定年後40年間安定した生活を送る方法

年金生活を送る場合、約54,000円/月ほど不足するようです。夫の定年時に奥さんが60歳とすると、100歳まで安心した生活を送るためには、定年後40年間をある程度資産運用することが必須です。定年後40年間を過ごすための方法について問題を単純化して概観しました。

定年後の家計収支

定年後に、もしも職に就かない場合は、自分と奥さんが人生を終えるまで、年金と今まで蓄えた預貯金等の資産で生活しなければなりません。

次のグラフは、総務省統計局の「家計調査報告<家計収支編> 2019年(令和元年)平均結果の概要」の報告書にある高齢夫婦無職世帯の家計収支です。

この場合の高齢夫婦無職世帯は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯を指しています。

高齢夫婦無職世帯の家計収支(2019年度、出典:総務省家計調査報告)

年間の不足額

上記のグラフでは、実収入237,659円に対して消費支出239,947円と非消費支出30,982円で、毎月33,269円不足します。

ただし、実収入の中にその他8.7%(20,676円)あります。これは、配偶者を含めて何らかの仕事をしていたり、少し仕送り金があったりの金額ですので、これを無しとすると実際の不足分は、 不足分33,269円+その他 20,676円≒54,000円ぐらいと考えた方が良さそうです。

平均なので(中心値では無く)、一般的に高めに数値が出ますが意外と大きな金額が毎月不足します。年間の不足額は、648,000円です。

何年生きるか

定年時にある程度の貯えがあっても、毎年生活費が不足しますので、自分と奥さんが人生を終えるまであと何年なのかが重要になってきます。

次の表は、厚生労働省の資料にある、平均余命です。平均余命とは、その年齢時点であと何年生きていられるかを表しています。

一般的に女性の方が長生きですので、60歳時点の平均余命は約30年です。これに少し余裕を+5歳みて、35年としても良いと思います。ただ、別の資料では、女性の場合、100歳まで長生きされる方が、 1/4程度いらっしゃるというデータもありますので、後40年間という数値で考えたいと思います。

定年後の資産と割り当て

次に定年時の保有資産の仮定とそれを基にした生活費を工面する方法を考えてみます。

定年時の保有資産の仮定

定年時の年齢を、上記の表と同じにし、保有資産、必要な期間を次のように仮定します。

  • 定年時の年齢:夫65歳、妻60歳
  • 定年時の保有資産:2,000万円
  • 必要な期間:40年間
  • 不足額: 54,000円/月( 648,000円/年)

保有資産を単純に取り崩すと、2,000万円を毎年64.8万円ずつ取り崩していきますので、約31年で枯渇します。

対応方法の一案

定年後の資産は老後の生活を守る大切なお金ですので、安全も考慮し、例えば大きく半分に分け、1,000万円は利息のほとんどつかない預貯金等で保有し、毎年取り崩しの対象とします。そして、残りの1,000万円は配当等(株主優待を含める)のある国内外の株式で運用し、その配当で、不足分を補います。

つまり、保有資産 2,000万円 を次のように分けます。

  • 1,000万円:預貯金(預貯金、積立、定期、国債等)で保有し、毎年取り崩しの対象とする。 1,000万円を40年間では、2万円強/月取り崩すことができますので、最初のグラフのその他8.7%分に相当します。
  • 1,000万円:比較的高配当(株主優待を含む)の国内外の株式で運用し、その配当で不足分40万円/月(≒33,269円/月×12月)を補います。

高配当の国内外株式で運用する1,000万円分は、 配当率4%程度必要ですが、 株主優待も含めると大きな企業でも結構あります。株式運用は、株価下落、業績による配当率低下、倒産等のリスクがありますので、大企業といえども安心できませんが、業種や銘柄を分散することにより、そのリスクを低くなりますし、なにより原資が減りません。

その他の考慮

リスクを抑える分散については、業種・銘柄の分散だけではなく、地域や時間の分散も大切です。

例えば、業種・銘柄については、原資が1,000万円分ありますので、5~10の業種に各々1~2銘柄 に分散する。

地域については、国内と米国に分散する。そして、時間については早い時期から積立を開始したり年数回に分けて購入するなどで分散する。などが考えられます。

また、一般的に男性の方が5年~10年弱程度早く終わりを迎えますので、お金の面では相対的に、もう少し余裕が出てくると思います。

さいごに

今回は、定年時の保有資産を2,000万円と仮定して、ざっくりとお金の面で生活を守るための40年間の一対策案を考えてみました。

しかし、実際は、収入・支出や家族構成等は各家庭により異なります。このため、各家庭に合った収入・支出のキャッシュフロー表を作成しておくことが基本であり、お勧めです。下記に関連記事とキャッシュフロー表がダウンロードできるサイトがありますので、ご覧ください。

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ライフプラン

最初の版は、不完全でも良いと思いますので、まずは作成し、毎年見直して精度を高めていくと安心です。保有資産が枯渇しそうな時期が、かなり前から分かりますので、危ない場合は、収入を得る方法をとるか家計を節約していくとかの対策を考えることができます。

是非、キャッシュフロー表を作成し、将来の安心に繋げてください。

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