投資信託定期売却サービスによる資産取り崩し方法とファンド例

投資信託を定期的に売却して不足する老後生活資金を補う方法として投資信託定期売却サービスがあります。ここでは2大ネット証券である楽天証券とSBI証券のサービスについて比較し、実際に取り崩す対象として良いと思える投資信託の例を上げて考えてみたいと思います。定年やその後の嘱託期間が終わり、年金だけが主収入になる頃からこのサービスを活用することにより、不確実な終わりの時を安心して迎える事ができます。

投資信託定期売却サービスとは

定年後等で完全リタイアになった人は、生活費等をほとんど年金に頼る事になり、不足分はいままで蓄えた預貯金等の資産を少しずつ取り崩して補填することになります。まだ20年~30年ぐらい残りの人生があるとすると資産の延命も図らなければなりません。

投信信託定期売却サービスとは、いままで積み立てた投資信託や新たに購入した投資信託の銘柄を定期的に指定した方法で売却・受取る事ができるサービスです。

投資信託を定期的に取り崩していきますが、同時に投資信託として運用も並行して行いますので、資産の延命が期待できます。

楽天証券とSBI証券の比較

投資信託定期売却サービスは、いろいろな金融機関がサービスを提供していますが、その中で2大ネット証券である楽天証券SBI証券の同サービスを比較したのが次の表です。

【投資信託定期売却サービスの比較】

投資信託定期売却サービスの機能としては、楽天証券の方が優れていると思います。私はこのサービスがあるのでNISA口座を楽天証券に移しました(元の口座は他のネット証券でした、SBI証券ではありません)。その理由は次のとおりです。

  • NISA口座も対象:一般NISA、つみたてNISAも対象です。特に、2024年1月から始まる新NISA枠は360万円/年(つみたて投資枠120万円/年+成長投資枠240万円/年)に広がりますので益々活用幅が広がります。
  • 定率指定が可能:投資信託を毎月取り崩す金額を指定した率(0.1%以上0.1%単位)で受け取る事ができます。例えば、対象の投資信託が3%で運用できていたと仮定すると定率指定3%であれば原本が減る事はありません(ただし運用3%を切ると毎月の受取金額が減少します)。毎月の受け取る金額の増減はありますが、比較的長期に渡りお金を受け取り続ける事が期待できます。

ただし、他機関の同サービスで一般的に言えることですが、投資信託の積み立てを継続しているファンドについてはこのサービスを指定できません。積み立て継続中のファンドと同サービスで取り崩すファンドは分けなければなりません

もしもSBI証券の受取方法のように定額指定の場合は、毎月の必要金額よりも少ない金額を指定して残りは随時ご自身で調整しながらスポット的に追加取り崩しを行う等を検討されると良いと考えます。

対象となる投資信託の一例

次の表は、投資信託定期売却サービスの対象ファンド候補の一例を上げたものです。定期的に取り崩していきますので、あまりリスクが大きいのは避けています(NASDAQ100やS&P500指数連動型)。とはいえ、リターンもある程度期待しますので、株式型を中心に分散を図った銘柄になっています。なお、4資産均等型は、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の投資配分と同じです。

ファンド名信託報酬率
(税込、年率)
概要
1eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)0.1133%以内
(※0.05775%以内)
先進国・新興国株式に広く投資、為替ヘッジ無し
2eMAXIS Slim先進国債権0.154%以内高格付けの先進国債権に広く投資、為替ヘッジ無し
3SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))0.1102%先進国・新興国株式に広く投資、為替ヘッジ無し
4ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)0.154%国内債券・先進国債券・国内株式・先進国株式の4資産に25%ずつ均等投資
5eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)0.143%以内国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REITおよび先進国REITの8資産に12.5%ずつ均等投資
※2023年9月8日からの信託報酬率(三菱UFJ国際信託のプレスリリースによる)。

上記ファンドの最新の目論見書に記載の騰落率を比較したのが次のグラフです。横軸項目の頭の数字は上記表の#と同じです。

【ファンド候補の騰落率の比較】※最新目論見書の数字から編集。

安定を目指すのであれば、2_先進国債券(eMAXIS Slim先進国債権)ですが、平均値を利回りとみると少々物足りません。

比較的良さそうにみえるのは、4資産均等や8資産均等のバランスファンドです。また、これらをある割合で組み合わせことも一考です。例えば、全世界株式型(1_や3_)と先進国債権(2_)を50%ずつの割合で設定する等です。

このあたりは、いろいろと考えると面白いところです。

さいごに

そろそろ今まで貯めた資産を取り崩す時期になってきました。そこで取り崩す期間がなるべく長期になる投資信託定期売却サービスについて比較してみました。さらに候補となる投資信託についても比較してみました。

私の場合は、全世界株式型の「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」を対象にしようかと考えていましたが、騰落率を比較してみるとリスク(変動幅)が高いので迷っています。今は、全世界株式型40~50%+先進国債権60~50%ぐらいで始めてみようかと考えています

配分は、ご自身の性格と資産保有額にも依ります。皆さんもいろいろなケースを試算して将来に備えてみてはいかがでしょうか。

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投資信託定期売却サービスの比較と投資信託の一例
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