確定申告の時期が今年もやってきました。e-TAXを利用する場合は、毎年恒例の事前セットアップが必要になります。すこし煩わしい作業ですが、この内容と注意点を説明します。
今年もe-TAXで確定申告
早々と2020年の確定申告をe-TAX作成し、提出しました。e-TAXは毎年バージョンアップされていますので、事前セットアップ等が必要になります。
意外と手こずる事前セットアップ方法について処理の概要を説明します。
e-TAXとは
e-TAXとは、税金のオンライン申請等ができる「国税電子申告・納税システム」です。土日でも自宅から所得税等を申告・納税できるので、大変便利なので、e-TAXサービスの開始後はずっと活用して確定申告を行っています。
e-TAX確定申告のメリット
主なメリットは次のとおりです。
- 確定申告書を土日でも24時間自宅からオンラインで提出できます。
- 源泉徴収票や医療費控除領収書等の添付が不要です(ただし保管しておくことは必要です)。
- 還付金が早く処理されます。通常2~3週間で指定口座に還付金が振り込まれます。
ただし、e-TAXを利用するためには、PC(パソコン)、ICカードスキャナー、マイナンバーカードが必要です。最近ではスマホからでも実行できますので、その場合はスマホとマイナンバーカードがあればOKです。
でも私はPCとカードリーダがお勧めです。お金に絡む事なので慎重になりますし、パスワードなどは複数回間違えるとロックがかかり役所に行かなければロック解除ができませんので大きな画面にゆったりやるのが良いと思います。
確定申告の事前セットアップ等
e-TAXは毎年バージョンアップされます。これは、税制改正、OSバージョンアップ、機能追加等のためなので必ず事前に更新等のセットアップが必要になります。毎年確定申告を行う前の恒例行事になっていますが、これが少々面倒です。
予め用意しておくもの
直ぐにe-TAXの入力を始めたいところですが、スムーズに行うためには準備が必要です。私の場合は、事前に次のものを用意しました。
- 医療費控除のための集計:レシートを集めてエクセル表にまとめます。数が多い場合は、医療機関ごとにまとめて計算してもOKです。
- ふるさと納税の証明書:ふるさと納税をしている場合は、寄附先の寄附金受領証明書が必要です。
- 株式等売買の損益通算:e-TAXに直接入力すると間違える事もあるので事前に整理しておきます。
- 配当控除用に配当金の集計:所得が約900万円以下の方は一般的に配当金を総合課税にして方が有利ですので、配当金の源泉徴収額を所得税・復興特別所得税と住民税に分けて集計しておきます。これは、証券会社の報告書を集めておき、e-TAXの配当集計フォームに直接入力しても良いと思います。
- 公的年金等控除用源泉徴収票:国民年金や厚生年金の他に企業年金も対象ですので、これらの公的年金等の源泉徴収票を用意しておきます。
さて、いよいよPCの操作に移ります。手元にマイナンバーカード等次のものを用意しておきます。なお、マイナンバーカードに組み込まれている電子証明書は5年毎に役所での更新作業が必要です。もしも、期限が切れそうな場合は早めに更新作業をしてください。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー(スマホの場合は不要)
- 公的個人認証サービスパスワード(6桁~16桁)、利用者パスワード(4桁)
- 必要に応じて電子証明書の更新
セットアップの流れ
それでは、e-TAXの開始です。
確定申告書等作成コーナー
下図は、国税庁の確定申告書等作成コーナーのトップ画面です(下図をクリックすると飛んでいきます)。
私の場合は、昨年提出した申告書データがありますので「保存データを利用して作成」をクリックします。
昨年のデータで流用できるのは、住所・生年月日・マイナンバー等の個人情報(本人、配偶者、扶養者)や株式等の損失繰越をしていた場合のデータ等です(これも私の場合ですが)。
保存データ利用方法の選択
「新規作成」をクリックして、昨年保存した「○○.data」ファイルを読み込みます。
税務署への提出方法の選択
e-TAXでICカードスキャナーにマイナンバーカードを挿入して提出します。
事前セットアップ
毎年恒例の事前準備のセットアップです。下記をクリックしてインストールプログラムをダウンロードして実行します。
PC環境のチャック結果
上記を実行した結果、Chrome拡張機能が設定されていないと判定されました。この判定のため、その下の「事前準備セットアップ」で利用できるか確認がとれないとでました。
解決方法欄(下記赤丸枠)の「拡張機能のインストールへ」をクリックします。
拡張機能の追加
下記の画面になったら「Chromeに追加」をクリックし、「e-TAX AP」をブラウザの拡張機能に追加します。
申請者の確認
申請者の確認画面です。今回は、マンナンバーで実施しますので、ICカードリーダにマイナンバーカードを挿入してから「マイナンバーカードの読み取りへ」をクリックします。
利用者用パスワードが聞かれますので入力します。
PC環境のチェック結果:全て正常
PC環境が全て下図のように全て○になると、e-TAXが正常に利用できるようになります。
事前セットアップファイルのダウンロード(再掲)
やっと事前準備セットアップファイルをダウンロードして実行できるようになりました。
令和2年分事前準備セットアップ
下記をクリックしてセットアップファイルをダウンロードし、実行してください。
昨年の確定申告書データの読込
昨年の確定申告書データを流用しますので、昨年保存した「○○.data」ファイルを下記赤丸枠の「ファイル選択」をクリックして指定します。
その後に「保存データ読込」をクリックします。
マイナポータル連携の選択
必要な方は「マイナポータルと連携する」を選択してください。私の場合はまだ連携する必要が無いので「マイナポータルと連携しない」を選択しました。
健康保険証がマイナンバーカードと連携すると利用するかもしれませんが、まだ私の場合は不要です。
なお、e-Taxとマイナポータルとの連携について知りたい方は下記ボタンをクリックしてください。
確定申告書への入力例
下記はe-TAXを利用した各項目への入力の一例です。
この場合は給与所得の例ですが、「入力・訂正内容確認」列の「訂正・内容確認」ボタンを押すと数値の入力欄が現れてきます。そして入力を終えると「入力有無」列にチャックマークが入ります。
同様に自分の申告の該当する「訂正・内容確認」列のボタンを押して入力を続けていきますが、「予め用意しておくもの」があれば特に問題無いと思いますので省略します。ただし、最後の方の提出時に「公的個人認証サービスパスワード(6桁~16桁)」の入力が求められますので、これも注意してください。
連続して間違えると役所へ行きロック解除しなければなりません。曖昧な場合は、必ずマイナンバーカード取得時のメモを見るなど、慎重に入力してください。
確定申告を終えて
これで所得税・復興特別所得税の確定申告が終わりました。しかし私の場合は、まだ住民税が残っています。
通常は住民税は所得税等の確定申告を自動的に計算してくれるのですが、私のように株式等投資をしている場合は、源泉徴収されている株式配当については所得税等を総合課税で扱い、住民税は源泉徴収のままにした方が有利です。つまり、株式配当においては所得税等と住民税で異なる課税方式を選択します。
このため、住民税については「市民税・県民税申告書」や「上場株式等の所得に係る市民税・県民税申告不要等申出書」などを提出しなければなりません。
異なる課税方式についてご興味があれば次のサイトをご覧ください。
株式投資をされている方は、損益通算・損失繰越のためと配当控除を活用するために総合課税で確定申告を行い、住民税では配当の源泉徴収のままにする申出を行う事が納税的に有利になります。これらについて説明します。そろそろ確定申告の心構えを[…]
さいごに
今回の所要時間は、医療費控除の集計は奥さんにしてもらいましたので、それを除くと準備で半日、e-TAX入力・提出で2時間程度でしょうか。だいたい1日程度で全て終了です。
簡単なのですが、パスワードを間違えるとその日はNGで、平日役所に行ってロック解除しなければなりません。また、毎年事前セットアップが必要です。しかも事前セットアップにはマイクロソフトやChromeの別サイトへ行かなければなりません。このあたりがもっと手軽にできると良いと思います。
まだまだ改善の余地のあるシステムだと思いますので、さらに良くなっていくことを期待したいと思います。
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