貸株視点からの株主優待銘柄の対応方法と注意点

保有株式を証券会社に貸し出すと銘柄に応じた金利を得る事ができる貸株サービスがあります。市中銀行の金利よりも良いので中長期保有している株式では、メリットがあります。しかし、証券会社に貸し出すことで、次に同じ株式を受けだす時と株主番号が異なりますので、銘柄によっては株主優待の条件と合わなくなって却って損をしてしまいます。株式優待銘柄を貸株にする場合の注意点について説明します。

貸株サービスの種類

貸株サービスの方式としては、大きく分けて次の3種類あります。

金利優先の貸株方式

保有株数を株式売却まで貸出ます。メリットとデメリットは次のとおりです。

  • メリット
    • 貸出期間に途切れがありませんので、最大限の金利を得る事ができます。
  • デメリット
    • 株主権利確定日も貸出ていますので、株主優待の権利は取得できません
    • 配当金そのものは得られませんが、代わりに同額の配当金相当額(源泉徴収税額を差し引いた金額)を得る事ができます。しかし、配当金相当額は雑所得なので、配当控除の対象とはなりませんし、株式等の譲渡損との通算もできません。

株主優待優先の貸株方式

株主優待銘柄について、株主権利確定日までに一時的に貸出を解除して株主優待権利を取得し、その後再度自動で貸出手続きをしてくれる方式です。SBI証券の「優待権利自動取得サービス」楽天証券の「株主優待優先ケース」です。 メリットとデメリットは次のとおりです。

  • メリット
    • 継続保有期間の条件がない銘柄の株主優待を享受することができます。
    • 株主優待と同じ株主権利確定日の株式配当金を得る事ができます。
  • デメリット
    • 継続保有期間の条件がない銘柄では、一時的に貸出解除・再度自動貸出を行うと株主名簿に記載されている株主番号が変わります。このため、継続保有期間のある株主優待を得る事ができません
    • 株主優待の株主権利確定日と異なる株主権利確定日は、貸出が継続されているので配当金相当額(源泉徴収税額を差し引いた金額)になります。つまり、この配当金相当額は配当控除の対象でも無く、株式等との譲渡損通算ができません

株主優待と配当控除を考慮した貸株方式

株主優待や配当金の権利確定日に、自動的に利用者の口座へ株式を返却し、株主優待や配当金の権利を取得します。 これには楽天証券の「株主優待・予想有配優先ケース」があります。 メリットとデメリットは次のとおりです。

  • メリット
    • 継続保有期間の条件がない銘柄の株主優待を享受することができます。
    • 株主権利確定日の株式配当金を得る事ができます。このため、配当控除の適用や株式等との譲渡損の通算が可能になります。
  • デメリット
    • 継続保有期間の条件がない銘柄では、一時的に貸出解除・再度自動貸出を行うと株主名簿に記載されている株主番号が変わります。このため、継続保有期間のある株主優待を得る事ができません

これらは、次の記事でもまとめていますので、ご覧ください。

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貸株の注意点

株主優待銘柄の貸株視点からの比較

いくつかの株主優待銘柄について、貸株の視点から比較してみます。

次の表は、全て株主優待銘柄です。株式優待は、「株主優待確定日」に保有しているか「株主番号一致」しているか等の条件があり、優待の有無が決まります。

また、株式配当は通常年2回ありますが(業績が悪く無配の時もあります)、この配当時期に合わせて優待回数(株主優待回数)が年2回(2と記載)あるか、年1回(1と記載)あるかを示しています。

さらに、銘柄「SBI HD」のXRPとは暗号資産の一種であり、銘柄「R-KDR」はREITのケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人のことです。

株主優待銘柄の例
【株主優待銘柄の例】

株式番号一致が〇や△のある銘柄は、継続保有条件があるものですので(△は一部継続保有条件あり)、貸株については慎重に考えなければなりません。

例えば、銘柄「雪国まいたけ」の場合は、6カ月以上継続保有が条件ですので、株主優待を得るためには貸株はNGです。

また、例えば銘柄「KDDI」で「株主優待優先の貸株方式」を選択した場合は、権利確定日に100株を保有していると3千円相当のカタログギフトがゲットできますが、株主番号が株主優待権利確定日等でその都度変わりますのでいつまで経っても5年以上継続保有とはなりません。そして、優待回数は年1回で、株式配当の年2回とは異なります。このため、株主優待時期と同じ株式配当権利日では通常の配当金を受取りますが、株主配当時期と異なる株式配当権利日には配当金相当額を受取る事になりますので、この分は配当控除対象外になります。

さらに「KDDI」で「株主優待優先の貸株方式」を選択した場合は、通常の配当金を受取る事ができますが、 株主番号が変わりますので、やはり株主優待はいつまで経っても 5年以上継続保有のものはもらえません

期待と貸株の対応

折角の株主優待ですので、継続保有条件のある銘柄でももらえるものは全てもらいたいものです。また、高額所得者でなければ、株主配当の税金は、所得税を総合課税+配当控除有りとし、住民税は申告不要とするのが有利ですので、配当控除できるように考えるべきです。

つまり、継続保有期間の必要な株主優待を得る事と配当控除を使えるようにするためには、次のようにしなければなりません。

  • 継続保有期間の必要な株主優待を得るためには
    • 貸株をしない。
    • 又は、株主優待を得るために必要な株数を除いて貸株にする。
  • 配当控除を適用するためには
    • 「配当控除を考慮した貸株方式」があればこれを活用する。例えば、楽天証券の「株主優待・予想有配優先ケース」です。
    • 株式配当権利確定日の前後で貸株解除と再貸株を自分で実行する。

さいごに

貸株からみた株主優待の比較と対応方法をまとめてみました。これに関連して楽天証券とSBI証券等の貸株サービスを調べて見ましたが、楽天証券の範囲が広いのが良いですね。楽天証券は、投資信託の定期売却サービスでも定率売却があるなど対応範囲が広く、意外と地道なところでのサービス拡充を図っているという印象で好感が持てます。

これからも利用者目線での改善を期待したいと思います。

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