NISA口座の金融機関変更に伴い、次に購入すべき投資信託・ETFとメリットある購入方法等を再考しています。同じテーマの(その1)では銘柄の調査を行いました。本稿の(その2)では、購入候補であるその銘柄からいくつか選択して資産配分について検討してみました。
候補となる投資信託・ETFの銘柄の調査
NISA(少額投資非課税制度)は売買利益や配当金の課税はありませんが、損益通算ができませんので、運用益が出やすいインデックス型(指数連動型)・ノーロードタイプ(売買手数料無料)の積立投資信託が向いています。
また、中長期に運用しますので、管理費用が小さく(保有コストが小さく)純資産が大きい(安定している)良い銘柄を選ぶのが良く、これからも上記の投資信託やETFが運用対象としては優れています。
具体的な銘柄の候補については、次のサイトでまとめていますので、ご覧ください。本稿では、銘柄候補のピックアップが済んでいるとして検討を進めます。
12月はNISA口座の金融機関変更のタイミングです。現NISA口座の変更手続き、現NISA口座で積み立てていた投資信託等の売却、新たな金融機関でのNISA口座開設、新たな金融機関でのNISAを活用した投資信託の購入等を行っていくことになり[…]
資産配分の考え方
投資の世界では、リスクの高いものはリターンも高く(ハイリスク・ハイリターン)、リスクの低いものはリターンも低い(ローリスク・ローリターン)が一般的です。このため、不要なリスクは避け、自分が許容できる銘柄にする事が肝要です。
また、各資産対資産を見た場合には、各々相関がありますので、リスク低減のために資産分散を図る場合は、極端に一方向(悪い方向)に偏らないようにすることが重要です。
アセット毎の投資信託のリターンとリスク
まずは、各アセット(区分)のリターンとリスクを決めます。リターンは年率の値上がり分、リスクは標準偏差で価格の揺れ幅の程度を示しています。
次の表は、各アセットのリターンとリスクの一例です。日本債券、日本株式、先進国債券、先進国株式は、GPIF(年金積立金管理運用独法人)の採用している数値を使い、それ以外は、類似ファンドの数値から持ってきました。GPIF以外は、算出期間が3年間~5年間と比較的短いため、評価に足る良い数値があれば置き換えてください。
この表を見た感じでいうと、新興国債券・株式のリスクが小さい事とREITのリターン及びリスクが小さいのではないかと思いますが、とりあえずこの表の数値で検討を進めます。
複合型投資信託のリターンとリスク
前の表はアセット毎の数値でしたが、次の表はアセットを組合せた複合型投資信託のリターンとリスクの表です。
グローバルとは、日本株式を含めてほぼ全世界の株式に対応する投資信託です。SBI・全世界株式インデックス(設定日2017年12月6日)とeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー、設定日2018年10月31日)は、設定されてからあまり期間が経っておらず有効な数値を得られないので、空白(-)にしています。
バランスとは、4資産(アセット)から8資産を均等に購入する投資信託です。上記グローバルの楽天・全世界債券インデックス(H:ヘッジ有)もそうですが、全て設定されてから3年間のリターン・リスクの数値ですので、信頼性が劣ります。
海外ETFのリターンとリスク
次の表は、海外ETFのリターンとリスク、そして分配金があるものはその利回りも記載しています。海外ETFですので、円をドルに交換して購入する必要があります。
先進国株式(米国)は、米国市場に上場している株式を対象にしています。
金は、分配金がありませんので、利回りは0です。また、GLDMは、設定日2016年6月25日と運用期間が短く、リターン・リスクの有効な数値が取れません。
グローバルは、米国、日本を含めてほぼ全世界の債券又は株式に投資するETFです。
海外ETFでは、バンガード社の管理費用が安い事と米国市場の好調さがわかります。
資産(アセット)の相関
アセットには、比較的相関が強く有るものと相関が無いものがあります。次の図は、モーニングスターのサイトで作成した8資産均等のパフォーマンスを表しています。この8資産は、国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、コモディティ・金です。2016年1月に各12.5%づつ購入した場合(合成指数)と各資産の変動を示しています。
比較的短い過去5年間のデータですが、これから資産の相関では、次の事が言えます。
- 先進国株式とコモディティ・金の成績が良い。
- コモディティ・金と国内株式は、逆相関の期間が長い。
- モディティ・金と先進国株式は、順相関も逆相関が両方ある。
- 国内債券や先進国債券の変動は、小さい。
- モディティ・金、債券、国内REIT以外は、先進国株式と同じような傾向にある。
- 合成指数(8資産均等)は、変動が少なく順調に上昇している。
比較的安定した運用を行うには、逆相関を活用するのが重要ですので、国内株式(日本株式)、先進国株式、金は、採用した方が良さそうです。後は好みですね。
配分の検討
次に具体的な資産配分を考えてみます。アセット毎の投資信託を組合せた場合、グローバル型の投資信託やETFを活用した場合などで、リターン・リスクと管理費用の面から検討してみます。
ケース1:いろいろな投資信託を組合せる
最初の表は、各アセットを組入比率で購入した場合のリターンとリスクの結果です。リターンは年率4.7%、リスクは17.0%となりました。この組入比率は、私が以前のNISA口座で実施していた積立比率で(銘柄は異なります)、最後の売却では約4年間で14%の利益がありました。
具体的な銘柄(金融商品)としては、上記のとおりで、各区分で最も管理費用の安いと思われるものを選択しました。この結果、管理費用は0.1643%で、十分に安い管理費用です。
これらの投資信託を積立で購入する場合は、例えば、毎月1万円積立で、日本債券1,000円/月、日本株式1,000円/月、、、と購入していくことになります。
ただし、9銘柄ありますので、リバランスなどで少し管理が面倒という面があります。その反面、各アセットの動向をよく見るという良い面もありますが。
なお、リバランスとは、購入を続けていくと組入比率が乱れてきますので、年に1回程度売買により組入比率を戻す事をいいます。リバランスを行う方が何もしないよりも投資効率が良くなると言われています。
ケース2:グローバル型を加えて購入銘柄を減らす
株式投資信託をグローバル型にして銘柄数を減らし場合の一例です。この例では、管理費用は0.1398%となります。それほど減ってはいませんので、手間を減らす意味に方が大きいですね。
ただし、債券も金も海外ですし、株式が60%と、海外偏重・株式偏重の組入比率になっています。このため、先進国債券をeMAXIS Slimシリーズの日本債券(国内債券)にすれば管理費用は同じですし、さらに株式比率を抑える手もあります。
ケース3:海外ETFを活用してコストを下げる
海外ETFを組合せる事により、さらに管理費用を安くできます。次の表はその結果で、管理費用が0.048%と今回比較した中では最も安くなっています。
海外ETFの債券・株式は、共に米国市場のものを選択しています。これは全世界の同類のものよりも少しリスクが低くて少しリターンが高いためです。金融世界市場は米国を中心に回っているのだと実感してしまいますが、これらを全世界型に変更するのもありと思います。
ただし、海外ETFの場合は、購入する時に円→ドルに交換し、売却して手元に置くためにはドル→円に交換しなければなりません。外国為替の影響をもろに受けますので、円高の時に購入して円安の時に売却するのが効果的です。このため特に時間と心の余裕が欲しいところです。
さいごに
今回は、資産配分(アセットデザイン)のいくつかの案を考えてみました。海外ETFが最も運用費用が低いのですが、今のドル円相場ですと103円/ドル台です。ひところに比べると円高ですが、チャート上ではまだドル下落傾向のように見えますので買いにくいですね。資金のある方は、じっくりとチャンスを待ち、それまでは、NISAで積立投資信託を実行しておくのが良いと思います。
次の記事の(その3)では、ネット証券のメリットを考慮したうえで実行する方法を具体的に説明したいと思います。
年明けには新しいNISA口座が出来てきますので、準備万端で進めていきたいと思います。
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