たばこ税が、2020年10月から1円/本、2021年10月からさらに1円/本増税されます。JTの株式は高配当で株式優待もありますが株価は低迷・安定しています。増税と関連してJT株式の購入可否について考えてみます。
たばこの国庫への貢献
また、たばこの増税があります。たばこを吸わない方は関係ないと思うかもしれませんが、この税収の他に株式配当もあり、国庫には結構貢献しています。日本では、JT(日本たばこ産業株式会社)が独占していますが、その内容を少し見てみたいと思います。
2018年度税制改正におけるたばこ増税
令和2年度の税制改正に陰に隠れていますが、実は、たばこの増税が今年と来年に控えています。これは2018年の税制改正により決められたことですが、たばこ1本あたり、現状13.244円が、2020年10月から14.244円、2021年10月から15.244円と税率が増えます。
一箱20本入りで20円づつの増税になります。しかも2018年でも20円/箱増税されましたので、トータル60円/箱の増税となります。
このほかに消費税もありますので、たばこ売り上げの60%以上は税金ということになり、毎年2千億円を超える税金が国庫に入ることになります。愛煙家にとっては厳しい話です。
大株主は日本国財務省
JTの筆頭株主は財務大臣で株式の33.35%を保有しています。総株式数は20億株で、配当が154円(2020年12月予想)とすると国に入る配当は約1,027億円となります。
つまり、たばこ税と株式配当で約3,000億円以上のお金が地方自治体を含めて国庫に入るわけです。
投資対象としてのJT株式を考える
国庫の歳入として大きな貢献をしているJTですが、投資対象としてはどうなのかを考えてみたいと思います。
最近の動き
次のグラフは、JT株価の最近2年間の週足チャートです。2020年3月の新型コロナウイルスの影響による大幅下落から回復基調にありますが、まだ値下がりのトレンドから抜け出したとは言い切れないチャートです。
次の表は、2020年6月8日時点のJT株式の参考指標(ヤフージャパン資料から)です。この日の終値は2,204.5円でした。配当利回り(予想)154円、PER(株価が利益の何倍買われているか)12.82倍、PBR(株価が会社解散価値の何倍買われているか)1.61倍と過熱感はありません。
次のグラフは、JTの売上収益と事業の比率を表しています。
売上収益はほぼ横ばいです(若干減少か)。事業比率では、医療事業や加工食品事業がありますが、依然として大きくたばこ事業に依存しています。
しかし、たばこは、国内需要が減少していますので、海外に活路を見出そうとしていることが分かります。
JT株に対する逆風
税収入等で国庫に大きく貢献しているJTですが、上記チャートが示す通り、環境問題等で逆風にさらされています。主な逆風としては次のとおりです。
ESG投資
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、会社の持続的成長のためには必要な観点として投資家に認識されています。
日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)でも、ESG投資の観点で、ETFを購入することを公式にアナウンスしています。また欧米の年金関係のファンドもESG重視を表明しています。
つまり、これらの機関では、環境に悪いJT株は購入しないということです。
改正増進法の全面施行
2020年4月に改正健増法(健康増進法の一部を改正する法律)が全面施行され、吸わない人が煙の迷惑にあわないように、屋内は原則禁煙になりました。
飲食店の屋内でたばこを吸える場合は、店舗入り口に掲出される標識でわかるようになっています。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染は、肺炎を引き起こすので、喫煙者の重症リスクが高いのではないかと言われています(真偽は不明)。このため、世界的に喫煙に対してより一層厳しくなっています。
JT株を持つメリット
JT株のメリットは、何といっても高配当と株主優待です。これらを見てみます。
JT株式の配当
既に述べたように、一株154円(2020年度予想)です。2020年6月8日終値で 2,204.5円でしたので、配当利回りは、6.99%です。日経平均の平均利回りは2%前後ですので、大変な高配当利回りです。
株価により配当利回りは上下しますが、配当金については、大株主が国(財務省)なので、国家財政の厳しい折、悪くて維持ではないかと考えています。
JTの株主優待
株式投資を行う上で、株主優待も魅力の一つです。最近のJTの株主優待は次のとおりです。100株を保有していると2,500円相当の品物がいただけます。利回りで換算すると、1.13%となります。
JT株の配当と株主優待を足すと、8%以上の利回りとなります。
さらに、ここ数年は、電子タバコのスターターキットを喫煙希望者に無償でいただけましたので、これを加えると、1%以上アップ(利回り9%以上)になります。
株主への還元に熱心な会社です。ただし、業績が悪くなると国への配当金を維持して、株主優待から減らしていくのだと考えています。
ひとつの私案
JT株は、残念ながら世界の趨勢で、チャートで見られるとおり、基本下降トレンドです。少し回復基調とも見れますが、下降トレンドが終わったとは言い切れない状況です。
しかし、 安定した高配当株なので、大変魅力的な株だと思います。例えば、JT株価購入時の配当利回り6%だと仮定すると、 3年で18%(6%×3年)、5年で30%(6%×3年)増えることになりますので、この程度の下落なら元が取れるとみる事もできます。つまり待つという選択ができます。少しやけくそ的な考えですが、中・長期的な運用ならありか思います。
つまり次のように考えています。
- 短期的な投資:購入を避ける。まだ下降トレンドが続いている可能性があるため。
- 中・長期的な投資:購入することも一考。値上がりはあまり期待できないが、高配当と株主優待を楽しむつもりなら。
実は、私もJT株式を少し保有しています。株価自体は順調?に値下がりしていますので、評価損を抱えており、いわゆる「塩漬け」ともいいます。
しかし、心配ではありますが、動揺はしていません。あらためて高配当株の魅力を認識している次第です。
さいごに
まあ、下手の横好きと言いますか、現在の保有株式は評価損の状態です。しかし、JT株を含めて比較的高配当株式でかためており、平均利回り4%以上ですので、生活の余力資金になっています。
ドタバタするのも心臓に悪いですので、高配当株として活用してくれるもの、良いのではないかと考えています。
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