「かんたん相続信託」はオリックス銀行が提供する商品で、相続発生時に簡単な手続きで預けたお金を引き出す事ができます。ネットと郵送で手続きができ、新たな口座を開設する必要もありません。大変有効な商品だと思いますので、簡単に紹介します。
相続発生時に困ること
自分が亡くなると自分名義の銀行口座等は凍結されます。このため、相続者全員の合意がなければこの銀行口座等からお金を引き出すことができなくなり、奥さんや子供たちが葬式費用の支払いや当面の生活費に困ることになります。
相続される預金については、民法が2019年7月1日に一部改正され遺産分割前に相続預金の払戻し制度が創出されました。これにより、被相続人(故人)の銀行口座等(預貯金債券)に預入している金額に対して法定相続分の1/3までを相続人単独で払い戻しできるようになりました。ただし、1つの金融機関から払戻しできるのは150万円までです。
この民法改正により、暫くは家族がお金の面で困らないようになると思われますが、さらに万一の事前対策として生命保険や信託銀行の相続型信託の活用を考えておくと良いと思います。
かんたん相続信託とは
かんたん相続信託とは、オリックス銀行が提供する相続型信託の一つです。主な特長と今回募集の「かんたん相続信託2022年11月号」の概要について説明します。
主な特長
かんたん相続信託とは、顧客(本人)から信託で預けられた資金を、本人が亡くなられて相続が発生した際に、あらかじめ指定されている受取人(例えば奥さん)にその資金を一括でお渡しする商品です。
主な特長は次のとおりです。
- 簡単な手続きによる支払い:相続発生時にあらかじめ指定された受取人からの請求により支払われます。請求時に必要な書類は以下のとおりです。
- 本人の死亡が確認できる書類(医師の死亡診断書または除籍謄本等)の原本
- 証書(かんたん相続信託証書)
- 受取人の本人確認書類
- 本人と受取人の個人番号を確認するための書類
- 支払請求書(オリックス銀行から郵送)
- 口座開設・来店不要:申込みの際の口座開設・来店は不要で、全てネットと郵送で完結します。
- 元本保証:元本が保証されている商品で、預金保険制度の対象です。
- 中途解約可能:中途解約できる商品です。ただし、一部解約はNGで全部解約のみになります。
「かんたん相続信託2022年11月号」の募集要項等
今回の「かんたん相続信託2022年11月号」の募集要項・予定配当率等は次のとおりです。
- 募集期間:2022年10月1日(土)~2022年11月15日(火)
- 募集期間中に信託設定申込書等の提出と申込金の入金が必要です。また、資料請求受付は、2022年11月4日までです。
- 前回募集は2022年9月でした。2022年は奇数月毎に設定・募集されています。
- 信託契約日:2022年11月30日(水)
- 信託終了日:2052年11月30日(土)
※非銀行営業日の場合はその前営業日。 - 申込金額:100万円以上3,000万円以下(100万円単位)
※顧客が保有する金融資産の1/3までの金額。 - 予定配当率:年0.20%(税引き後年0.159%)※2022年設定月号は全て同じ配当率です。
- 管理報酬:管理報酬は有りません。ただし、運用報酬として毎年の計算期日および信託終了日に、運用収益から顧客への収益金および信託財産に関する租税その他信託事務の処理に必要な金額が差し引かれます(信託元本に対して年0.01%から3%の範囲内)。
手続き方法
オリックス銀行は実店舗が無いネット銀行ですので、全てネットからの手続きと郵送で完結します。手続きの流れは次のとおりです。
- 資料請求
- 郵送による申込み
- 申込金の振り込み
- かんたん相続信託の契約成立(信託設定日確定)
- かんたん相続信託証書の受取り
留意事項
既に述べたことを含めて主な留意事項は以下のとおりです。
- 申込み期間は、(常時ではなく)決められた募集期間中のみ可能です。今回は、2022年10月1日(土)~2022年11月15日(火)ですので、この期間中にオリックス銀行へ申込み等の提出と指定口座への入金が必要です。
- 信託契約が成立後、「かんたん相続信託証書」が発行されます。預金を受取る際にこの証書が必要ですので、家族と共有しておきましょう。
- 信託契約成立後の追加信託が出来ません。受取人が同一人である同種の契約は1件に限ります。
- かんたん相続信託は預金保険制度の対象です。つまり一行あたり、他の預貯金等を合算して1,000万円+その利息が保証されます。
さいごに
相続型信託は、オリックス銀行以外でも各行ユニークな内容で他の信託銀行で扱っています。例えば、三菱UFJ信託銀行の「ずっと安心信託」などがあり、これも個人的にはお勧めだと考えています。そして今回紹介した商品は、予定配当率が比較的良く、申込金額も比較的低いので利用しやすいのではないかと思います。
自分が万一の時の備えなので、自分の実利にはなりませんが、さいごは家族に感謝されようにいきたいと思います。
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