買付手数料無料の金地金価格を指数とする海外ETFが楽天証券から出てきました。金の投資信託は、分配金がありませんので複利効果が期待できません。このため、金投資の方法が変わる可能性があります。
また、世界中でヘリコプターマネーのようにお金がばらまかれていますので、この反動が不安です。急激なインフレに対応するためにも金を含めて現金以外の資産を保有しておくことが必要です。これらについて考えてみたいと思います。
金地金を指数とする投資信託と海外ETFの比較
次の表は、金地金価格を指数とする中で、比較的信託報酬率が低い投資信託と海外ETFです。各々について特長を説明します。
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド
世界最大の資産運用会社であるブラックロック社が運用する投資信託です。
金の投資信託では、最も信託報酬率(0.485%)が低い商品で、ノーロード(売買手数料0)で積立可能ですが、金に投資するので分配金がありません(金に投資するものは全て分配金がありません)。
このため、複利効果は期待できず、値上がり益だけを狙う事になります。
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
こちらもブラックロック社が運用する海外ETF(上場投資信託、米ドル建て)です。
以前は、最も信託報酬率(0.25%)が低い商品で、2005年1月から設定されていることもあり、純資産総額は24,722百万ドルです。
米ドル建てなので、円貨を米ドルに交換して購入する必要があります。また、1万ドルで20ドル程度の売買手数料が必要です。
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社が運用する海外ETF( 上場投資信託、 米ドル建て)です。
現在は、最も低い信託報酬率(0.18%)です。2016年6月設立のETFのため、まだ純資産総額は、2,231百万ドルとIAUの1/10ですが、これから増えていくと思います。
楽天証券では、海外ETFの一部を買付手数料無料としていますが、このETFもその対象です。このため、単純に信託報酬率で比較すると、このETFが最も低コストで積立することが可能です。
ただし、次の「購入時の考慮点」を考えるとの条件付きですが。
購入時の考慮点
最も低コストのGLDMを購入するためには、円貨を米ドルに換える必要があります。通常の方法では、1ドル25銭の手数料が必要ですが、これでは、1ドル100円とすると0.25%のコストアップになりますので、信託報酬率の差があまり無くなってしまいますので面白くありません。
このため、FX( 外国為替証拠金取引)で円貨を米ドルに換え、その後米ドルを現引き(現受け)すると1ドルを0.2~0.3銭で変換できたことになります。
ただし、楽天証券では、現引きのサービスをまだ実施できないようですので、これを待つか、他の証券会社が買付手数料無料化のGLDMを待つかとなります。
面倒ですので、この方法は暫く待ちですね。
従来どおり、積立なら投資信託のiシェアーズ ゴールドインデックス・ファンドを、まとまったお金で購入するならば GLDM ですね。
預貯金だけに頼る不安
新型コロナウィルスで落ち込んだ経済を立て直すため、世界中でいわゆるヘリコプターマナー的(ヘリコプターからお金をばらまくような政策)な経済対策が始まっています。
このお金は国債をじゃんじゃん刷って作り出さなければなりません。借金はいつかを返さなければなりませんので、一体どうなるのでしょうか。現状では、国債は日本の中央銀行である日銀がお金を刷って買っています。
最近、米国の有名な投資家であるダリオ氏は、 「現金はゴミだ」 と言い続けています。つまり、お金の実質的な価値が中・長期的に減少しつづけているということです。
既に日本は地方自治体を含めて莫大な借金(国債、地方債等)を抱えていますので、借金のある人はインフレ大歓迎なわけです。つまり借金の利率1%で、インフレ率5%になれば、差し引き実質4%も借金が減っていくわけです。
インフレになると給料や銀行利息が少し上がって自分の現金資産が増えたように感じますが、物価がそれ以上に上がりますので実質は価値が減っています。これが、わかりずらいので、自分の資産が増えているように感じてしまいます。
現金や預貯金で持っている人は損をし、通貨の発行者や借金をしている人は得をするわけです。いわゆるインフレ税と言われる所以です。
やはり資産の分散が大事
このため、現金も必要ですが、現金・預貯金以外の金や株式や不動産等のその他の形で資産を保有しておくが必須です。
しかし、金(ゴールド)に集中投資するのもリスクが高く問題です。ここは正攻法で、資産の分散を心掛けておくことが重要です。
一般的に金は、資産の5%~10%保有しておくのが良いと言われていますので、それを守り、その他は預貯金を含めて、債券、株式、不動産(手軽なREIT)等の資産分散、日本、米国、欧州等の地域分散、そして一度に全てを購入しない積立購入による時間分散が重要だと考えています。
さいごに
今回は海外ETFの買付手数料無料化の中で金(ゴールド)の商品について比較してみました。結果は、従来とあまり変わらないとの結論になりました。しかし、金は、機会をみて、ある程度保有しておいた方が良いと思います。
現在の実体と合っていない世界的なじゃぶじゃぶの金融状況を考えると何が起こるかわからない気持ち悪さがあります。自分の家計を考えるとあり得ない状況です(自己破産している)。
何があっても不思議ではありませんが、大切なお金を守るために、私たちが精々できることは分散しかないと思います。今回の厄災の影響がこのまま済むとは思えませんので、皆さんも是非検討されてはいかがでしょうか。
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