日本郵政から第16期末配当計算書と共にこの期末配当に関するお知らせが届きました。1株当たり50円の配当がつきましたが、この原資が「資本剰余金」のため税法上の取扱いが異なりますとの説明です。保有株数を基にその意味あいを確認してみたいと思います。
日本郵政株価の最近動向と保有株数
まず、日本郵政の株価状況を確認してみたいと思います。次の図は、日本郵政の最近2年間の株価チャートと主な指標です(Yahoo!Japanファイナンスから)。
- 株価(2021年7月15日):929.7円
- PER(会社予想):11.06倍
- PBR(実績):0.27倍
- 1株配当(会社予想):50円(2022年3月末)
- 配当利回り(会社予想):5.38%
2年間の株価チャートを見ると2020年末までは下落傾向でした。その後、2021年3月の「楽天との資本・業務提携」のプレスリリースがあり、上昇していましたが、不祥事の精算や配送業者との競争激化があり、今は930円前後で安定しています。なんとも物足りない印象です。
次に後半で計算の基にする私の日本郵政の保有株数等を紹介します。
- 保有株数:600株
- 平均購入コスト:1,036円/株
- 配当利回り:4.83%
配当狙いを兼ねて600株保有しています。配当を除いた損益でみると現時点で、約6.4万円弱のマイナスです。実はこの後の安値で買い増しをしているので、もう少し平均購入コスト・配当利回りは改善されていますが、今回の配当には関係ないので無視しています(少々負け惜しみの蛇足です)。
日本郵政の第16期末配当
今回の「日本郵政(株)第16期 期末配当」で送られてきた配当計算書では、次のとおり配当金額とみなし配当金額が記載されていました。
- 所有株式:600株
- 1株当り配当金:50円
- 1株当りみなし配当金:19.8477271101円
- 配当金額:30,000円(=所有株式600株×1株当り配当金50円)
- みなし配当金額:11,908円(=所有株式600株×1株当りみなし配当金19.847‥円)
配当金計算書には、配当金額30,000円は「みなし配当」と「みなし配当以外(みなし譲渡損益)」を合算した金額ですとか、同封されていた「日本郵政(株)第16期 期末配当に関するお知らせ(クリックすると資料に飛びます)」では次の文章が記載されていました。
日本郵政(株)第16期 期末配当に関するお知らせ(抜粋)
・今回の配当金は「その他資本剰余金」を原資としており、「資本の払戻し」としてのお取り扱いとなり、税法の規定により「みなし配当」及び「みなし配当以外」に分かれます。
・「みなし配当」の部分は、税金計算上の配当所得として扱われ、所得税等の源泉徴収の対象となります。
・「みなし配当以外」の部分は、税金計算上の配当所得ではないため、所得税等の源泉徴収の対象とはなりません。また、配当控除の対象にもなりません。確定申告の際はご注意ください。
・「みなし配当以外」の部分につきましては、⑵の計算式により「みなし譲渡損益」が発生いたしますのでご留意ください。
(以下省略)
株式投資をされている方は、サラリーマンでも確定申告をされている方が多いと思いますが、その際に要注意ということですね。このため、整理を兼ねて影響を考えてみたいと思います。
みなし配当とみなし配当以外
「みなし配当」の部分は、従来の配当所得と同じです。配当金額を受ける際の源泉徴収や総合課税での配当控除の対象になります。
一方「みなし配当以外」の部分は、源泉徴収や配当控除の対象にはなりません。ただし、「みなし配当以外」=「みなし譲渡損益」として扱われますので通常確定申告が必要になります。
みなし譲渡損益
みなし譲渡損益は「株式等に係る譲渡所得等」として、通常の株式取引で生ずる損益と同じなので、通常の株式取引で生じた損益の申告と同様です。また、損失を繰り越す場合は「繰越の付表」(「平成xx年分の所得税の確定申告付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」)等への記入も必要となります。
私の保有株数でみなし譲渡損益を計算してみます。
- 収入金額とみなされる金額18,092円=払戻し等により取得した金銭等の価額の合計額(※1株当り配当額50円×600株)-みなし配当額11,908円(※19.8477271101円×600株)
- 取得価額10,568円(円未満切上)=従前の取得価額の合計額(※1,036円×600株)×純資産減少割合0.017
- みなし譲渡損益7,524円=①18,092円-②10,568円
みなし譲渡損益はプラスですので、みなし譲渡益7,524円でした。
保有株式の取得価額の調整
みなし配当以外の原資は、「その他資本剰余金」ですので「資本の払戻し」を受けている事になります。これによる純資産減少割合0.017ですので、次の計算式のとおり、株式取得価額が減額することになります。
1株当りの新取得価額611,033円(円未満切上)=1株当りの従前取得価額621,600円(※1,036円×600株)-1株当りの従前取得価額×純資産減少割合10,567円(※1,036円×600株×0.017)
考えてみると
このように見てみると、余った資本を株主に還元してくれているだけで、勝手に譲渡益を発生させ、勝手に1株の価値を減少させているだけです。株価が安定しているのであれば所得価額が下がった分、売買益が上がるわけですが、低迷が続いているのでそうでもありません。悪くは無いとしても、自分の意思とは別のところで決まっています(株主総会の議案でしたが)。
そして配当利回りでは「みなし配当」だけで計算すると、約2.1%(≒みなし配当額19.8477271101円/株価929.7円)です。5%を超えていたと思った配当利回りは実質約2.1%です。
なんとなく投資信託の特別分配金(元本の一部を投資家に分配金として戻すお金のことで、この分元本が減少します)と同じようなイメージで、モヤモヤですね。
少なくとも確定申告の際には要注意です。株式売買損益を計算する際や損失を繰越す際は調整された取得価額を使い、みなし配当以外は譲渡所得として扱わなければなりません。たいした手間では無いとはいえ、さらにモヤモヤですね。
さいごに
日本郵政は全国津々浦々まで郵便局がありますので、インフラとしての価値は絶大です。しかしその反面高コストになりますので大変とは思います。
荷物を運ぶという面では他の宅配業者に価格競争で負けています。メルカリもそうですし、Amazonフルフィルメントサービスでも同様で、苦戦しています。
早く楽天との協業でIT化を進め、販路の拡大にも貢献して相乗効果で競争力のある低コスト価格帯に早く持って行っていただきたいと思います。まだ暫くは辛抱して保有を続けたいと思います。
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