退職金特別プランのCMを最近見るようになりました。来年の3月に向けて顧客獲得キャンペーンが始まったようです。その中身をみると投資信託と定期預金を組合せたタイプが多くあり、定期預金の金利も大幅に優遇されているように見えますが、投資信託の手数料や信託報酬率が高く、お勧めできません。
しかし、その中でも相続型信託と組合せたタイプは利用しても良いように思いますので、これらの理由を説明します。
退職金特別プランの比較
次の表は、大手銀行の主な退職金特別プランの内容をまとめたものです。ネット銀行も少し見てみましたが、あまり優勢性がありませんでしたので、大手銀行で比較して見ました。
ファンドラップタイプや投資信託を組合せたタイプでは、円定期預金の利率が大きく優遇されています。この中で、利率としては三井住友信託が最も良く、預入の最低金額ではみずほ銀行が最も低くなっています。
なお、ファンドラップとは、利用者が自分が運用する代わりに投資資金を銀行などに預けて運用・管理してもらうサービスです。プロが運用するので、なんとなく良いように思えますが、実際の成績がわかりません。
定期預金で見ると、これも三井住友信託銀行が最も良い利率になっています。
特長的なところを見ると、三菱UFJ信託は信託会社らしく相続型信託との組み合わせの「ずっと安心コース」があり、三井住友信託では「外貨定期コース」があります。
投資信託を組合せたタイプを勧めない理由
一見よさそうな投資信託と組合せた商品ですが、私はお勧めできません。その利用を以下で説明します。
利率が良いのは3か月
良いのはたった3か月です。 その後に自動継続される場合は、通常の0.02%前後に戻ります。例えば3か月の利率が、7.05%だとしても利息としては年換算では1/4になりますので1.76%相当した受け取れません。
手数料や信託報酬率が比較的高い
投資信託はどれでも購入できるわけではありません。選択できる投資信託は、限られておりその範囲で選ぶことになります。
ちょうど、三菱UFJ信託のファンド検索がありましたので、これで調べてみると、信託報酬率0.5%以下や購入手数料1.1%以下のものはありませんでした。
これでは、定期預金の優遇金利分が吹っ飛んでしまいます。高いです。
リスクは全てお客さま
各行ともリスクの説明があり、そこには次のような内容が記載されています。
投資一任運用商品は、国内投資信託(*1)および外国投資信託を主な投資対象として運用を行いますので、投資元本は保証されるものではなく、これを割り込むことがあります。これらの運用による損益は全てお客さまに帰属します。
(*1)三井住友信託ファンドラップの投資対象は、国内投資信託のみです。
【三井住友信託ファンドラップの注意事項(抜粋)】
つまり損失が出た場合は、銀行には何も影響がなく、損失は全てファンドラップを依頼したお客様です。納得いきますか。
これならば公的年金を管理・運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のアセット構成と同じようなノーロード(売買手数料無料)の投資信託を購入した方が良いと思います。
そのような投資信託は下記の記事で紹介していますので、ご興味があればご覧ください。
公的年金を運用するGPIFのポートフォリオの見直しのニュースがいくつか出ていますが、このポートフォリオと同様な投資信託についていくつか紹介します。そして、がんばれ!!コロナファイターズ。GPIFとはGPIFは、年金積立金管[…]
この中でお勧めの運用方法は
先の表の中で、私が良いと思ったのでは、三菱UFJ信託銀行の相続型信託と組合せた「ずっと安心コース」です。
60歳で定年を迎えても、その後働き続ける方が多いと思います。そのような場合は、給与もある程度入ってきますので、直ぐに退職金に手を受けなくとも良い方が多いのではないでしょうか。
一方、お金の運用と万一の場合の相続対策もある程度は考えておかなければなりません。そのような時に活用できるのがこの「ずっと安心コース」です。
主な特長・使い方としては次のとおりです。
- 万一の時に信託金額が奥さんへスムーズに相続される。
- 自分用の定時定額受取や奥さん用の一時金受取(家族用年金として受け取りも可能)などが併用できる。
- 信託金額は、200万円以上3,000万円以下で、比較的手軽に実施できる。
- 信託金額は、金銭信託として元本保証されている。ただし、金利は通常通り微々たるもの。
- 例えば、自分用の定時定額受取分は、積立投資信託に回した運用できる。
これは私も実施している方法です。もう少し詳細の記事を下記に掲載していますので、よろしければご覧ください。
亡くなったら口座は凍結自分が亡くなった時、自分名義の口座等が凍結されて、相続者全員の合意がなければその口座からお金を引き出すことができなくなり、奥さんや子供たちが葬式費用の支払いや当面の生活費に困ることになります。このため、家族が[…]
さいごに
いつも思う事ですが、大手銀行は、このような経費の高い投資信託をお客様に勧めてやっていけるのかと不思議に思います。
手数料が欲しいのは分かりますが、信用第一の銀行が、このような商品を販売して本当に良いのでしょうか。却って信用を無くし、ネット銀行に淘汰されるのではないかと他人事ながら心配になります。
その点、相続型信託と「ずっと安心コース」は信託銀行らしい商品ですので、このようなユーザが求めている新たらしい商品をこれからも創出していただきたいと期待しています。
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