金価格が順調に値上がりしています。比較的安定感のある金について、特長を整理し、上昇の理由と投資の可能性を考えてみました。
金の価格と性質
金の価格の決め方は、海外では1トロイオンス(約31.1g)のドル建ての値が使われます。例えば現在の価格は1,734.3ドル/トロイオンスです。
日本の場合は、ドル円換算し、1g当たりの円価格で表示されます。例えば、6,615円/gです。このため、円価格にはドル円の為替相場が大きく影響されることになります。
一般的に金とドルは、次の相対関係があります。
- ドル上昇 ⇒ 金価格下落
- ドル下落 ⇒ 金価格上場
一方、ドルと円は、為替ですので相対的に逆に動きます。これを、金価格と連動すると一般的な動きは次のようになります。
- 円下落 ⇒ ドル上昇 ⇒ 金価格下落
- 円上昇 ⇒ ドル下落 ⇒ 金価格上昇
円価値と金の価格は同じような動きになる傾向がありますので、円の価値が下がると金価格も下がり、円の価値が上がると金価格も上がります。このため、円でみると金価格は安定しているように見える(動きが無いので面白くない)のが一般的でした。
でも最近では、円での金価格が最高値になったというニュースがありましたが、ドル換算の金価格は、まだ最高値になっていません。今までの常識から外れた結果が現れてきています。
金価格の回復
次の図は、チャート広場(図をクリックすると同サイトに飛んでいきます)に掲載されている最近のドル建ての金価格のチャートです。
新型コロナウィルスの影響による2020年3月の大暴落から順調に価格が回復しています。しかし、長期的にみるとドル建てでは、まだ最高値更新まで行っていません。
長期レンジでの動き
次の図は、三菱マテリアルゴールドパークが提供(図をクリックすると同サイトへ飛びます)している1978年からの金価格のチャートです。海外価格(ドル建て、左軸の単位:ドル)と国内小売価格(右軸の単位:円)の月間平均価格の推移を現しています。
このチャートは月間平均なので、はっきりとは見えないのですが、過去の金価格の最高値は、次のとおりです(ドル建ては1トロイオンス、円建ては1g当たり)。
- ドル建ての金価格最高値:1,923ドル@2011年9月
- 円建ての金価格最高値 :6,495円 @1980年1月→最近更新
これからの価格予想
金のドル建て価格と円建て価格の推移と予想される価格の上限を考えてみます。
金のドル建て価格
ドル建ての金価格最高値は、2011年9月の、 1,923ドル/トロイオンスです。
当時の最高値は、2008年9月のリーマンショック後の企業救済のため、今と同じように金融緩和でほぼ0金利政策をしたことや中国・インドでの金需要の高まり等が原因と言われていました。
今は、同じように金融政策で金利低下中ですが、新型コロナウィルスによる中国・インドを含めた世界的なダメージ、中国の景気後退等があり、以前より状況が悪いように見えます。
金の最近のドル建て価格はと言えば、2020年3月の大暴落後、順調に値上がりしていますが、まだ1,700ドル当りと最高値に届いていません。
金の円建て価格
一方、日本を見ると過去の最高値は、6,495円(1980年1月)です。当時の為替レートは、240円/ドルですので、これで換算すると半値以下になります。
しかし、円建ての金は、5月18日に最高値6,712円/gを付けており、さらに最高値を更新する可能性があります。これの意味するところは何でしょうか。
- 新型コロナウィルスの影響は世界的なものなので、比較的為替は安定している(景気後退により為替の有利不利はない)。
- 純粋に円建ての金価格が今は上昇している。→円で金を購入している方が多い。
円で金を購入しているから円建ての金価格が上がるわけですので、その理由としては、日本(中央銀行、個人)が金を購入しているか、または自国通貨に自信のない国が一旦円に換えてから金を購入している、が考えられます。
しかし、後者は、円に換えるならドルに換える方が良さそうですので、やはり日本が購入しているのかなぁと予想できます。ここらあたりは、まだデータがありませんので、調べて見たいと思います。
価格予想
金価格の(適当な)上限予想としては、金の過去の動きは暫く上昇してから安定するような傾向に見えます。リーマンショック後は、1.4~1.5倍強値上がりして安定しているので、その傾向と同様に 1.4~1.5倍程度値上がりすると仮定すると 2,000~2,200ドル ぐらいかなと考えています。
さいごに
一般的に市場は循環したりシーソーゲームのようなところがありますので、今は円建ての方が最高値を更新していますが、そのうち、ドル建て金価格が巻き替えしてくるかもしれません。
今回は、頭の体操として、大胆にも価格予想をしましたが、私たち素人には、スポット的な購入は、それだけリスクが高まりますし、金は比較的安定しているので、リターン(利益)も小さいと思います。
ある程度、金を保有することは、資産防衛としては、重要ですので、あくまで時間分散、つまり積立で5~10%程度に抑えておくことが良いと思います。
投機では無く、長期的な投資としてとらえるべきものと考えています。
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