あなたの住民税を確認しましょう、令和2年度の決定通知書が送られてきました

住民税の計算方法は、所得税の計算と異なりますので確定申告で慣れた方でも結構難しいものです。しかし、予期しない税金がかかっていたり、まれですがミスが混じっている可能性もあります。来期に不要と思える税金を減らすためにも、 ある程度理解しておいた方が良いですので、具体例を交えて計算方法を説明します。

住民税の決定通知書が来ました

令和2年度の「給与所得とに係る市民税・県民税 特別徴収額の決定通知書」(この記事では長いので住民税と称しています)の決定通知書が送られてきました。まずは住民税等を簡単に説明します。

住民税とは

住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせていう税金です。所得に応じた所得割と世帯に同一の均等割があります。また、所得税と比べて1年遅れで住民税が課税されます。

住民税の決定通知書は、毎年5月下旬から6月中旬ごろに送られてきます。給与所得者の方は、会社経由で手元に届き、その年の6月から翌年5月までの毎月の源泉徴収額が記載されています。

特別徴収とは

徴収方法は、自分で直接納入する「普通徴収」と給与所得者の場合の給与から源泉徴収される「特別徴収」があります。

主な関連個所

次の図は、住民税の決定通知書の書式です。

地方税決定通知書のフォーマット

上半分をざっと説明します。 下半分の税額計算は、この後の節で説明します。

総所得金額①

所得の欄は、給与収入と給与所得控除された後の給与所得の欄があり、 そして株式配当などを(20.315%の源泉徴収では無く)総合課税で扱った場合はその他の所得計に金額が入ります。

給与所得とその他の所得計を合わせた数値が総所得金額①に入ります。なお、株式配当を総合課税で扱った場合は、主たる給与以外の合算所得区分の配当に★印が付きます。

※高所得者でない場合、株式配当では所得税を総合課税、住民税を分離課税(源泉徴収のまま)が課税的に有利ですので、あえて株式配当の事を記載しています。

所得控除

医療費は、確定申告で医療費控除を行った場合にその金額が記載されます。

社会保険料(健康保険関係、年金関係、雇用保険等)は全額控除されます。給与所得の源泉徴収票に記載されている金額と同じ値になっています。

生命保険や地震保険は、所得税の計算方法と異なります。詳細は住民税決定通知書の裏側に計算方法が記載されていますので、そちらを参照ください。

配偶者控除や基礎控除等も所得税の金額と異なり、330,000円です。なお、人的控除対象があると所得控除合計②の右欄に★が付きます。

上記の各控除金額を合わせた数値が、所得控除合計②です。

課税標準

上記以外の山林所得等が無い場合は、総所得金額①から所得控除②を差し引き、課税総所得③を算出します。この金額が、以下の税額計算のベースになります。

税額の計算方法

具体的な税額計算をしてみます。

前提

まずは前提です。次の仮定で以下を計算していきます。

  • 神奈川県在住
  • 総所得③:2,000,000円
  • ふるさと納税金額:18,000円
  • 株式配当金額:200,000 円 ※株式配当金額の総計
  • 株式配当割金額: 10,000円 ※上記株式配当金額の地方住民税5%分

具体的な計算方法

税金計算方法次のとおりです。端数調整の関係で下数桁が合わない可能性があります。

  1. 総所得金額①-所得控除合計②=課税総所得金額③
  2. 課税総所得金額③×税率=税額控除前所得割額④
  3. 税額控除前所得割額④-税額控除額⑤=所得割額⑥
  4. 所得割額⑥+均等割額⑦= 特別徴収税額⑧

税率等は次のとおりです。 神奈川県では県独自の制度として、県民税について、均等割+300円、所得割+0.025%されています。

均等割
 市民税3,500円、県民税1,800円
 ※県民税の300円分は神奈川県独自です。

所得割
 市民税6%、県民税4.025%
  ※県民税の0.025%分は神奈川県独自です。

まずは結果から

地方税の税額計算の例

各区分の計算方法は次のとおりです。

市民税

税額控除前所得割額④=総所得③×6%
= 2,000,000円×6%=120,000円

税額控除額⑤=調整控除額×3%+(ふるさと納税金額-2,000円)×6%+(ふるさと納税金額-2,000円)×79.79%×3/5+(株式配当金額×1.6%)+株式配当割×3/5
=50,000円×3%+(18,000円-2,000円)×6%+( 18,000円 -2,000円)×79.79%×3/5+(200,000円×1.6%)+10,000×3/5
=19,320円

※調整控除額や79.79%などは、課税所得金額で決まる数値です。 詳細は住民税決定通知書の裏側に記載されていますので、ここでは説明を省略します。

所得割額⑥= 税額控除前所得割額④-税額控除額⑤
= 120,000円-19,320円
=100,600円 ※まるめて

均等割額⑦=3,500円

県民税

税額控除前所得割額④=総所得③×4.025%
= 2,000,000円×4.025%=80,500円

税額控除額⑤=調整控除額×2%+(ふるさと納税金額-2,000円)×4%+(ふるさと納税金額-2,000円)×79.79%×2/5+(株式配当金額×1.2%)+株式配当割×2/5
=50,000円×2%+(18,000円-2,000円)×4%+( 18,000円 -2,000円)×79.79%×2/5+(200,000円×1.2%)+10,000×2/5
=13,147円

所得割額⑥=税額控除前所得割額④-税額控除額⑤
= 80,500円-13,147円
=67,300円 ※まるめて

均等割額⑦=1,800円

特別徴収税額

特別徴収税額⑧=(市民税の所得割額⑥と均等割額⑦)+(県民税の所得割額⑥と均等割額⑦)
=100,600円+3,500円+67,300円+1,800円
=173,200円

蛇足

総所得金額①のところで少し触れましたが、株式配当金額について、所得税では総合課税、住民税では分離課税(源泉徴収のまま)を選択すると課税的に有利です。

これを行うためには、所得税で確定申告をし、住民税でも別途申告をして手続きをしなければなりません。少し面倒ですが手続き自体は比較的簡単です。

私も昨年に引き続き、今年も手続きをしたのですが、今回送られてきた住民税の決定通知書にはそれが反映されていませんでした。つまり、所得税の確定申告のままで株式配当が総合課税扱いになっていました。

今年は新型コロナウイルスの影響で確定申告期間が延長され、私も住民税の申告をした時期が遅れてしまいました(提出した日は、昨年は3月末、今年は4月末)。たしかに住民税の手続きの際に窓口の方から、「一旦前の内容で決定通知書が送られるかもしれない。その場合は後から新しい通知書が届きます。」と言われていました。

もう少し待って、それでも届かないようであれば、市役所に問い合わさなければなりません。ちょっと心配です。

さいごに

今回は、まずは自分の住民税を検算するために計算してみました。上記の数値は私のものと変えていますが、計算方法は同じです。

しかし、税金の計算は複雑で面倒です。税額控除額計算式の中の79.79%とはなんなのでしょうね。

実は、ふるさと納税にも復興特別所得税の影響があり、それを調整するものです。簡単な説明では、ふるさと納税額(寄附金)から2,000円差し引いた値が控除されるということですが、実は 2,000円より少し多い金額が差し引かれています。ほんのわずかですが。

複雑でも面倒でもある程度は付き合わざるを得ない税金ですので、知的ゲームとか頭の体操とかと割り切って考えていきたいと思います。

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