SBI証券や楽天証券では2023年10月から国内株式等の取引手数料無料化が開始されました。また、2024年1月からは非課税枠360万円/年の新NISAが開始され、一旦利用した非課税枠の再利用が可能になりました。これらにより、国内株式等では取引手数料からほぼ解放され、リスクを抑えた短期売買で利益を得る事が比較的やり易くなりました。活用ケースを含めてこれらについて概観します。
ネット証券の国内株式等取引手数料無料化の流れ
2大ネット証券であるSBI証券と楽天証券では、2023年10月から国内株式等の取引手数料が無料になりました。対象は、次のとおりで、単位未満株取引についても条件付きで対応しています。
項目 | 楽天証券 | SBI証券 |
---|---|---|
対象 | 特定口座・一般口座・NISA口座の現物・信用取引、かぶミニ※ | 特定口座・一般口座・NISA口座の現物・信用取引、S株※ |
取引手数料 | 無料 ただし、かぶミニはスプレッドあり | 無料 |
新NISAの概要
現行のNISAでは、つみたてNISA(一定の投資信託を40万円/年、最大20年間非課税で最大800万円まで可)と一般NISA(株式・投資信託等を120万円/年、最大5年間非課税で最大600万円まで可)があり、一旦利用したNISA枠は売却しても復活させることができませんでした。
2024年1月から始まる新NISAでは、つみたてNISA(つみたて投資枠と称しています)と一般NISA(成長投資枠と称しています)の併用が可能になり、年間360万円(つみたて投資枠120万円/年、成長投資枠240万円/年)、生涯合計1,800万円(内.成長投資枠の上限は1,200万円)の非課税枠を保有期間の制限が無く利用できるようになります。しかも、使用したNISA枠は売却すると翌年その枠を復活させることができるようになり、より活用しやすくなりました。
投資スタイルが変わる
取引手数料が無料になるという事は、あたりまえの話ですが手数料を気にせずにトレードができるという事です。また、新NISAでは利益が出るまで待てる事や売却したNISA枠を再利用してさらに利益を追求できるようになりました。
- 超短期取引から長期取引へと柔軟に対応できる:手数料が無料になるのでその分利益を上乗せし易くなります。また、当初はデイトレードのつもりでも状況により中期取引に変更する等柔軟に対応する事ができます。ただし、信用取引の場合は手数料0でも、信用買いに場合の金利や信用売りの場合の貸株料が発生しますので要注意です。
- 信用取引が不安な人でも現物取引しやすくなる:信用取引でのレバレッジや金利・貸株料が嫌な人もいると思いますが、原資があれば現物取引でデイトレード(日計り取引)がし易くなります。デイトレードを実施しても手数料は無料です。
- 個別株式でもNISAで購入し易くなる:現行NISAでは期間が限定されているため個別株購入はリスクがあり、投資信託のつみたてが中心でしたが、新NISAでは無期限保有が可能になりましたので個別株式を購入しやすくなりました。とはいえ、短期取引で利益が出ない場合は中期保有に切り替える事になりますので、それでも良いという銘柄を選別する必要があります。
- 新NISAでは売買し易くなる:NISA枠を再利用できるので個別株式や投資信託でも利益発生時に売却し易くなりました。
活用ケース
世界的な株式市場の暴落危機等の心配は尽きません。米国では政策金利が安定しつつありますが、米国議会・政府予算・次期大統領選等の混乱があります。また、中国の不動産不安・景気減速、さらに中東の紛争勃発の地政学リスク等々です。このような時期は、ある程度安全資金への退避や株式のショート取引によるリスク軽減が欠かせません。
手数料無料化や新NISAに関連して考慮すべきことを記載します。
今の時期は、長期間株式を保有していると株式市場暴落の心配が尽きませんので、デイトレード等のショートトレードを行い、リスクを抑える事が一つの方法です。デイトレードの銘柄としては、動きが軽く、出来高が大きいものが考えています。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループに代表される銀行株です。銀行株は、今後の金利上昇観測期待があり、動意づいており、ニュースも頻繁に出ていますので比較的トレンドが分かり易くなっています。これに限らず、出来高が大きくて直ぐに逃げる事が出来銘柄が良いと思います。
地政学リスクでは、回避策として金(ゴールド)価格がドル・円共に上昇しています。金現物でも良いですが、手数料無料の観点で言えば、例えば比較的出来高の大きい「純金上場信託(現物国内保管型)」のETFでしょうか。ただし、ETFの場合はコストとして信託報酬(このETFは0.539%)が発生します。
また、金への投資としては、投資信託があります。例えば、「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)、信託報酬0.1838%)」や「SMTゴールドインデックス・オープン、信託報酬0.675%」があります。
あまりお勧めできる方法ではありませんが、NISAの場合に個別株式購入後に意に反して下落した時はそのまま利益が出るまで保有し続ける手もあります。これを考えると配当が良い事も選定条件の一つになります。NISAで損失が発生した場合は損益通算や損失繰越ができませんので、個別株式の購入には注意が必要です。
さいごに
株式市場は、世界的なリスクオフの流れで神経質な動きが続いています。評論家やアナリストの方々の何人かの意見では、企業業績が良いと言われている日本市場でも今期末まで思わしくない動きが予想されています。
株式投資は欲との闘いですが、極力長期保有を避けてフットワーク軽く、対処していきたいと考えています。
なお、本稿に上げた銘柄は一例ですので、購入を推奨するものではありません。株式等の取引はご自身の判断に基づき実施されるようお願いします。
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