米国を対象とする株式や債券のETFについて比較してみました。急激に円安が進んだ為替相場や米国株式市場の下降トレンドが少し落ち着きつつありますので、一旦、米ドル建MMFや定期預金に退避していた米ドルを再度米国ETFの買付のために活用するためです。候補は、VTI、QQQ、VYM、SPYD、AGGです。まだまだ不透明さが残りますが、準備だけでも早めに始めたいと思います。
米国ETFの候補
世界の経済は米国中心に回っていますので、米国ETFを検討対象としました。米国株式としては、ほぼ全体をカバーするVTI、NASDAQを対象とするQQQ、高配当株式を対象とするVYMとSPYD、米国債券を対象とするAGGです。
各銘柄の概要は次のとおりです。
- VTI(バンガード トータルストックマーケットETF):経費率が安価で有名なバンガード社のETFです。米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしています。
- QQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET):ハイテク関連やインターネット関連の企業が中心のNASDAQ銘柄の中で、金融銘柄を除く時価総額上位100銘柄から構成されるNASDAQ100指数に連動するETFです。
- VYM(バンガード 米国高配当株式ETF):米国の好配当銘柄で構成されたETFです。
- SPYD(SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF):S&P500指数銘柄のうち配当支払い上位80銘柄から成る指数に連動するETFです。
- AGG(iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF):米国で公募発行される投資適格の米国国債、投資適格の社債等から成る米国の投資適格債券市場の指数に連動するETFです。
経費率と配当利回りの比較
次の表はコストと配当利回り等です。コストとしては、経費率(信託報酬率等)と売買手数料があります。SBI証券や楽天証券では、一部の米国ETF銘柄の買付手数料を無料にしています。表右端の〇は、両証券で買付手数料を無料にしている銘柄を現わしています。
Tiker | 現在値 2022.12.6時点 | 経費率 | 配当利回り | 純資産総額 | 買付手数料無料 SBI証券&楽天証券 |
---|---|---|---|---|---|
VTI | $199.98 | 0.03% | 1.52% | $276,142M | 〇 |
QQQ | $287.64 | 0.20% | 0.67% | $162,161M | 〇 |
VYM | $111.02 | 0.06% | 2.85% | $52,370M | - |
SPYD | $40.72 | 0.07% | 3.85% | $7,887M | 〇 |
AGG | $98.51 | 0.03% | 2.24% | $80,536M | 〇 |
経費率が最も安価な銘柄はVTIとAGG、配当利回りが最も良いのはSPYD、純資産総額が最も多いのはVTIとなっています。買付手数料無料では、VYMだけが除外で、その他の銘柄は全て無料の対象です。
騰落率の比較
次に相対チャートで各米国ETF銘柄を比較してみたいと思います。
5年間の相対チャート
まずは、5年間前を0%としてそれからどのぐらい価格が変動したかの相対チャートです。
最も上昇率の高いのは、NASDAQ100指数に連動するQQQ、次に米国株式をほぼカバーするVTI、そして好配当のVYMとSPYDが続きます。
米国債券のAGGは、5年間ほとんど変動なしの結果です。値上り益は無くとも安定的に配当・分配金を稼ぐ銘柄と言えます。それでも先の表では配当利回り2.24%でしたので、少し寂しい結果です。
1年間の相対チャート
最近の株式市場等の低迷を受けて、短期の1年間で見ると次のチャートのように景色が変わります。
好配当銘柄のVYMやSPYDは株式市場の低迷にもかかわらず、比較的安定しています。米国債券のAGGは株式市場低迷に付き合って下落しています。一般的に株式と債券は逆相関になる事が多いのですが、だらだらと下がっています。米国株式のVTIとQQQは下落と続けています。特にハイテク企業が多いQQQは最も下落が大きくなっています。
騰落率
5年前と現在(2022年12月6日時点)の価格、そして1年前と現在(2022年12月6日時点)の価格でどの程度の騰落率になったのかをまとめたのが次の表です。
Tiker | 騰落率5年間 | 騰落率1年間 |
---|---|---|
VTI | 46.53% | ▲14.60% |
QQQ | 85.93% | ▲25.52% |
VYM | 30.11% | 2.16% |
SPYD | 7.44% | 0.54% |
AGG | ▲9.78% | ▲14.09% |
5年間の騰落率では、NASDAQ100指数と連動するQQQが85.93%と最も良く次にVTI、VYM、SPYDと続いています。
しかし、1年間の騰落率では、逆にQQQが最も悪く▲25.52%、次に悪いのはVTIの▲14.60%、以下VYM、SPYDと続いており、5年間とは真逆の結果となっています。
また、米国債券のAGGは、5年間でも1年間でもマイナス結果となっています。FRBの政策金利上昇方針がこのようなところにも悪影響を与えているのが分かります。
購入方針
これらの結果から次のことが言えそうです。
- 投資期間の比較的長く取れる人:QQQ、VTI‥コロナ禍で暴落した2020年3月を挟んでも大きな値上がり益が期待できます。
- 老後生活真近や老後生活に入っている人(主収入が年金):VYM、SPYD‥好配当であり、値上り益も期待できます。特にVYMが比較的安心して投資できそうです。
ただし、VYMは買付手数料が必要です。SBI証券の場合、買付手数料は約定代金×0.495%(税込、上限$22)ですので、この分、配当利回りが落ちる事になります。
例えば、買付後1年間で売却した場合は2.35%(≒2.85%-0.495%、上限$22に達しない約定代金)程度になります。買付手数料は、買付後長く保有しているほど、みため少なくなりますのでそれほど問題にはならないと思います。
なお、AGGについては、株式暴落等のリスクヘッジ目的以外で購入するのはメリットが少ないと思います。
さいごに
今回は、現在保有している米ドルの運用先を考えてみました。結果は、余裕のある米ドルでVYMを購入しようと考えています。既に年金主体の生活になっていますので、リスクと取る事は論外です。金(ゴールド)も良いのですが、配当がありませんので、お小遣いになりません(でも金は積立投資信託で購入しています)。
過去の傾向が未来に続くとも限りませんので、無理の無い範囲で投資を続けていきたいと考えています。
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