地政学リスクの高まりにより株式市場の混乱が続いています。一方、金については直近の急騰が目立ったきました。特に米国株式市場は、この他に中国バブル崩壊懸念や米国政策金利高止まりの影響により下降トレンドに入りそうな気配があり、日本株式市場も連れ安になる可能性が高まっています。このため、資金の退避先として金のETFや投資信託を調べてみました。
金相場の状況
次のチャートは、過去1ヵ月のゴールドの動きです。米国政策金利の利上げ観測により暫く軟調でしたが、10月前半で底をうち、上昇しています。中東では、10月17日にイスラエルへの攻撃がありましたが、直ぐには動意しませんでした。しかし、その後急伸している状況です。
金ETFの例
まずは東証に上場しているETFです。3銘柄を2023/10/20時点のデータで例示しています。
区分 | SPDRゴールド・シェア | 純金上場信託(現物国内保管型) | (NEXT FUNDS)金価格連動型上場投信 |
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運用会社 | ワールドゴールド | 三菱UFJアセットマネジメント | 野村アセットマネジメント |
上場時期 | 2008.6.30 | 2010.7.2 | 2007.8.10 |
売買単位 | 1株 | 1株 | 10株 |
株価 2023.10.20 | 27,490円 | 9,029円 | 7,325円 |
出来高 2023.10.20 | 12,495 | 183,546 | 15,320 |
信託報酬 | 0.44% | 0.539% | 0.55% |
SBI証券や楽天証券では、2023年10月から国内株式等の取引手数料が無料になりましたので、これらの銘柄の取引手数料は0です。このため、コストとなるのは信託報酬のみですこの信託報酬の最も低い銘柄は「SPDRゴールド・シェア」です。
また、最も人気のある銘柄は(出来高が多い)、「純金上場信託(現物国内保管型)」です。これは愛称「金の果実」シリーズの一つで、現物を国内に保管し、一定数量になると現物に交換できるので人気が出ている商品です。
なお、「純金上場信託(現物国内保管型)」の最近の値動きを見ると次のとおりで、急伸しているのがわかります。
金を対象として投資信託の例
次に金を対象として投資信託の例です。全てノーロード(取引手数料無料)・インデックス型の投資信託です。
区分 | SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金) | SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし) | 三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド) |
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委託会社 | SBIアセットマネジメント | 三井住友トラスト・アセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
設定日 | 2023.6.8 | 2017.11.28 | 2011.2.7 |
基準価額 | 9,701円 | 12,316円 | 23,326円 |
純資産 | 1,217百万円 | 5,652百万円 | 144,682百万円 |
運用管理費用 (含.信託報酬) | 0.1838%程度 | 0.675%程度 | 0.99%程度 |
「SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)」と「SMTゴールドインデックス・オープン」は共に為替ヘッジあり・為替ヘッジなしがありますが、ここでは為替ヘッジなしのデータをあげています。
運用管理費用が最も低いものは「SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)」ですが、この銘柄はSBI証券でしか購入できません。また、比較的最近の設定日なので、純資産も小さいです。
三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)は、先に紹介した「純金上場信託(現物国内保管型)愛称:金の果実」をマザーファンドとして投資信託です。ただし、この投資信託では一定数保有していても金の現物への交換はできません。
結論として
ETFと投資信託を比較すると、ETFは株式同様にリアルタイムで指値注文が可能ですが、投資信託ではその日の取引後に基準価格が決まりますので、指値注文ができません。
また、信託報酬等の運用管理費用では、一般的にETFの方が割安でしたが、投資信託の「SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)」がそれを打ち破りました。
このため、私の場合はSBI証券に取引口座を持っていますので最も保有コストが低い投資信託の「SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)」にしようかと考えています。
さいごに
中東等地政学的リスクや中国不動産問題への不安等で金が急伸していますので、今回、金の国内ETFと投資信託を一例としてまとめてみました。今週末での急騰から現在は少し下降気味ではありますが、有事の金として少し保有を考えても良いのではないかと思います。
ただし、このような急騰は仕掛けに便乗した買いにより生起した可能性が高いので、上値を追った後は、一旦売り時を考えつつ行うのが良いのかもしれません。それとも危うきには近づかずで一旦手じまいして様子見でも良いのではないかと思います。
投資にはリスクが付きものです。投資判断はあくまでご自身で行ってください。
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