米国FRBの政策金利の上昇傾向により米国市場が混迷を深めていますが、それでも外貨運用となると米国抜きにはできません。米ドル運用を行う上でメリットのあるSBIホールディングスのSBI証券とNEOBANK(住信SBIネット銀行)の主なサービスと活用フローをまとめてみました。
NEOBANKのサービス
NEOBANK(住信SBIネット銀行)は為替手数料が比較的で外貨商品が比較的多いのが特長です。
為替手数料
次の表は、主なネットバンクの為替手数料(円貨⇔米ドル)の一覧です。
NEOBANKは為替手数料6銭と最も安価です。同じSBIホールディングスのSBI証券で行うよりもNEOBANKで交換する方が良いことがわかります。
マネックス証券は、現在米ドル買付手数料無料キャンペーン中ですので、為替手数料がかかるのは米ドル→円貨に戻す時になります。
三菱UFJ銀行は、市中銀行の代表として挙げましたが、ネットバンキングで処理を行う際の手数料です。窓口で手続きを行うと為替手数料は倍の50銭になります。
金融機関 | 為替手数料 |
---|---|
NEOBANK | 6銭 |
SBI証券 | 25銭 |
楽天銀行・楽天証券 | 25銭 |
マネックス証券 | 25銭※ |
三菱UFJ銀行(ネットバンキングの場合) | 25銭 |
※マネックス証券では米ドル買付時手数料が無料キャンペーン実施中。
米ドル普通預金・定期預金
NEOBANKの米ドル普通預金の金利は1.00%です(2022年12月1日時点)。
米ドル定期預金の金利は一例をあげると次のとおりです。
通貨 | 1ヵ月 | 3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 |
---|---|---|---|---|
米ドル | 2.30% | 2.80% | 3.60% | 3.75% |
仕組預金
NEOBANKでは、特約付きの定期預金商品を仕組預金と称しており、次の表の4種類があります。この内、預入通貨が外貨のものは、#2外貨仕組預金プレーオフと#4外貨仕組預金オセロでが、#2外貨仕組預金プレーオフは現在停止中です。
外貨が絡むものは見た目好金利なのですが、為替リスク(為替差損が発生する可能性がある)があり、個人的にはお勧めできません。
# | 名称 | 預入期間 | 預入通貨 →受取元本 | 受取利息 | 預入単位 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 円仕組預金 プレーオフ | 1~10年 | 円貨 →円貨 | 円貨 | 10万円 以上 |
2 | 外貨仕組預金 プレーオフ | 1~5年 | 外貨 →外貨 | 外貨 | 停止中 |
3 | 円仕組預金 コイントス | 1ヵ月 | 円貨→円貨or外貨 | 円貨 | 10万円 以上 |
4 | 外貨仕組預金 オセロ | 1ヵ月 | 外貨→外貨or円貨 | 外貨 | 1000通貨 以上 |
仕組預金については、楽天銀行の類似商品を含めて、次の記事でまとめていますので、ご覧ください。
銀行の預貯金は、定期預金でも低金利が続いています。このような中でもネットバンクを中心にデリバティブ(金融派生商品)を組込む事で好金利を実現する特約付きの定期預金商品があります。住信SBIネット銀行では仕組預金、楽天銀行では満期特約・為替特[…]
SBI証券のサービス
FXによる円貨→米ドル交換方法と米ドル運用方法について説明します。
FXでの米ドル現引
ここでFX(外国為替証拠金取引)を挙げたのは、FXで運用するためではありません。円貨を米ドルに交換する手段として用いいるためです。このため、レバレッジ1(レバレッジをかけない)とします。また、最低購入単位は1万通貨となりますので、1万ドル相当の円貨を準備しなければなりません(実際は105%の余力が必要です、例えば140円/ドルの場合は1万ドル×140円/ドル×105%=147万円が必要です)。
FXでは為替手数料が無い代わりにスプレッド(売値と買値の差)があり、SBI証券では本稿執筆時点で0.2銭です。これが為替手数料相当になります。なお、現引が可能なのは、米ドル-円通貨ペアのみです。
手順としては次のとおりです。
- SBI証券のFXにて、米ドル1万通貨分相当の円貨を準備し、レバレッジ1で米ドルを買い付けます。
- FX内で、買い付けた1万ドルを円貨に現引します。
米ドル建MMF
SBI証券では、米ドル、南アフリカランド、トルコリラの外貨建MMFがあります。このうち、米ドル建MMFとしては次のとおりです。原則1ヵ月以上の預入れする必要がありますが、一時的に米ドルを保有するのには、良い利回りです。
名称 | 直近平均利回り(税引前) |
---|---|
ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド | 3.220% |
ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド | 3.118% |
ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト | 3.241% |
ゴールドマン・サックス | 3.285% |
米国ETF買付手数料無料サービス
ETF(上場投資信託)は投資信託と比較して、通常経費率が低く、株式市場でリアルタイムに売買できます。そしてネット証券の中には、一定の米国ETFについて買付手数料を無料しているものがあります。
次の表は、SBI証券の米国ETF買付手数料無料銘柄の一覧です(参考に楽天証券も)。経費率の低さで有名なバンガード社の銘柄、米国市場のS&P500指数やNASDAQ100指数に連動する銘柄等魅力的なものが並んでいます。
NEOBANKとSBI証券の外貨即時決済サービス
SBI証券とNEOBANK間では、外貨入出金サービスとして外貨即時決済サービスがあります。これは、NEOBANKの外貨普通預金からSBI証券の外貨建口座にすぐに入金・出金ができるサービスで、入出金手数料無料です(SBI証券が負担してくれます)。さらに、利金や償還金の受け取りを円貨か外貨で選ぶ事ができます。
対象の外貨は、米ドルはもちろんのこと、ユーロ、豪ドル、NZドル、カナダドル、南アフリカランド、香港ドルの7通貨が対象です。
米ドル運用の流れ
米ドルで運用する主なフローをまとめると次のとおりです。
NEOBANKで運用する場合
- 円貨を為替取引(為替手数料6銭)により米ドルに交換します。
- NEOBANKの米ドル商品を買い付けて運用します。
- 米ドル普通預金・定期預金・仕組預金(外貨仕組預金オセロなど)等で運用します。
- 運用終了後に為替取引(為替手数料6銭)で米ドルを円貨に交換します。
SBI証券で運用する場合
- 円貨を次の方法で米ドルに交換します。
- NEOBANKにおいて為替取引(為替手数料6銭)、又は
- SBI証券においてFXによる米ドル買付・米ドル現引
※米ドル買付時に最低1万ドル相当の円貨が必要です。
- 上記①-①の場合は、米ドルを外貨即時決済サービス(無料)でNEOBANKからSBI証券に移します。
- SBI証券にて米ドル商品を買い付けて運用します(代表的な商品のみ記載)。
- 米ドル建MMF
- 米国株式
- 米国ETF ※銘柄によっては米国ETF買付手数料無料サービスが利用できます。
- 運用終了後の米ドルを外貨即時決済サービス(無料)でSBI証券からNEOBANKに移します
- NEOBANKの為替取引(為替手数料6銭)で米ドルを円貨に交換します。
さいごに
米ドルを保有していない場合は、まず円貨を米ドルに交換しなければなりません。FXを活用すれば現引により手数料相当が最も安価にできますが、最低1万通貨分×105%分の円を用意しなければなりません。これを考えるとNEOBANKの為替取引(手数料6銭)と外貨即時決済サービスでも十分だと思います。
これらの活用で手数料等のコストを下げる事ができますので、外貨運用するのであればSBIホールディングスが良いのではないかと考えています。
私の場合は、SBI証券と楽天証券を利用させていただいています。楽天証券では、別の目的ですので、別の機会にご紹介できればと思います。
SBI証券では、来年上期に国内株式手数料無料化をアナウンスしていますので、引き続き、注視していきたいと思います。
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