iDeCoとNISAは、控除や非課税があり、個人の財産を増やすための有力な手段です。ケーススタディによりあらためてメリットの大きさを確認します。また、令和2年度税制改正の関連部分について説明します。
iDeCoと令和2年度税制改正
iDeCoとは
iDeCoとは個人型確定拠出年金です。iDeCoの制度を使い投資信託等を積み立てていると掛金が全額所得控除されるので、課税所得が減り、その年分の所得税と翌年の住民税が軽減されます。
また、その間の分配金等も非課税です。所得控除の適用を受けるためには、「年末調整」か「確定申告」の手続きが必要ですが、所得控除の効果は大きいです。
iDeCoの令和2年度改正
iDeCoの加入可能年齢は、これまで60歳未満の方まで加入可能でしたが、これが65歳未満の方まで引き上げられました。
また、受給開始時期も 60歳から75歳の間で選択できるようになりました 。
NISAと令和2年度税制改正
NISAとは
NISAとは、少額投資非課税制度のことで、個人が上場株式や投資信託の売却益や配当を得た場合に、本来ならば税率20.315%が課せられますが、一定の年間上限額以内であれば、非課税になる制度です。種類は、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAがあります。
NISAの令和2年度改正
一般NISAは1階部分20万円(つみたてNISAと同じ積立投資信託から選択)と2階部分を合わせて122万円/年投資することができるようになり、5年間延長することになりました。
つみたてNISAは、現行制度のままで5年間延長することになりました。
また、ジュニアNISAは、2023年末で廃止することになりました。
非課税の効果
iDeCoの場合
iDeCoは、所得税や地方税が課税される前に所得控除されますので、非課税額が大きくなります。
次の表は、課税される所得金額に応じた所得税率と地方税率の早見表です。所得税は所得に応じて7区分されていますが、区分間を調整するための控除額は省略しています。また、復興特別所得税2.1%を含んでいます。
地方税は、関係する所得割だけを記載しています。地方自治体により若干増減しているところもありますが、一般的な10%を記載しています。
計は、地方税率と地方税率を合計値です。iDeCo制度を利用して投資した金額に対してこの課税分が無くなることになりますので、効果は非常に大きいことになります。
ただし、iDeCoで投資したお金を使えることができるのは、60歳以降からです。
NISAの場合
NISAは、売却益や配当金・分配金に対して本来かかる20.315%が非課税になります。また、投資したお金をいつでも下ろすことができます。
ただし、株式等を売却した際に損失が生じた場合では、損益通算ができません。
そして、なによりiDeCoと異なるのは、投資するお金は所得控除後のお金から工面しなければならないことです。この差が大きいですね。
ケーススタディ
次のケースでどの程度非課税の効果があるのかを見てみます。
- 所得金額:300万円
- 投資金額(2万円×12月):24万円
- 投資効率(売却益+配当等で5%):1.2万円
- 運用期間:20年間
iDeCoの場合
- 所得控除の効果:24万円×20.210%=48,504円
- 投資効率分の効果:1.2万円×20.315%=2,438円
- 運用期間を通して:(48,504円+2,438円)×20年=1,018,840円
非課税の効果で、20年間で1,018,840円分の税金を免れたことになります。
積立金額も(24万円+1.2万円)×20年間で21年目には、504万円を手に入れる事ができます。
さらに、長期運用による複利効果でもっと大きな金額になっていると思います。例えば上記2で投資効率を5%としましたが、これを複利計算すると、積立元本480万円に対して821万円となります。
投資効率5%というのは、売却益も入れて仮定していますので、もう少し落として複利2%で考えると、積立元本480万円に対して590万円となります。
机上の計算ですが、なかなか楽しいものです。
NISAの場合
NISAでは、所得控除がありません。投資効率分だけの効果なので、次のとおりです。
- (1.2万円×20.315%)×20年間=48,756円
元本は、iDeCo同様に(24万円+1.2万円)×20年間で21年目には、504万円となっています。また、複利計算についてもiDeCoの場合と同じです。
さいごに
あらためてiDeCoの非課税効果に驚かされます。ただ、残念ながら引き出し可能なのは60歳以降です。また実は投資可能な上限があります。
うちの子は、既にiDeCoだけを始めており、もう60歳以降の事かと呆れてしまいますが、途中で積立額の変更や停止も可能ですので、まあ良いのでしょう。
現実的には、iDeCoとNISAは半々ぐらいの割合かなと考えています。まだ、iDeCoを始めていない方は、少ない金額でも良いと思いますので将来の安心を買うつもりで検討されてはいかがでしょうか。
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