ヘルスケア系REITにみる介護施設入居者の状況、KDRの場合

ヘルスケア系REITであるケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(KDR)には介護系施設等への割引や無料体験宿泊などの投資主優待制度があります。KDRの第20期資産運用報告書の中に保有介護施設の情報が掲載されていましたので、入居者情報の一例として紹介します。

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(KDR)とは

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人(ここでは略称としてKDRと称します)は、主に「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」に投資するREIT(不動産投資信託)です。

母体は居住用施設系の「ケネディクス・レジデンシャル」でしたが、2018年にヘルスケア系の「ジャパン・シニアリビング投資法人」と合併し、いまのKDRとなっています。

第20期(2021年8月1日~2022年1月31日)の資産運用報告に記載されている運用不動産資産額の割合では、ヘルスケア施設23%、居住用施設75%、宿泊施設2%となっています。さらに、ヘルスケア施設については投資主優待があります。

KDRの詳細については、次のサイトをご覧ください。

介護施設の入居時期等について

以前推定した要介護時期等とKDR資料から入居者の状況を見ていきたいと思います。

国の調査結果からの推定では

以前、他の記事で、政府広報オンラインと生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」を基に日本FP協会が作成した資料等から、考えるべき要介護時期と必要費用を出してみました。

  • 要介護時期:要介護者等の性・年齢別構成(2019年)を見ると男性75歳以上・女性80歳以上から顕著に増えていきますので、遅くとも各々5年前ぐらいには検討を終えている必要があります。
  • 必要費用:前節のとおり、平均介護費用3,097万円(≒平均初期費用234万円+平均月々費用15.8万円×平均介護期間181.2か月)から想定される年金支給額を差し引いた金額が準備すべき必要費用となります。

詳細については、次のサイトをご覧ください。

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KDR資料の入居者状況

KDRの第20期決算説明資料に参考情報として掲載されていたKDR保有のヘルスケア施設状況(入居者の平均年齢と要介護度、ヘルスケア施設の状況、施設別の平均要介護度と月額利用料)を基に、「国の調査結果からの推定では」で出した数値との比較をしてみたいと思います。

入居者の平均年齢と要介護度

ヘルスケア系施設では、KDRのシニアリビング施設の数値で見てみます。入居者の平均年齢87.5歳(2021年12月)、平均要介護度1.9です。平均年齢については、年々高齢化しており、平均要介護度はあまり変化がありません。

また、平均年齢では、男女の区別が分かりませんが80歳から90歳ぐらいと考えるとこちらの方が「国の調査結果からの推定では」の値よりも高年齢のように見えます。

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人保有のヘルスケア系施設入居者の平均年齢と要介護度
【入居者の平均年齢と要介護度】※KDR第20期決算説明資料から

なお介護度の言葉は、介護保険制度で使用するものです。介護保険制度の要支援と要介護とはおおむね次のような状態を指します(厚生労働省:介護保険制度における要介護認定の仕組みから)。

  • 要支援状態:日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態。
  • 要介護状態:日常生活上の基本的動作についても、自分で行うことが困難であり、何らかの介護を要する状態。
    • 要介護1:要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態。
    • 要介護2:要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態。
    • 要介護3:要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態。
    • 要介護4:要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態。
    • 要介護5:要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態。

ヘルスケア施設の状況

次の図は、KDRの価格帯等の情報です。ここで、月額入居費用とは一般向けの一人部屋の月額利用料(介護保険サービスの自己負担額を除きます)に一時金がある場合にはその一時金を想定居住期間で按分した金額を加算した値です。

「国の調査結果からの推定では」の平均月額費用は15.8万円(一時金無し、2021年)ですので、下図の範囲に入っており、同程度と思われます。

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人保有のヘルスケア系施設の状況
【ヘルスケア系施設の状況】※KDR第20期決算説明資料から

施設別の平均要介護度と月額利用料

ついでに、KDRヘルスケア系施設(投資主優待制度有り)別の平均要介護度と月額利用料の資料もありましたので、参考に紹介させていただきます。

費用面で考えるとこのような資料は大変参考になります。さいごは相性が重要ですので、事前検討時の見学も必須だと思います。

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人保有のヘルスケア系施設の平均要介護度と月額利用料
【施設別の平均要介護度と月額利用料】※KDR第20期決算説明資料から

KDR入居者状況から要介護時期と必要費用を見直すと

結論からいえば、それほどの見直しは必要ないと思います。要介護時期はもう少し後でも良いかもしれませんが、発症してから検討では遅いので、なるべく早くに検討すべきです。

再掲すると次のとおりです。

  • 要介護時期:要介護者等の性・年齢別構成(2019年)を見ると男性75歳以上・女性80歳以上から顕著に増えていきますので、遅くとも各々5年前ぐらいには検討を終えている必要があります。
  • 必要費用:前節のとおり、平均介護費用3,097万円から想定される年金支給額を差し引いた金額が準備すべき必要費用となります。

さいごに

認知症は恐ろしい病で、現状の医療では完治する事はないそうです。しかし、発症時期を遅らせたり、発症後の進行を遅くしたりは可能です。十分な金銭的な手当の他に、認知症を回避するような事も検討し、実践する事で、また一つ新たな趣味が生まれるかもしれません。

避けられない老化ですが、少しでも良いお付き合いをしてみたいものです。

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