業として税務書類等を作成する事は、税理士でなければなりませんが、そもそも成年後見人が被後見人に対して確定申告等の書類を作成しても良いのでしょうか。答えはOKです。そろそろ年末調整や確定申告の準備を始める時期になり、少し疑問を持ちましたので調べてみました。
納税と税理士の業務
日本の納税システムは、本来、自分で税金を計算して税務関係書類を作成し、納税する事が原則です。これを「申告納税制度」といいます。
ただ、日本の税務システムは大変複雑ですので、税理士の方々が業として、顧客に代わり税務書類の作成、税務の代理等を行っています。これは税理士法で規定されており、一部の例外を除いて税理士以外の人が業として税務書類の作成等を行うと罰せられることになります。
国税庁のサイトに記載されている「非税理士により行うことが禁止される税理士業務」(青字をクリックするとサイトへ移動します)では、次のとおりです(簡単に記載するために意訳していますので詳細はサイトをご覧ください)。
- 税務代理:税務官公署に対する申告等につき、調査や処分に対する主張・陳述等を代理・代行すること。
- 税務書類の作成:税務官公署に対する申告等に係る申告書等を作成すること。
- 税務相談:税務官公署に対する申告等、主張・陳述又は申告書等の作成等に関して相談に応ずること。
成年後見人の税務申告等
成年被後見人は自分で税務を行う事が困難です。この場合、成年後見人は、包括的代理権を有する法定代理人に当たります。この代理権に基づき、成年被後見人に代わって法律行為を行うことになり、税務申告についても業として行わない限り、税理士法には違反しません。
成年被後見人が年金受給者等所得税の確定申告が必要な場合は、「納税管理人」として本人に代わり各店申告の手続きを行うことになります。
納税管理人と代理申告手続き
納税管理人とは、納税義務者に代わり、納税に関する一切の手続き(納税通知書の受領・納税・還付通知の受領・還付金の受領など)を行う人の事です。
納税義務者である成年被後見人は納税に関する手続きが困難ですので、代わりに成年後見人が所得税の確定申告を行う際に、税務署に対して「納税管理人」として代理申告手続きを行う旨届け出る必要があります。
そして申告書には、成年後見人であることを証明する「登記事項証明書」の写しを添付します。
この「納税管理人」には、成年後見人の他に、海外へ長期出国される人など(納税通知書の受領や納税ができなくなる等)が納税管理人の申告をする必要があります。
申告が必要な主な例
ご参考までに申告が必要な主な例を挙げます。確定申告をされている方は良くご存じですね。
- 公的年金:日本年金機構は年金を支払う際に所得税を源泉徴収します。この源泉徴収はいろいろが控除を受ける事ができ、その計算の基になる「扶養親族等申告書」の提出が必要です。この記載内容に変更がある場合には確定申告を行います。
- 不動産所得:家賃収入等の不動産所得がある場合に確定申告を行います。
- 不動産を譲渡所得:不動産を売却して一定の譲渡所得が発生した場合に確定申告を行います。
- 所得控除:そして申告する時に忘れていけないのが各種控除です。医療費控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険控除、自身保険控除、寄附金控除等々です。
さいごに
定年も過ぎて、最近の興味は、成年後見制度です。60歳も後半になってくると自分はもちろん、奥さんや周りの方々の一緒に年を重ねていきますので、その後の介護とか認知症等が不安になってきます。そのために少しづつでもと思い成年後見制度を調べています。
この中で税務は代理できるのだろうかというのが今回の記事の発端です。結果的には、商売でなければOKでした。疑問点は一つ一つ解決して、備忘的にこれからも記事にまとめていきたいと考えています。
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