NEOBANK(住信SBIネット銀行)には、特殊な定期預金である仕組預金オセロがあり、最新の募集では預入期間1ヵ月で金利8%と好金利です。ただし、預入時の通貨は外貨、満期時の受取の際の受取元本は、円高か円安かで外貨か円貨になり、しかもこの選択を自分で行う事が出来ません。実際に活用できるのかを損益試算してみましたので説明します。
NEOBANKのオセロとは
NEOBANK(住信SBIネット銀行)では、特約付きの定期預金商品を仕組預金と称しており、その一つに元本通貨変動型外貨仕組預金があり、愛称オセロ(タイプ2)として商品化されています。
外貨としては、米ドル、ユーロ、ニュージーランドドル、南ア・ランドがあります。
例えば、米ドル型の主な特徴は次の表のとおりです。預入期間は1ヵ月のみ、預入通貨と受取利息は外貨ですが、受取元本は円貨か外貨になります。この受取元本の選択はNEOBANKが実施し、自分では選択できません。
名称 | 預入期間 | 預入通貨 →受取元本 | 受取利息 | 預入単位 |
---|---|---|---|---|
円仕組預金 オセロ | 1ヵ月 | 外貨→円貨or外貨 | 外貨 | 1,000ドル 以上 |
執筆時点の最新のオセロ募集要項(抜粋)は次のとおりです。特約通貨が米ドルになっていますので、特約レートを含めて円高になると受取元本が外貨(米ドル)となり、特約レートよりも円安になると受取元本が円貨になります。どちらを選択するかは、特約判定日の特約レートと基準レート(特約判定日の午後3時のNEOBANKが定める為替レート)との比較で行われます。
- 預入通貨:米ドル
- 適用金利:年8.0000%(税引前)※税引後6.3748%
- 預入期間、預入単位:1ヵ月、1,000ドル以上0.01ドル単位
- 募集期間:2022年11月25日~12月5日
- 預入日、満期日:2022年12月8日、2023年1月10日
- 特約レート:2022年12月6日午前10時の当社為替レート
- 特約判定日:2023年1月5日
オセロの損益
上記募集要項の金利8%等、ある仮定条件の下で損益を検証してみたいと思います。
仮定する条件
損益を試算する上で仮定する条件は次のとおりです。元本は切れの良いところで1,000ドル、特約レートは140円/ドル、基準レートは135円/ドル~145円/ドルで刻んでみました。為替手数料は、受取元本を米ドルで受取った場合に円貨に交換する手数料です。NEOBANKはネットバンクの中で為替手数料が安く、米ドルの場合は片道6銭です。
- 元本:1,000ドル
- 適用金利:8.00%
- 特約レート:140円/ドル
- 基準レート:135~145円/ドル
- 為替手数料(米ドル⇔円貨):片道6銭
円貨での損益表
次の表は、上記条件での元本1,000ドル、金利8%、特約レート140円/ドル、為替手数料6銭で、基準レートを135~145円/ドルで刻んで計算した場合のものです。ただし、計算を簡略化しているところもあり若干誤差がありますので、ご容赦ください。
- 基準レート:特約レート140円/ドルと比較される特約判定日(2023年1月6日)の基準レートです。
- 税引前利息:利息8%は年率なので、日割り計算した結果です。
- 税引後利息:税引前利息から源泉徴収される税金20.315%(復興特別所得税を含む国税15.315%、地方税5%)を除いた値です。
- 受取元本 同じor円高 ※ドル受取:特約レート140円と比較して円高(140円/ドルを含めて)であれば米ドルとなりますので、1,000ドルです。
- 受取元本 円安 ※円受取:特約レート140円と比較して円安であれば円貨になり、140,000円(=元本1,000ドル×特約レート140円/ドル)です。
- 受取元本+税引後利息 円高 ※ドル受取:米ドルで受取る税引利息と元本の和です。
- 受取元本+税引後利息の円換算値:受取る税引利息と元本を全て円換算した値です。米ドルの場合は、為替手数料6銭/ドルを差し引いた値になっています。
- 元本との差分 円換算値:円換算した元本14,000円(=1,000ドル×140円/ドル)と上記⑦との差分です。
結果としては、特約レートと同じ又は円安になっていれば利益がでますが、円高では損失が発生します。円高の場合はあえて円貨に交換しないで米ドルをそのまま保有し、運用するのが良さそうです。
どのように活用するか
結論としては次のようでしょうか。
- 仕組預金オセロは、米ドルを保有している人が円安傾向が続きそうな時期で、そろそろ米ドルを円に交換しても良いと考えるような時に購入する。
- 特約レートより円高になり、その結果、受取元本が外貨になった場合は、直ぐに円貨に交換しないで外貨保有・運用を行う。
今回の結果では、1円でも円高になると損失が発生します。1ヵ月先の事とはいえ、何か起こるか予測不可能です。
1ヵ月先は円高か円安かという事で丁半のギャンブルのようです。このため、上記結論のような方針でなら実施しても良いのではないかと思います。
その際は、やはり余裕のある資金で少額の投資に留めるべきと考えます。
さいごに
NEOBANKの仕組預金オセロについて、損益試行をしてみました。結果は、円高の場合は損失が発生する事がわかりました。
確かに金利8%と一見良さそうにみえますが、これは年利ですので1ヶ月運用では1/12分の月利約0.667%です。為替レート140円/ドルで1円動くと約0.71%ですので、スプレッド分を考えなければ1ヶ月金利を上回ります。
これを考えるとFX(外国為替証拠金取引)の経験がある人であれば、レバレッジ1でFXを行った方が良いのかもしれません。
為替は円安/円高どちらに動くのか見極めるのが困難ですので、仕組預金オセロもギャンブル同様に少しのお金で楽しむものと割り切る事が肝要ではないかと考えています。
なお、本稿では、NEOBANKの仕組預金オセロについて説明しましたが、NEOBANKには預入元本を円貨で行う同様の仕組預金コイントスがあります。仕組預金コイントスの損益試算については、次の記事にまとめていますので、ご覧ください。
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