厚生年金を受給できる方や既に受給している方が亡くなった時に、残された家族が死亡届や遺族厚生年金の請求書などを作成・提出しなければなりません。マイナンバーカードを取得している場合は、一部省略できるところもありますが、万一の時に慌てないように心の準備だけでもしておきましょう。
年金を受給している方が亡くなった時
年金を既に受給されている方が亡くなった時は、死亡届や未支給年金の支払請求書を届け出る必要があります。各々について、必要な書類等を説明します。
死亡の届出
次の表は、死亡届に必要な書類です。
もしも亡くなった方(年金受給権者)のマンナンバーが日本年金機構に届け済の場合、死亡届の提出は原則不要です。ただし、次の節で説明する未支給年金の届出を行う場合は、必要になります。
提出先等は次のとおりです。
- 提出先:年金事務所または年金相談センター(以下、提出先は全て同じ)
- 提出期限:10日(国民年金は14日)以内
次の図は、死亡届の書式です。正式名称は、受給権者死亡届(報告書)です。死亡した年金の受給権者と届出者の情報を記入し、年金事務所等に提出します。
未支給年金請求の届出
年金支給は後払いで、 年に6回、支払月の前2ヵ月分が支給されます。このため、亡くなった時にまだ支給されていない年金が発生する場合はあります。
この場合、亡くなった方の未払い年金を受け取ることのできる遺族がいる時に次の書類を提出し、未払い分の年金を受取ることができます。
遺族厚生年金を受給するために
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方が亡くなった時、その方により生計を維持されていた遺族が受けることができます。
支給要件
遺族厚生年金の支給要件は次のとおりです。
- 被保険者が死亡した時、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した時。
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した時。
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡した時。
対象者
遺族厚生年金は、18歳未満(1級、2級障碍者の場合は20歳未満)の子のある妻、およびその子、孫、子の無い妻、55歳以上の夫、父母、祖父母が受給可能です。遺族基礎年金と異なり、遺族厚生年金は子供のいない奥さんも受給可能です。
遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金額は、亡くなった方がもらえたであろう老齢厚生年金の3/4が支給されます。
中高齢寡婦加算
遺族基礎年金は子供がいない場合や子供がいても18歳に達した年度末で遺族である奥さんへの支給が打ち切られます。このため、奥さんが40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に586,300円(年額)が加算され、これを中高齢寡婦加算といいます。
なお、奥さんが65歳になると自分の老齢基礎年金が受け取れるため、中高齢寡婦加算は支給停止となります。この時に老齢基礎年金が少ない奥さんの場合には「経過的寡婦加算」が加わります(ただし、昭和31年4月1日以前に生まれた妻に限ります)。
遺族厚生年金請求に必要な書類
遺族厚生年金を請求する時に必要な書類は、「必ず必要な書類」、「死亡原因が第3者行為の場合の書類」、「その他可能性のある書類」に分けて示します。
必ず必要な書類
表中、「世帯全員の住民票の写し」、「亡くなった方の住民票の除票」、「請求者の収入が確認できる書類」、「子の収入が確認できる書類」等はマイナンバー記入で添付が省略できます。マイナンバー制度で少し便利になっています。
死亡原因が第3者行為による場合の書類
これは例えば、亡くなった原因が交通事故の場合などが該当します。上記の必ず必要な書類に加えて次の書類が必要です。
その他の可能性のある書類
その他に、他の公的年金を受けている場合や保険期間合算対象期間を確認できる書類等が必要になる場合があります。
請求書の書き方の例
下記は日本年金機構が作成した年金請求書の記載例です。一例としてクリックしてご覧ください。
さいごに
定年後の老後生活における年金は、最後の頼みになる重要な糧です。日本人の寿命は、2019年の60歳時点の平均余命から見るとだいたい男性84歳、女性89歳と女性の方が5年以上長生きします。
一般的に男性が働く主体となり、万一の時には奥さんが遺族厚生年金を受給することになると思いますが、そのような場合は、配偶者である奥さんが手続きをしなければなりません。
このため、その時に臨んで混乱しないように日頃から連絡先や手続き方法等をエンディングノート等(完璧でなくとも可です)で残しておくことが重要になります。
万一の時の混乱する中、エンディングノート等で残す事で家族に感謝されるように整理していきたいものです。でも、少しつまらないものですね。。。
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