NISA(小額投資非課税)制度の見直し・延長が令和2年度税制改正でありました。NISAの変更内容とこれにより影響される個人のポートフォリオ(投資構成)の変更について説明します。
NISAとは
個人が上場株式や投資信託の売却益や配当を得た場合に、本来ならば税率20%(正確には復興特別所得税もあるので20.315%)が課せられますが、一定の年間上限額以内であれば、非課税になる制度です。
令和2年度税制改正によるNISAの変更点
NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAがありますが、これらのが変更点について説明します。
一般NISAの変更点
主な変更内容は次の表のとおりです。
現行制度では、新規投資額の最大は120万円/年で、最長5年間運用ができました。新規の口座開設可能期間は2023年まで可能ですので、2028年まで運用することができます。
改正後は、新規投資額が1階/2階に分かれ、1階部分では最大20万円/年でしかも次に説明する「つみたてNISA」と同じ積立投資に限られます。また、2階部分は、最大102万円/月で現行と同じ上場株式・公募株式投資信託等が対象になります。さらに口座開設可能期間が最大5年間となっています。
現行制度 | 新規投資額: 120万円/年 最長5年間 | 口座開設可能期間: ~2023年 |
改正後 | 新規投資額: 1階:20万円/年 2階:102万円/年 最長5年間 | 口座開設可能期間: 2024年~2028年 |
次の図は、現行制度から改正後への移行を表したものです。2024年から改正度のNISAになり、1階部分と2階部分を合わせて122万円/年と少し現行より増えています。
ただし、1階部分はあらかじめリストアップされた積立投資信託の中から選ばなければなりません。1階部分を利用しなければ、2階部分は使えません。また、1階部分は5年間後に「つみたてNISA」へ移管することができます。
つみたてNISAの変更点
つみたてNISAは、新規投資額最大40万円/年、最長20年間活用できる制度です。投資額は最大800万円となります。ただし、投資対象は、あらかじめリストアップされた積立投資信託の中から選択しなければなりません。
改正後は、内容自体の変更はなく、期間が5年間延長になりました。
現行制度 | 新規投資額: 40万円/年 最長20年間 | 口座開設可能期間: ~2037年 |
改正後 | 同上 (5年間延長) | 口座開設可能期間: 2037年~2042年 |
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、新規投資額最大80万円/年、最長5年間で、年齢が0~19歳までの方が対象です。運用管理は親権者や祖父母(二親等以内の親族) が代理で行うことになります。
改正後は、この制度自体が廃止になりました。利用実績が少ないのが理由です。
現行制度 | 新規投資額: 80万円/年 最長5年間 年齢:0~19歳まで | 口座開設可能期間: ~2023年 |
改正後 | 2023年末で廃止 | - |
個人の投資構成への影響
今回の改正で影響があるのは、一般NISAとジュニアNISAを実施している方です(つみたてNISAは延長されるだけ)。改正後の制度は2024年からですが、今のうちから余裕を持って対応しましょう。
一般NISAでの考慮点
2024年以降の改正後は、1階部分が「つみたてNISA」と同じ積立投資信託である必要があります。
もしもあなたが、一般NISA分を全て個別株式購入に充てていた場合は、一般NISAが利用できなくなります。
このため、最低でも年額20万円分は「つみたてNISA」の商品に変更しなければなりません。
一般NISAを活用して積立投資信託で運用している方は、念のため「つみたてNISA」と同じ商品かを確認しておくと安心です。異なる場合は、積立投資信託の組み換えをしてください。
ジュニアNISAでの考慮点
2023年12月までの投資分は、対象者が18歳になるまで非課税で保有できます。また、2024年1月1日、払い出し制限18歳までが解除され、制限無しで引き出しできるようになります。
このため、このまま保有していても問題無いと思います。
さいごに
2024年から変わるNISAについて説明しました。個人投資に係るもう一つの大きな非課税制度としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。こちらの方も今回の改正で少し変わりましたので、別の記事にまとめたいと思います。
しかし、今回のNISAの変更は中途半端な気がします。なんでいつも複雑にしてしまうのでしょう。近いうちにまた改正が続きそうな気が、、、私だけでしょうか、このように思うのは。
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