20万円強負担が増えた65歳からの健康保険料・介護保険料

65歳になり退職すると健康保険料や介護保険料が全額負担になったり、介護保険料を直接自治体に納めたりしなければなりません。覚悟はしていましたが、実際の保険料をみると年間で20万円強の負担が増えました。これらに保険料と納める時期について説明します。

特退とは

特退とは、「特例退職者保険制度」(以下、特退と称して説明します)の略称で、65歳以降の会社勤めの人が加入できる健康保険の一つです。ただし、全ての会社が使える制度という訳では無く、一部の会社が採用している制度です。現役の時には、会社の健康保険組合に入っていましたが、特退では、継続して同じ健康保険組合に加入します。

特退の健康保険料は全額自己負担になりますので、現役時に比べると約2倍になります。しかし、高額療養費等の本人負担額が低く抑える事ができたり、会社の健診・保養所利用等の保健事業を活用できたりしますので、メリットが大きいです。このため、私は特退に加入する事にしましたので、これを前提に試算等を行います。

ただし、健康保険料は現役世代(さらに現役世代の負担は会社と折半)と同一ですので、退職後で前年所得が低い場合は、国民健康保険料の方が低くなる可能性があります。

特退については、下記にまとめていますので、ご興味があればご覧ください。

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特退

65歳以降の介護保険の概要(私の場合)

65歳になると介護保険の第1号被保険者となり、65歳になった月(正確には65歳の誕生日前日の属する月)から介護保険料を自治体に納めなければなりません

介護保険料の計算方法は、自治体により異なりますが、私が住んでいる街では、対象者の前年所得に応じて14段階の年間保険料が決まられています(令和2年度)。

そして、介護保険料の納付方法は、2か月分づつを年金天引き(特別徴収といいます)が原則ですが、年金天引きの開始月が少し遅れますので、それまでは、納付書を基に直接納めます(普通徴収と言います)。例えば、2月に65歳になった場合は、10月から年金天引きが始まります。

65歳からの介護保険料については、次の記事でもまとめていますので、ご覧ください。

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65歳からの介護保険料

なお、介護保険料は、3年毎に見直されます。令和3年度では、私の住む街の場合、前年所得に応じて17段階(令和2年度は14段階)になりました。基準額でみると5%程度の保険料アップになっています。そのほかに介護サービスを利用した時の利用者負担額が変わっていたりで、比較的所得の多い方には厳しい改定になっています。

保険料の年間支払例

65歳直後の健康保険料・介護保険料の納付額及び納付時期をある仮定の下で示します。

仮定

各金額等は適当に丸めた数値です。正確な金額ではありませんが、オーダー的には参考になるのではないでしょうか。

【本人:夫】

  • 誕生日2月20日でこの年の誕生日で65歳です。
  • 会社の退職日:この年の3月20日です。
  • 前年度所得320万円です。
  • 退職前の組合健保の保険料:組合健保の保険料は、自己負担220,000円/年です。これには賞与分も含まれており、ほぼ同額を会社が負担していました(ほぼ折半)。
  • 退職前の介護保険料自己負担50,000円/年です。これには賞与分も含まれており、世帯単位です(扶養者が何人いても同じ保険料)。また、ほぼ同額を会社が負担していました(ほぼ折半)。
  • 退職後の健康保険料:会社の特退に加入しました(任意継続被保険者制度でも同様だと思います)。全額自己負担になり23,000円/月ですが、割引が適用される半年払い(6か月分)で3月と9月に払込みます。
  • 退職後の介護保険料:65歳以降は直接自治体に納めます。前年所得320万円の所得区分では介護保険料9,000円/月でした。健康保険料同様に割引が適用される半年払い(6か月分)で3月と9月に払込みます。

【本人の被扶養者:妻のみ

  • 本人(夫)より年下の65歳未満で被扶養者です。子供は独立しており被扶養者は奥さん1人だけです。
  • 介護保険料:本人(夫)が特退に加入している場合、被扶養者の介護保険料は特退経由で納めます。被扶養者の介護保険料は4,500円/月です。

65歳前の保険料

上記の仮定から、退職前の健康保険料と介護保険料を足すと次のとおりです。

  • 健康保険料220,000円/年+介護保険料50,000円/年=270,000円/年

65歳以降の保険料

次の表は、65歳の誕生月から翌年の3月までの健康保険料・介護保険料を納める時期・金額を表したものです。

「健康保険」は、特退に加入して半年払いを選択(本当は少し割引されるのですがここでは無視しています)、「介護保険:妻」は被扶養者として特退が徴収し、「介護保険:本人」は特退とは別に自治体へ納める保険料です。

65歳以降の健康保険料と介護保険料の一例
【65歳以降の公的保険料の一例】

この表の結果では、赤字を除くと健康保険・介護保険の総額は483,500円です。

健康保険・介護保険の各々については次に説明します。

健康保険

特退は、半年払いを選択しましたので、通常は3月(4月~9月分)と9月(10月~3月分)が支払月です。しかし退職月が3月でしたので変則的に3月~9月分の7か月分を4月に支払います

9月は、通常の半年払いに戻り、「10月~3月分」の6か月分を支払います。

翌年3月は、翌年「4月~9月分」の6か月分を支払います。この表では、赤字(138,000)円の部分も実際に支払う事になりますが、次の節で1年間の比較をしたかったので、便宜的に計・総計には入れていません。なお、翌年度分は保険料の改定があるかもしれません。

介護保険:妻(被扶養者)

65歳未満の被扶養者は、特退と一緒に会社の健保組合が徴収します。これも、健康保険料同様に変則的に3月~9月分の7か月分を4月に支払います

9月は、通常の半年払いに戻り、「10月~3月分」の6か月分を支払います。

翌年3月も健康保険同様に、翌年「4月~9月分」の6か月分(赤字27,000の部分)を実際に支払う事になりますが、便宜的に計・総計には入れていません。

介護保険:本人

65歳の誕生月から発生し、原則、年金支給と同じ偶数月に2か月分づつ天引きされます。天引きされるまでは、自分で直接納める必要があります。この例では、10月の介護保険料徴収分から年金天引きされます

さらに「介護保険:本人」は令和3年度から少し増額しますが、煩雑になるのでこれも無視しています。気になる方は、4月分以降、4~5%程度アップすると見なしてください。

65歳前後の保険料の比較

65歳前の会社勤めの時と65歳後の退職後の健康保険料・介護保険料の1年間の比較は次のとおりです。

  • 65歳前の総計:270,000円/年
  • 65歳後の総計:483,500円/年
  • 65歳前後の差額:213,500円/年の増額

213,500円/年とは驚くような増額ですね。退職後に収入が減るのにも関わらずです。

ただ、現役の時から2倍にはなっていません。これは、(退職後は当然)賞与分がないからで、収入が減っているので保険料も減っているだけで喜べる話ではありません。

留意点

65歳退職後に向けての留意点は次のとおりです。

  • 健康保険料・介護保険料は、前年度所得を基に計算されますので、最初の1年は現役時と同様の保険料になります。
  • 両保険料については、現役時に会社がほぼ半分負担してくれましたが、退職後は全額自己負担です。
  • 健康保険料は、退職月から新保険料に切り替わります
  • 介護保険料は、65歳の誕生月から会社健保から切り離されて、別途自治体に納めます。今回のケースでは、誕生月が2月でしたが、それより前の場合はもっと負担が増える事になります。
  • 介護保険料は、65歳未満の被扶養者が居る場合(今回のケースでは奥さん)に被扶養者分として会社健保から健康保険と同時に徴収されます。徴収額は、全額自己負担となり、現役時のほぼ2倍です。
  • 特退や任意継続被保険者制度は、保険料を納付期限までに納めなかったとき資格を喪失します。意図していないうっかりミスは要注意です。

さいごに

退職後会社を離れると、急に負担が増えてきます。サラリーマンは優遇されていたんだとあらためて考えてしまいます。商店やフリーランス等の個人事業者の方は、国民健康組合に加入されているのでしょうから、以前からサラリーマンより負担の大きな保険料を納めていたわけです。

長年お世話になった会社・制度に感謝するとしても、所得が減少しているのに負担が増えるのは、なんか割り切れませんね。

とはいえ、これから益々お世話になる健康保険・介護保険の保険料が明確になりましたので、これらを踏まえて家計を見直していきたいと思います。皆さんもご自身のライフプランの一環として保険料等を街のホームページで調べてみるのも一興かと思います。

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