引100万円の各々に収まる場合に手数料無料となります。つまり一日300万円以内であれば手数料無料です。
  • 楽天証券「一日定額コース」
    • 一日の約定代金が、現物取引・制度信用取引・一般信用取引の合計が100万円に収まる場合に手数料無料となります。

なお、このサービスについての両証券の比較は次の記事でまとめていますので、ご覧ください。

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約定手数料ゼロを活用したショートトレード

信用取引で押さえる点

株式の信用取引には、証券金融会社という機関が関わる制度信用取引と証券会社が直接顧客と取引する一般信用取引があります。これらについては、資金・株式の貸借の期間や金利が異なりますが、詳細は割愛して押さえて置きたい点を記載します。ただし、この条件も証券会社により異なりますので、一例としてみてください。

  • 信用取引に必要な最低委託保証金は、制度信用・一般信用取引を合算して30万円です。
  • 信用取引に必要な委託保証金率は、制度信用・一般信用取引を合算して30%以上です。
  • 委託保証金は現金の他に代用有価証券(現物株式、投資信託、ETF等)が利用できます。代用有価証券を利用する場合は前日の終値の80%相当額を保証金とみなして計算します。

配当権利確定日

株式の配当権利日は、配当権利落ちがあり通常株価が下がります。また、株主優待制度を採用している銘柄では配当権利日=株主優待権利日にしているのが一般的です。このため、配当権利日前後は株価が動意しますので、確認しておく必要があります。例えば2022年3月31日が配当日の場合、配当日前後では次のようになります。

  • 配当権利付き最終日(3月29日):通常権利確定日の2営業日前で、今期の配当を得るためにはこの日までに買付しなければなりません
  • 配当権利落ち日(3月30日):理論的には配当等に相当する分、株価が安くなります。ただし、株価は他の要因でも動きますので絶対ではありません。なお、この日に売却しても優待・配当の権利は獲得できます
  • 配当権利確定日(3月31日):各社が定めている配当日です。

活用する方法

これまで説明した内容を基にいくつか取引事例を考えてみたいと思います。組み合わせも当然可能です。

2つの証券で分散購入

SBI証券と楽天証券の2つの証券会社を活用する事により次が可能になります。

  • 株価の高い銘柄を各証券で購入:例えば、ブリジストンですと単元株数100株では527,000円(2022年2月9日終値)必要です。SBI証券と楽天証券で各々購入すると手数料は0円で合計200株でも可能です。
  • 各証券で売却:上記のブリジストン株を売却する場合も同様に手数料0円で合計200株売却できます。
  • 分散して購入・売却:一つの証券会社で1日100万円以内に収まるように同じ銘柄を日を分けて購入しても手数料0円です。同じ事が売却時でも適用できます。分散して購入・売却する事で高値掴みや損失切りを回避できる可能性があります。

現物取引と信用取引

信用取引は、株式投資に慣れていない方にはお勧めできませんが、一応記載しておきます。信用取引を利用される方は、できれば委託保証金率を100%以上(現物取引と同様)で実施されるのが良いと思います。お金の余裕は心の余裕にもつながります。

  • SBI証券の場合は300万円まで可能:現物取引・制度信用取引・一般信用取引で合計300万円まで手数料0円で購入・売却できます。ただし、委託保証金・委託保証金率は注意が必要です。

株式配当と株主優待の確保

とはいえ、株式配当落ちや株主優待の確保のためだけは、信用取引を活用するのも良いと思います。

  • 信用売り配当権利落ちを乗り切る:現物の株式を保有しつづけると配当権利落ちで株価が下落する場合があります。保有している株式に思い入れがあったり、株式優待狙い等で現物株式も持ち続けたい場合があると思います。そのような場合は、保有株式とは別に、配当権利落ち日前に信用売りしておく方法があります。権利落ち後に買い戻しする事で損失を回避できる可能性があります。ただし、他の要因で株価上昇する場合もありますので、絶対はあり得ませんが。
  • 配当日前後はチャンス:配当権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)までは配当取りのために、通常、株価上昇トレンドにあります。特に増配予想・発表の銘柄はその傾向にあります。また今期は配当が良くても来期減配になる銘柄は配当権利落ち日後に下がり易くなります。上昇トレンドや下降トレンドに入っても株価は比較的分かり易い上げ下げしながら動きますのでこの期間はチャンス到来です。

さいごに

資産を安全に構築する絶対の方法はありませんが、費用の安いインデックス型積立投資信託は比較的安定して増えていく可能性があります。しかし、長期間の積立が必要ですし、なにより退屈です。

適度な刺激があり、少しでも費用を抑えてちょこちょこと小遣い稼ぎには今回紹介した方法も良いのではないかと考えています。

今まで我慢の生活をしてきたわけですので、無理をしない範囲で少し羽を伸ばすのも良いのではないでしょうか。

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