円安傾向で購入を検討するNEOBANKの仕組預金コイントス

市中銀行では定期預金の金利が0.002%と歴史的低迷が続いています。この中で、NEOBANK(住信SBIネット銀行)の仕組預金コイントスは、金利10%と大変魅力的です。しかし、この金融商品は、最後の受取元本を円貨にするか外貨にするかを自分で選択できませんので、為替差損が生じる可能性があります。実際に利益が出るのかを検証してみましたので、説明します。

NEOBANKのコイントスとは

NEOBANK(住信SBIネット銀行)では、特約付きの定期預金商品を仕組預金と称しており、その一つにコイントス(元本通貨変動型円仕組預金)があります。

主な特徴は次の表のとおりです。預入期間は1ヵ月のみ、預入通貨と受取利息は円貨ですが、受取元本は円貨か外貨になります。この受取元本の選択はNEOBANKが実施し、自分では選択できません

名称預入期間預入通貨
→受取元本
受取利息預入単位
円仕組預金
コイントス
1ヵ月円貨→円貨or外貨円貨10万円
以上
※住信SBIネット銀行サイトから抜粋(2022年11月時点)

執筆時点の最新のコイントス募集要項(抜粋)は次のとおりです。特約通貨が米ドルになっていますので、特約レートを含めて円安になると受取元本が円貨となり、特約レートよりも円高になると受取元本が米ドルになります。どちらを選択するかは、特約判定日の特約レートと基準レート(特約判定日の午後3時のNEOBANKが定める為替レート)との比較で行われます。

  • 特約通貨:米ドル
  • 適用金利:年10.0000%(税引前)※税引後7.9685%
  • 預入期間、預入単位:1ヵ月、10万円以上1円単位
  • 募集期間:2022年11月23日~12月4日
  • 預入日、満期日:2022年12月7日、2023年1月10日
  • 特約レート:2022年12月5日午前10時の当社為替レート
  • 特約判定日:2023年1月5日

コイントスの損益

上記募集要項の金利10%等、ある仮定条件の下で損益を検証してみたいと思います。

仮定する条件

損益を試算する上で仮定する条件は次のとおりです。元本は切れの良いところで1,000,000円、特約レートは140円/ドル、基準レートは135円/ドル~145円/ドルで刻んでみました。為替手数料は、受取元本が米ドルで受取った場合に円貨に交換する手数料です。NEOBANKはネットバンクの中で為替手数料が安く、米ドルの場合は片道6銭です。

  • 元本:1,000,000円
  • 適用金利:10.00%
  • 特約レート:140円/ドル
  • 基準レート:135~145円/ドル
  • 為替手数料(米ドル⇔円貨):片道6銭

円貨での損益表

次の表は、上記条件での元本1,000,000円、金利10%、特約レート140円/ドル、為替手数料6銭で、基準レートを135~145円/ドルで刻んで計算した場合のものです。ただし、計算上端折っているところもあり若干誤差もありますので、ご容赦ください。

仕組預金コイントスの損益表
【仕組預金コイントスの損益表】
  1. 基準レート:特約レート140円/ドルと比較される特約判定日(2023年1月5日)の基準レートです。
  2. 税引前利息:利息10%とは年率なので、日割り計算した結果です。
  3. 税引後利息:税引前利息から源泉徴収される税金20.315%(復興特別所得税を含む国税15.315%、地方税5%)を除いた結果です。
  4. 受取元本:円安(特約レート140円/ドル以上)であれば円貨で、円高であれば米ドルとなりますので、139円以下は140円/ドルで換算した米ドルになります。
  5. 受取元本(円換算):米ドルを円貨に交換する時点の為替レートと為替手数料6銭/ドルを用いて計算した値です。
  6. 受取元本+税引後利息(円換算):最終的に円貨に⑤元本も⑥利息も交換した合計値です。
  7. 元本との差分:元の元本1,000,000円と最終的に円貨で受取る⑥の差額です。円高の139円/ドル以下は、円貨ベースでみると元本割れとなっています。

結果としては、特約レートから円安になっていれば利益がでますが、円高では損失が発生しますので、円高の場合は円貨に交換しないで米ドル保有・運用をするのが良さそうです。

どのように活用するか

結論としては次のようでしょうか。

  • 仕組預金コイントスは、円安傾向が続きそうな時期に購入する。
  • 受取元本が外貨になった場合は、直ぐに円貨に交換しないで外貨保有・運用を行う。

今回の結果では、1円でも円高になると損失発生となりました。1ヵ月先が円高になるのか円安になるのか2者択一ですので1/2の確率です。

これを見るとギャンブルのような定期預金ですので、(面白そうな金融商品ではありますが)やはり余裕のある資金で少額での投資が良いのではないかと考えます。

さいごに

NEOBANKの仕組預金コイントスについて、損益試行をしてみました。結果は、円安の時にしかうま味が無いことがわかりました。

確かに金利10%と一見良さそうに見えるのですが、金利10%でも1ヶ月運用では1/12分の約0.84%以上の利益をカバーすれば良いわけです。

また、利用者は特約レートに縛られますが、運用会社は購入時のレート(特約レート)と満期時のレート(基準レート)が分かっており、最後の受取元本を円貨/外貨(米ドル等)のどちらにするか決めれるわけで、運用会社としては特約レートと実際レートの差を考慮して利益の出る方(又は最も損失の少ない方)で売買をすれば良いわけです。

特約レートも基準レートも運用会社が決めますので、たぶん損をすることがありません。円高でも円安でも利益は出せるように考えているのではないかと思います。

とはいえ、面白い商品なので少額ですこし遊んでみようかなと考えています。

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NEOBANKのコイントスの損益検討
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