投資信託定期売却サービスの定率指定における年間受取額の推移と留意点

定期的に保有する投資信託を売却して受取る定期売却サービスには、金額指定だけでは無く、定率指定が可能な金融機関があり、受取る金額は変動しますが比較的受取期間を延ばす事が可能です。長生きリスクに備えることにもなる定率指定について、どの程度受取期間を延ばすことができるのかを試算してみました。

投資信託定期売却サービスと受取指定方法

投信信託の定期売却サービスとは、言葉のとおり定期的に指定した方法で売却し、その金額を受取る事ができるサービスです。投資信託として運用しつつ定期的に取り崩していくことになりますので、比較的長い期間に渡り売却金を受取ることができます。

のため、老後の年金だけでは不足する生活資金に補填するなどに活用することができますので、最近ではいろいろな金融機関がこのサービスを実施しています。

投資信託を定期的に指定する売却方法としては、次のとおり、金額指定、定率指定、期間(定口)指定があります。

  • 金額指定:毎月一定額を売却して得た金額を受取る方法です。
  • 定率指定:毎月指定した割合に相当する口数を売却して得た金額を受取る方法です。
  • 期間(定口)指定:指定した最終受取年月から売却回数を求めます。売却回数で原資を割る事で1回当りの売却口数を出し、毎月その口数を売却して得た金額を受取る方法です。

各々の特徴は次の記事でまとめていますので、ご覧ください。

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投資信託定期売却サービスのおける原資と利回りによる受取額の試算

定率指定での検証

各々一長一短がありますが、金額指定では受取る期間が短くなる可能性があること、また期間指定では期間が固定されてしまうこと(これがメリットでもあるわけですが)等で、受取期間がほぼ自動的に延びていく可能性のある定率指定について、ある仮定の下でその効果を見て行きたいと思います。

仮定

定率受取方法で試算する上での仮定は次のとおりです。

  • 原資(投資信託の当初保有額):1,000万円
  • 投資信託の分配金利回り:3%
  • 運用金融機関:楽天証券

ここで、運用金融機関を楽天証券にした理由は次のとおりです。

  • 受取方法に定率指定が可能(金額指定や期間指定も可能です)。
    • 楽天証券の定率指定:毎月受取率を0.1%以上0.1%単位で指定できます。指定した率で算出された金額が最低売却金額1,000円に満たない場合に解除されます。
  • サービス対象口座が一般、特定、NISA、つみたてNISAと種類が多い。
  • 定期売却設定があってもスポットの売買注文が可能。※ただし、同一口座で積立設定のある銘柄の定期売却設定は不可。

なお、楽天証券とSBI証券の投資信託定期売却サービスの概要については次の記事で概要をまとめていますので、ご覧ください。

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投資信託定期売却サービスの比較

→楽天証券公式サイトを見る

試算結果

定率指定を2%から10%として年当りの受取金額を計算してみます。実際は受取金額は月当たりなのですが、年当りで計算していますので、少し誤差が出ます。

節目となる年齢での受取年額

参考の年齢として夫65歳、妻62歳(夫の3歳下)として妻が100歳まで計算しています(相続・贈与等は考えていません)。

夫65歳で完全定年となったとして、平均余命をみると、男性が65歳時点で19.83年、女性は62歳時点で27.34歳です(厚生労働省令和元年の生命表)。男性で約85歳まで、女性で約90歳までとなります。さらに女性の場合は、100歳時点で20%の方が存命という予測があります。

この表は原資1,000万円、分配金利回り3%ですので、定率指定3%では原資と同じ投資信託評価額が一生続くことになります。ただし、受取年額30万円ですので、月当たり2.5万円と少ないので、原資を増やすか定率指定を4%以上にすることが必要かもしれません。

年を重ねると支出も減少するものなので、定率指定を4%以上にしても良いかもしれません。

原資1,000万円、投資信託運用利回り3%における夫婦年齢に対応した定率指定での年間受取額
【夫婦の年齢に対応した受取年額】
※ 原資1,000万円、投資信託運用利回り3%

受取年額の推移

前の表は、節目となる年齢での受取年額でしたが、次のグラフは、同じ条件で計算した受取年額の推移です。

定率指定2%では、分配金利回り3%以下ですので、年間受取額は年々増えていきます。さすがに定率指定10%では減衰率が大きく、急激に年間受取額が減少していきますが、3%で現状維持、4%~6%でもこの程度ですので、この3%~6%ぐらいの範囲で定率指定するのが良い気がします

原資1,000万円、投資信託運用利回り3%における定率指定での年間受取額の推移
【定率指定での受取年額の推移】
※原資1,000万円、投資信託運用利回り3%

留意点

今まで述べたことを含めて留意点をまとめます。

  • 金額指定は市場環境や運用成績が悪いと想定以上に受取期間が短くなる可能性があります。毎月積立を行うメリットの一つにドルコスト平均法による買単価を抑える効果がありますが、これの逆が金額指定売却です。つまり高い時に少口数を売、安い時に多口数を売るということで売単価を下げてしまう可能性があります。
  • 期間(定口)指定は、あらかじめ決めた期間に渡り、定期的に受取る事ができますので、安心です。ただし、評価額が変動しますので、受取る金額も変わります。また、期間をどの程度にするか悩ましいですね。
  • 定率指定は、一般的に徐々に受取額が減少していきますが、年を重ねるごとに支出が減る傾向にありますので、長生きリスク対策には一番良いように思えます
  • 楽天証券では、定期売却設定があってもスポットの売買注文が可能ですので、定率指定で長生きリスクに備えながら、状況をみてスポット売買で受取金額の調整を行うのが良いと思います。
  • 定期売却設定を1銘柄だけでなく複数銘柄にする事で、受取金額の調整ができます

結論から言えば、定期売却設定では、定率指定を基本とし、適宜、別銘柄やスポット売買等で受取金額を調整していくのが良さそうです。適宜と言っても数年に1度ぐらいの頻度でしょうか。

さいごに

サラリーマン生活を終え、給与の定期収入が無くなり、年金だけが頼りになると長生きリスクが心配になります。せっかく長生きして第2の人生を楽しもうと思っても先立つものがなければできません。

この解の一つが、投資信託定期売却サービスの定率指定だと思います。受取金額調整のため、定期的に見直すにしても、忘れる可能性がありますので、まずは定率指定しておけば安心です。

また、一般的に夫の方が早く逝きますので、相続対策を考えておく必要があるかもしれません。例えば、夫婦で別々に投資信託定期売却サービス(同じ金融機関で)を実施しておくとかです。

見えないリスクもありますが、予想されるリスクについては早めに手を打っておきたいものです。これが難しいのですが。

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