投資信託の目論見書では、信託報酬と運用管理費用を分けて記載しているものがありますが、この違いは何でしょうか。最近調整気味ですがまだまだ好調な金の投資信託の比較と共に保有しているとかかる費用について説明します。
金の状況
金は一般的に株価と逆相関になることが多く、また世界的に通用する資源のため有事の際のリスクヘッジにもなりますので、資産の一部は金で保有するのが良いと言われています。
次の図は、金ETF(iShares Gold Trust -ETF)、米国株式(S&P500)、日経平均の5年間の相対比較チャートです。5年間の増加率ではS&P500に若干劣りますが、それでも+49.8%増です。2020年3月頃のコロナ禍発端の下落や2023年1月頃の金融不安等でも比較的安定しており、株式チャートとの逆相関も良く現れています。
最近では、少し調整していますが、リスクヘッジの一つとして金の資産についても少しは保有しておきたいものです。
金を対象とする投資信託
それでは、金を対象とする投資信託を見てみたいと思います。次の表は、投資信託のゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)、SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)、三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)の比較表です。
区分 | ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし) | SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし) | 三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド) |
---|---|---|---|
委託会社 | 日興アセットマネジメント | 三井住友トラスト・アセットマネジメント | 三菱UFJ国際投信 |
設定日 | 2017.7.31 | 2017.11.28 | 2011.2.7 |
基準価額 | 18,554円 | 17,194円 | 21,541円 |
純資産 | 15,172百万円 | 4,958百万 | 119,927百万円 |
信託報酬 | 0.407% | 0.275% | 0.55% |
運用管理費用 (含.信託報酬) | 0.407% +ETF管理費用 | 0.525 ~0.675% | 0.99%程度 (含.ETF管理費用0.44%) |
信託財産留保額 | 0 | 0 | 0 |
ベンチマーク | LBMA金価格 (円換算ベース) | LBMA金価格 (円換算ベース) | 国内金先物価格を基にした理論価格 |
マザーファンド | iShares Gold Trust ETF等 | iShares Gold Trust ETF等 | 純金上場信託(現物国内保管型) 愛称:金の果実 |
設定日は、三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)が最も古参で純資産も大きくなっています。
信託報酬は、ベビーファンドの数値でゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)が0.407%と最小ですが、これにはマザーファンドの信託報酬等が含まれていません。
運用管理費用は、ベビーファンドとマザーファンドの信託報酬を合わせた値です。ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)では、「投資する上場投資信託証券の銘柄は固定されていないため、事前に料率、上限額などを表示することができません。」という理由が目論見書に記載されています。このため、SMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)よりもゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)の方がコスト安とは一概に言えません。
ベンチマークは、ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)とSMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)はLBMA金価格(ロンドン時間の午後に公表される1トロイオンスあたりの金現物価格)を円換算したものです。一方、三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)は国内の金先物価格を基に算出したものです。
マザーファンドは、ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)とSMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)は米国ETFの「iShares Gold Trust ETF」等です。一方、三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)は純金上場信託(愛称:金の果実)で買い付けた金の現物を国内で保管しています。この安心感が人気のある理由の一つです。
なお、ここで紹介している3種類の投資信託は、全てファミリーファンド形式をとっていますので、当該ファンドをベビーファンド、さらに投資する先をマザーファンドと称しています。
上記表に現れないその他の費用もあります。これには、監査費用、有価証券の売買・保管、信託事務に係る諸費用等や投資信託財産に関する租税等が発生しますが、運用状況等により変動するなどの理由により、事前に料率、上限額等が示されていません。
さいごに
三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド)のマザーファンドである「純金上場信託(現物国内保管型)愛称:金の果実」のETFは、ある程度口数が貯まると現物の金に交換することができます。これも人気に理由ですが、最低1kg相当と交換できる口数であること、その際手数料・税金等が発生します。
金1kg相当の口数はなかなか貯まりませんので、それならば、金の現物を購入したり積立購入した方が良いのかもしれません。私の場合は、投資信託であれば最も信託報酬の安価なものが良いと考えていますので、そうなると運用管理費用(含.信託報酬)が明確になっているSMTゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)を積み立てています。
資産の5~10%程度は金で持つのが良いと言われていますので、皆さんもご自身にあう方法で実践されてはいかがでしょうか。
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