株式配当等の住民税における総合課税と源泉徴収との比較

個別ケースの詳細

個別ケースの具体的な試算方法を説明します。ここで、給与収入相当と言っているのは、各表の「収入①標準報酬の年額」の箇所です。

給与収入相当500万円のケース

次の表が、総合課税と分離課税(源泉徴収)の場合を比較したものです。

計算手順は次のとおりです。

  1. 「収入」から「収入から控除」を差し引き、「所得」を出します。
  2. 「所得」から「所得控除」を差し引き、「⑬総所得」を出します。
  3. 市民税の計算では⑬総所得に市民税の所得割の税率6%を掛けて⑭税額控除前所得割額を算出します。
  4. 上記「⑭税額控除前所得割額」から「⑮税額控除額」を差し引いた市民税の⑯所得割額を計算します。
  5. 市民税の「⑰均等割額」は3,500円の定額です。
  6. 同様に県民税(神奈川県の場合)を計算します。県民税の所得割の税率は4.025%(⑱税額控除前所得割額)、㉑均等割額は1,800円です。
  7. 「㉒住民税額」は、市民税の「⑯所得割額「⑰均等割額、そして県民税の⑳所得割額㉑均等割額を足した金額です。
  8. 最終的に納める住民税額(㉔合計)は、「㉒住民税額」「㉓配当支払時の源泉徴収額(住民税額)」を加算した金額です。
収入500万円の場合の住民税における総合課税と分離課税の比較
【収入500万円:住民税における総合課税と分離課税の比較】

各課税方式のポイントを説明します。

総合課税の計算方法

収入は、①標準報酬の年額(給与相当)+②配当です。②配当は保有株式等の3%と仮定して150,000円(=5,000,000円×3%)です。

③給与控除は、国税庁の下記表から1,440,000円(=5,000,000円×20%+440,000円)です。

給与所得控除の計算式(国税庁)
【給与所得控除の計算式(国税庁)】
※表をクリックすると国税庁サイトへジャンプします。

④給与所得3,560,000円①標準報酬の年額から(本当は給与収入ですが)から③給与控除を差し引いた金額です。

⑤配当所得はこの段階でまだ控除されないので、②配当と同じです。

所得控除は、仮定した控除額です。⑩社会保険料は全額控除⑪私的保険料控除(簡便のため支払額の1/2にしています)、⑫配偶者控除は330,000円、⑬基礎控除は430,000円です(令和2年から)。これらを加算して所得控除⑫合計1,702,500円となります。

市民税の計算

所得割対象の⑬総所得は2,007,500円(=所得⑥合計3,710,000円-所得控除⑫合計1,702,000円)となります。

⑭税額控除前所得割額は120,450円(=⑬総所得2,007,500円×市民税率6%)です。

⑮税額控除額9,675円の内訳は次のとおりです。

  • 調整控除(⑬が200万円超なので):(基礎控除50,000円+配偶者控除50,000円-(⑬総所得-2,000,000円))×3%=2,775円
  • 配当控除:③配当150,000円×1.6%=2,400円
  • 配当割額(配当時に源泉されている分):③配当150,000円×3%=4,500円

⑯所得割額は110,700円(=⑭税額控除前所得割額120,450円-⑮税額控除額9,675円)です。※100円未満切捨て。

⑳均等割額は3,500円の定額です。

県民税の計算

所得割対象の⑬総所得は2,007,500円です。

⑱税額控除前所得割額は80,801円(=⑬総所得2,007,500円×県民税率4.025%%)です。

⑲税額控除額6,650円の内訳は次のとおりです。

  • 調整控除(⑬が200万円超なので):(基礎控除50,000円+配偶者控除50,000円-(⑬総所得-2,000,000円))×2%=1,850円
  • 配当控除:③配当150,000円×1.2%=1,800円
  • 配当割額(配当時に源泉されている分):③配当150,000円×2%=3,000円

⑳所得割額は74,100円(=⑱税額控除前所得割額80,801円-⑲税額控除額6,650円)です。

㉑均等割額は1,800円の定額です。

総合課税の住民税額

㉒住民税額190,100円=市民税(⑯所得割額110,700円+⑳均等割額3,500円)+県民税(⑳所得割額74,100円+㉑均等割額1,800円)です。

これに㉓配当支払時の源泉徴収額(住民税額)7,500円を加えて、㉔合計197,600円となります。これが最終的な住民税額です。

分離課税(源泉徴収)の計算方法

次に住民税が源泉徴収された分離課税の場合を説明します。上記と重複が多いので異なる点を説明します。

③配当と⑧配当所得は、源泉徴収されているため本計算の対象外ですので、0としています。この結果、所得⑨合計は3,560,000円となり、配当分少なくなっています。

また⑬総所得1,857,500円も配当分少なくなり、200万円以下のため総合課税の場合と比較して市民税の⑮税額控除額と県民税の⑲税額控除額の計算式が変わっています。

市民税の⑮税額控除額3,000円の内訳は次のとおりです。

  • 調整控除(⑬が200万円以下なので):(基礎控除50,000円+配偶者控除50,000円)×3%=3,000円
  • 配当控除:源泉徴収されているので対象外です。
  • 配当割額(配当時に源泉されている分):源泉徴収されているので対象外です。

県民税の⑲税額控除額2,000円の内訳は次のとおりです。

  • 調整控除(⑬が200万円以下なので):(基礎控除50,000円+配偶者控除50,000円)×2%=2,000円
  • 配当控除:源泉徴収されているので対象外です。
  • 配当割額(配当時に源泉されている分):源泉徴収されているので対象外です。

これらの結果、㉒住民税額は186,400円、㉓配当支払時の源泉徴収額(住民税額)7,500円を加算すると、㉔193,900円となります。これが最終的な住民税額です。

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