株式配当等の住民税における総合課税と源泉徴収との比較

株式等の配当を受け取る際に、通常、所得税と住民税が源泉徴収されます。所得税の場合は、総合課税を選択した方が一般的に有利ですが、住民税についてはどうでしょうか。いくつかのケースで住民税を試算した結果、住民税は源泉徴収の方が有利です。少し手間ですが、所得税は確定申告を行い、住民税はその結果を使わないよう手続きをして、適切な税金を納めましょう。

住民税とは

住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせた税金です。そして、都道府県民税と市町村民税の各々には、所得に応じた所得割と世帯に同一の均等割があります

所得割は、都道府県民税4%、市町村税6%で計10%ですが、政令指定都市の場合は都道府県民税2%、市町村税8%で計10%と比率が変わります。

均等割は、2014年~2023年の期間、復興特別税が各々500円加算されて都道府県民税1,500円、市町村税3,500円で計5,000円です。

なお、所得割や均等割りは、自治体により税が若干上乗せされてるところもあります。

住民税額の試算結果

住民税を試算する前提となる仮定条件を決め、まずは比較結果を示します。各ケースの計算の詳細は後半で説明します。

試算する上での仮定

次のように仮定します。

  • 家族:夫婦2人、共に65歳未満、妻は配偶者控除可
  • 神奈川県在住(政令指定都市以外)
  • 収入:会社勤務で給与は個別に仮定します。社会保険料等は標準報酬月額等を基に計算しますが、説明が複雑になるので、ここでは賞与も含めて、給与=標準月額×12 相当とします。
  • 株式等保有:5,000,000円保有しているとします。
  • 株式等配当:150,000円、株式等の3%としています。
  • 社会保険料支払額:厚生年金保険料は給与×18.3%×0.5、健康保険料(26,000円×12月)+介護保険料(4,000円×12月)と仮定します。健康保険料や介護保険料は所属する健康保険組合で異なります。
  • 私的保険料支払控除:25,000円(火災保険料、地震保険料、生命保険料等)です。所得税の場合の1/2程度とします。
  • 医療費控除額:100,000円と仮定します。

神奈川県の住民税

神奈川県では、2007年度から2021年度まで県民税の均等割で300円、所得割で0.025%税が上乗せされています。

つまり、政令指定都市以外(横浜市、川崎市、相模原市)は次のとおりです。

  • 所得割:県民税4.025%、市民税6%
  • 均等割:県民税1,800円、市民税3,500円

試算結果

給与収入が500万円、700万円、900万円の場合の試算結果を下記に示します。

先の仮定のとおり、計算の簡略化のため、給与=標準報酬の年収相当としています。

項目の住民税額は後半で説明する給与収入毎の金額ごとに計算された金額です。

項目の配当支払時の源泉徴収額とは配当受取時に源泉徴収される住民税額分で、5%が源泉徴収されます。総合課税と分離課税(源泉徴収)ともに、7,500円(=株式配当150,000×3%)と入っていますが、総合課税の計算の中で配当割額の税額控除がありますので、一旦源泉徴収された金額が総合課税計算の中で配当割額で差し引かれる(控除される)という流れになっています。

合計は、分離課税の場合の源泉徴収された所得税額も加算して、トータルとしてどれだけ税金を納めているかの金額になります。

住民税における総合課税と分離課税の比較
住民税における総合課税と分離課税の比較

差額(=総合課税-分離課税)を見ると、金額は小さいですが全てのケースで総合課税の方が税金が多くなっています

つまり住民税は、源泉徴収されたままの分離課税の方が有利という事になります。

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