定年後の社会保険の手続きにおける留意事項、100歳安心設計

定年後は健康保険・介護保険等社会保険料が全額自己負担になりますので、大幅に増額します。また、失業給付や高年齢求職者給付金を受給するためには、離職理由等を正しく記載する必要があります。さらには年金受給についても留意すべき点があります。これらの説明を2つの記事に分け、今回は社会保険等を中心に記載します。

退職時の健康保険・介護保険と失業給付・高年齢求職者給付金

健康保険

退職後の健康保険の選択肢としては次のとおりです。よく教科書にでているのは①~③ですが、一部の企業では④特例退職者被保険者制度(以下、特退と称します)があります。③と比較すると加入条件が少し厳しいようですが希望により75歳以降の後期高齢者医療制度に加入する満75歳前まで加入できます。

  1. 親族の扶養者になる
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 任意継続被保険者制度に加入する
  4. 特例退職者被保険者制度(特退)に加入する ※一部の企業のみ。

③④の保険料は会社負担が無くなりますので(全額本人負担)、以前より高くなりますが、現役世代と同じサービスを受けれますので、とりあえず入っておくのが良いと思います。暫く様子をみて、国民年金保険の方がメリットがあると判断された時に止めれば良いだけです(やめる場合は保険料納付を止めれば自動的に脱退させられます)。

特例退職者被保険者制度加入企業の一覧表(平成26年に資料なので古いですが)を下記記事に掲載しておりますので、ご覧ください。

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特退

介護保険

会社勤めの人は、健康保険同様に介護保険(40歳以降)も半分は会社負担で、しかも奥さんの分の含まれていました(単身者も夫婦も世帯として同じ保険料)。しかし、65歳以降会社を離れると夫婦各々が全額自己負担となります。

夫(④に加入)と妻の保険料の考え方は次のとおりです。

  • 夫(私):介護保険料な年金天引き(特別徴収)または口座振替又は納付書(普通徴収、年金天引きになる前まで)で納付します。
  • 妻(奥さん):40歳以上65歳未満の場合は、会社の健康保険組合が徴収して納付します(全額自己負担)。

私の場合は、会社退職後の保険料は実質6倍程度になりました。冗談ではありません、事実です。

詳細は次の記事をご覧ください。

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65歳からの介護保険料

失業給付と高年齢求職者給付金

失業給付と主な手続き

会社を辞めた人は、雇用保険上、年齢や理由等により一般離職者と特定理由離職者に分かれます。一般離職者とは、自己都合退職・定年退職・契約期間満了等で会社を辞めた人です。また、特定理由離職者とは、会社が倒産したり自分の意思に反して解雇等になった方です。

失業給付の日額は基本手当といいます。この日額の算出方法は、離職した日の直前6カ月間の平均から計算され、5~8割程度の支給となります。

手続きの流れは次のとおりです。

  1. 退職時に会社から雇用保険被保険者離職票(以下、離職票と称します)をもらいます。
  2. ハローワークで求職申し込みを行い、離職票を提出します。
  3. ハローワーク申込後、7日間の待期期間があり、この間仕事はしないようにします。
  4. ハローワークにて「受給資格」が決定されます。
  5. 受給資格決定後、受給説明会(雇用保険受給者初回説明会)の日程のお知らせがあり、指定日時に受講します。
  6. 受給説明会では、重要説明の他に「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」をもらい、「失業認定日」のお知らせがあります。
  7. 指定された「失業認定日」にハローワークへ行き、失業の認定を受ける事で「失業給付金」が受給できます。失業の認定は原則4週に1回行われます。

高年齢求職者給付金

「高年齢求職者給付金」とは、雇用保険の加入者が65歳以上で離職して「失業状態」にある時に支給される失業給付です。雇用保険の一般の失業給付とは、主に次の点で異なります。

  • 一時金で支給されます。
  • 年金との支給調整がありません。

支給額は次のとおりです。

被保険者期間高年齢求職者給付金額
1年未満基本手当日額30日分
1年以上基本手当日額50日分
【高年齢求職者給付金の給付金額】

手続きの具体的な方法は次の記事をご覧ください。

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高年齢求職者給付金の申請

なお、1点注意点があります。それは「離職票-2」の「離職理由」です(離職票には、離職票-1と離職票-2があります)。

離職票は会社から渡されるもので会社担当者が記入済の箇所がほとんどです。この内容を本人が確認して必要に応じて追記していきます。私の場合の離職理由は、「3 労働契約期間満了による離職 (2) ②」で、「具体的事情記載欄(事業主用)」には、期間満了他と記載されていましたので、その下「具体的事情記載(離職者用)事業主が記載した内容に異議がない場合は「同上」と記載してください。」とありましたので、私も「同上」と記載しました。

しかし、ハローワークの担当者からこの理由では待期7日にさらに3か月失業認定日が延びると指摘され、雇用延長を希望できなかった理由も記載した方が良いとアドバイスを受けました。その結果、「体力の低下」を追記しました(ハローワーク担当者に感謝)。この部分は担当者にしっかりと確認した方が良いです。

主な留意点をまとめると

これまで述べた内容で特に留意する点を記載すると次のとおりです。

  • 会社に特例退職者被保険者制度があるか確認する。あればとりあえず加入する。
  • 健康保険・介護保険は会社負担がなくなり全額自己負担となる。特に介護保険は、個人に課せられるので夫婦2人の場合、大幅に負担が増える
  • 離職票の離職理由では、「期間満了他」以外に雇用延長を希望できなかった理由も追記する。

さいごに

今回は退職後の健康保険・介護保険と雇用保険の高年齢求職者給付金を受給されるための留意点等を私の経験を基に説明しました。これらは、安心して長生きするための定年後の第1歩になります。引き続き、年金開始に関する記事を次にまとめたいと思いますので、暫くお待ちください。

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退職後の社会保険手続きにおける留意点
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