定年後は時間的に余裕ができましたのでFBA(Fulfillment By Amazon)に挑戦中です。米国Amazonから仕入れて日本Amazonのマーケットプレイスに出品する事を考えていますが、本当に利益が出るものなのか検証してみました。粗い見積りですので、まだ改善点がありそうですが、仕入れ価格の1.5倍程度で販売できれば良さそうです。ある仮定に基づいた収益について説明します。
仮定するスモールビジネスの形態
方針
定年後に行う小事業なので、無理をしないように次の方針で考えます。
- 米国Amazonから商品を購入し、日本Amazonのマーケットプレイに出品・販売する。
- FBA等を活用して体力や資金力のリスクを抑えて実施する。
- 当面、5万円/月程度の収益を目指す。
仮定する商品とその流れ
収益を予測する上で仮定する商品等は次のとおりです。その他にチョコチョコとした費用が必要ですが、小さい金額ですので、それらはいずれかの項目に含まれていると考えてください。
- 米国Amazonから平均単価$50の商品を毎月50個購入する(FBA小口プランでは100円/円なので50個で大口出品プランとほぼ同額になるので)。
- 上記①で購入した商品は一旦MyUS.comの集荷地点に運び、そこからまとめて重量2kgになる荷物を月2回日本の自宅に配送する。
- 自宅からFBAパートナーキャリア・ヤマトオプションを利用してAmazon物流拠点(フルフィルメントセンター)へ配送する。以下、FBAを活用して保管・販売・ピックアップ・配送等を行う。
活用するサブスクリプション・サービス
ここで活用するサブスクリプション・サービスを簡単に説明します。
FBA
サブスクリプション・サービスの中心となるFBA(Fulfillment By Amazon)で、これがあるので他のサービスも必要になります。Amazonマーケットプレイスに出品したい方は、FBAに登録し、商品をFBAの倉庫に送ると、その後の、商品保管、注文処理、梱包、出荷、配送、お問い合わせ、返品対応等を全てAmazonが代行してくれます。
利用料は、小口出品プラン(1商品毎に100円課金)と大口出品プラン(定額の5,390円、税込)があります。また、その他に販売手数料や倉庫保管料等が発生します。
FBAについては、次の記事でも説明していますのでご覧ください。
定年後の実益を兼ねてAmazonのフルフィルメントサービスFBAに申し込みました。FBAについては、Amazonサイトや分かり易い書籍等がありますので、それらを参考に登録しましたが、最新のAmazonサイトの手順・画像等とは若干異なる所が[…]
Keepa
KeeperはAmazonに掲載されている商品のトレース・トラッカーです。無料と有料版があり、ブラウザの拡張機能として埋め込んで利用します。
有料版は、月払い€19、年払い€189で、主な機能は次のとおりです。
- 価格履歴グラフ:Amazonマーケットプレイスの商品の価格やランキングの推移が分かります。
- 価格監視とアラート発信:指定した商品の価格を監視し、目標価格になるとアラートを発信します。
- 海外価格の比較:指定した海外のAmazonの価格を表示します。
- 関連トピックスの紹介:商品に関連した日々のトピックスを紹介してくれます。
Keepaの詳細は次のサイトをご覧ください。
Sellersket
出品する商品が権利侵害等をしていない正しいものか等を事前に確認できるツールで、Amazonからのアカウント停止リスクなどを避けることができます。
利用料は、スタンダードコース2,480円/月、プレミアコース4,980円/月があり、さらに自動価格改定(他のセラーの価格動向を見て自動的に自商品の価格を改定する機能)を付けると+500円/月されます。
ブラウザの拡張機能に組込む事で、Amazonの商品ページを見るとそれを転売した場合のAmazonアカウント停止危険度が自動表示されます。
Amazonアカウント停止危険度は、危険度A、危険度B、危険度C、危険度D、リスク低、の5段階で表示され、私のような初心者は「リスク低」の商品を選ぶのが良さそうです。
利用料が少し高いですが、後でAmazonアカウント停止されて泣きを見る事のないように必ず入れて置くべきツールだと思います。
詳細は次のサイトをご覧ください。
MyUS.com
MyUS.comは国際配送業者です。集配拠点が米国と英国にありますので、例えば米国や英国のネットショッピングで購入した商品を指定された米国や英国の集配拠点に送る事で日本の自宅等へ配送してくれます。
また、MyUS.comサイトから特典のあるネットショッピングサイトへ移動する事で割引特典等を得たり、配送する荷物もまとめて1つにして送料を節約する事ができます。
詳細は次の記事でまとめていますのでご覧ください。
FBA(Fulfillment By Amazon)でAmazonマーケットプレイスに輸入品を出品する場合は、海外から商品を購入して国際配送業者に依頼し、自宅等へ配送してもらわなければなりません。個人事業者等が利用する有名な国際配送業者と[…]
米AmazonPrime
私は日本のAmazonPrimeを利用させていただいていますが、これに加入しているといろいろなサービスがあり、その一つに無料の「お急ぎ便」が利用でき、だいたい翌日又は翌々日に購入した商品が届きます。
米国のAmazonPrime(以下、米AmazonPrimeといいます)でも同様のサービスがあり(こちらが本家本元ですが)、「お急ぎ便」相当を利用するとだいたい2日間後に購入商品が届きます。ただし、利用する場合は、別途、米AmazonPrime会員の会費が必要になります。
米AmazonPrimeの年会費は$119、月払いは$12.99で、日本同様に30日間の無料試行期間があります。米Amazonで購入した商品を迅速に日本に送ってもらうためには、必要な費用です。
3年後の収益の予測
なぜ1年後ではなく3年後の収益予測かというと、1年目はいろいろな無料特典・割引特典があるためで、これらの特典がほぼなくなるのが3年目だからです。ただし、MyUS.comの国際配送料については、クレジットカード会社により対応が異なりますので、とりあえず3年目では割引特典の無い数値で記載しています。
3年目の登録・利用にかかる費用等は次の表のとおりです。外貨の円貨換算は、$1=¥110、€1=¥134としています。
Keepaで仕入商品候補の売れ具合を見て、Sellersketでその商品の真贋性・リスク評価を確認します。米AmazonPrimeの会員特典を活用してMyUS.com集荷拠点に商品を送り、MyUS.comが日本の自宅に商品をまとめて梱包して送ってくれます。
自宅からはFBAパートナーキャリア・ヤマトオプションを利用してAmazonフルフィルメント倉庫に送ります。Amazonでは、日本のAmazonマーケットプレイスに掲載され、購入された場合は商品をピックアップ・再梱包・出荷してくれます。
前述の「仮定する商品」で予想した3年目の登録・利用にかかるサブスクリプションサービスの費用は、計168,856円となりました。
次の表は、3年目の仕入対売上の利益を予測したものです。売上は仕入れた商品価格の1.5倍としています。
この結果、3年目の収益予測は次のとおり¥586,450のプラスです。
3年目の収益=¥755,306ー¥168,856=¥586,450
1年後の収益の予測
次の表は、1年目の登録・利用にかかる費用等です。1年目は割引特典があり、Sellersket20日間無料、MyUS.com2年間無料、米AmazonPrime30日間無料等、費用が軽減され、計¥164,162となりました。
続いて1年目の仕入対売上の利益予想です。
米国内配送料はMyUS.com30%オフ、国内配送料はFBAパートナーキャリア・ヤマトオプション(¥15,000オフ)とFBA新商品特典プログラム(¥11,000オフ)で¥26,000オフになります。
この結果、1年目の収益予測は次のとおり¥659,112のプラスです。
1年目の収益=¥823,274ー¥164,162=¥659,112
なお、FBAパートナーキャリア・ヤマトオプションについては次の記事でまとめていますので、ご覧ください。
FBAパートナーキャリアとしてヤマトが追加され、2021年4月22日から2021年10月15日までの期間、FBAパートナーキャリアとしてヤマトを選択すると15,000円分の納品割引特典が得られます。Amazon当日配送から2017年に一旦[…]
留意点
これらから留意点を整理すると次のとおりです。
- 価格設定1.5倍:米Amazonからの購入価格に対して、日本での販売価格は1.5倍で見積もっています。逆に言えば1.5倍で売れるものでなけれいけないという事です。1.4倍程度でもギリギリ利益が出るのですが、あまり少ないと意味がありません。仕入数・仕入金額を増やすとこの比率は下がってきますが、初めのうちはこの程度を目標にした方が良さそうです。
- 安定的に売れるもの:在庫が増えるとFBAの倉庫代で収益が圧迫しますし、資金繰りが辛くなりますので、安定的に売れるものを探す目利きが重要です。
- アカウント停止危険度「リスク低」の商品:仕入商品は、Sellersketのアカウント停止危険度「リスク低」のものが安心です。折角仕入れてもAmazonから拒否されるリスクは極力避けるべきです。
- 重量の軽いもの:MyUS.comやその他の配送料に効いてきますので、なるべく軽い商品が望ましいです。
- クレジット利用限度額:仕入商品330万円で利益は60万円強です。さらに利益を積み増すためには、仕入商品を増やさなければなりませので、クレジット利用限度額を引き上げておく必要があります。定年後はクレジット利用限度額を引き上げるのが困難になりますので、現役のうちに引き上げておくべきです。
さいごに
FBAを活用したAmazonマーケットプレイスへの出品は、比較的手軽にトライできる事業ですが、(当然ですが)事業規模を大きくしなければ利益も大きくなりません。今回の試算では、利益を60万円得るためには商品の仕入だけで330万円必要ですので、少し度胸がいります。
しかも、日米の価格差があっても売れる商品なのか、仕入先の業者は確かなのか等々いろいろな目利きが必要です。とはいえ、これらについては知的ゲーム的な感覚で新たな発見や興味がわいてきますので結構面白いものです。
まずは、試しに数点を流してみるところから始めるのが良いかなと考えています。
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