万一の時に銀行口座凍結や遺産相続で残された家族は大変な目に会います。事前準備をして自分たちで実行する手もありますが、これで不安な場合はどこに相談・依頼をするかを予め決めておき、それを伝えておくこともひとつの考え方です。相談・依頼する可能性のあるところをまとめて見ました。
相談するところとしては
万一の時に相続し、場合によっては、相続関係の手続き等を依頼する可能性のあるところとしては、法テラス、相続手続き支援センター、信託銀行、司法書士や税理士等の士業の方等が考えられます。
以下、各々について説明します。
法テラス
法テラスとは通称で、正式名称は、日本司法支援センター(ここでは法テラスと称します )です。
司法制度改革の目玉の一つとして国によって設立された法的なトラブル解決のための、いわゆる「総合案内所」のようなところです。 司法制度改革では、裁判員制度が有名ですが、法テラスはあまり馴染みがないですね。
しかし、国民が全国どこでも法による紛争解決に必要な情報・サービスを受けられ事が目的ですので、安心して利用できます。主な事業は次のとおりです。
- 相談窓口:法制度に関する情報と、相談機関・団体等(弁護士会、司法書士会、地方公共団体の相談窓口等)に関する情報を無料で提供する 。
- 民事法律扶助: 経済的に余裕のない方などへの無料で法律相談を行い、必要な場合は弁護士・司法書士の費用等の立替えを行う。
- 国選弁護の態勢確保:国選弁護人になろうとする弁護士との契約、国選弁護人候補の指名及び裁判所への通知、国選弁護人に対する報酬・費用の支払いなどを行う。
- 司法過疎地域における法律サービスの提供:司法的な過疎地域の解消のために法テラスの事務所設置などを行う。
- 犯罪被害者支援:犯罪被害者及び家族への刑事手続に関与したり、損害や回復・軽減を図るための法制度に関する情報の提供を行う。
法律全般が対象ですので、 相続関係に限らず、無料で相談にのってくれますので、困ったときに頼りになる存在だと思います。
全国の法テラス事務所の所在地と連絡先は下記サイトをご覧ください。
相続手続き支援センター
民間の事業会社で、既に開業している士業(司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士等)の方々とフランチャイズ的な運営を行っています。
まずは、無料相談から入り見積り書を作成してくれます。この見積書で納得された場合は、有料の相続に関する総合支援サービスを受けられることになります。
各段階の概要は次のとおりです。
見積り書作成まで(無料サービス)
無料相談とは言え、手厚いですので、事前調査結果報告書まで作成してもらうと有料サービスまでいってしまいますね。事前調査サービスの前で、対応される方の感じもわかりますし、自分でできる範囲もわかってきますので、一旦冷静になって依頼するのか、依頼する場合はどの範囲までなのか等を検討されると良いと思います。
- 手続きの概要の説明
- 遺産分割協議書の作成方法、不動産名義変更方法、預貯金・投資信託等解約方法、株式名義変更方法、保険金・遺族年金の請求方法、相続税の申告方法等の説明・アドバイス
- 事前調査サービス(相続人特定・戸籍取得、不動産調査、財産目録作成、相続手続きの特定、完了までのスケジュール、費用見積り)
- 上記の事前調査結果報告書
総合支援サービス(有料サービス)
事前調査結果報告書に納得がいった場合は、有料の総合支援サービスに移ります。主な内容は次のとおりです。
- 専門家(士業)の紹介と専門家と進行・調整をしてくれる。
- 税理士:相続税、確定申告等
- 司法書士:土地・建物の名義変更等
- 社会保険労務士:遺産分割協議書作成等
- 行政書士:遺族年金の給付申請等
- 行政機関・金融機関とのやり取りをサポートしてくれる。
- 街の役場:手続きに必要な書類請求等
- 金融機関: 手続きに必要な書類請求等
- 費用:遺産総額の0.5%を基準(最低10万円、専門家の費用は含まれていない)
費用は、0.5%ですので、例えば遺産相続2千万円とすると10万円になります。これに専門家への依頼費用が加わります。
信託銀行
次の表は、三菱UFJ信託、三井住友信託、みずほ信託銀行等大手信託銀行の相続手続き関係の主な商品です。
各行とも相続手続き全体をサポートする商品が用意されています。また、解約手続き等一部に絞っているサービスもあります。
ただし手数料がばかになりません。信用があるのは重要なのですが、私のような低所得者にはあまり縁のない所なのかもしれません。
例えば、三井住友信託銀行の預貯金・投資信託・国債・保険商品等について、同行の商品であれば0.33%、他社商品の場合はは5千万円以下の部分で2.2%です。これの他に、士業の方への費用も別途発生します。銀行も手数料で稼がなければいけないのはわかるのですが大きいですね。
なお、その他の相続とか認知症対策用の信託銀行の商品については次の記事でも紹介しています。
自分が認知症になった場合の対策として、事前に信託銀行に財産を預ける方法があります。認知症になると本人の口座は凍結されて引き出すことができなくなりますので、残された家族にも大変苦労をさせることになります。この記事では、事前に実施できる、信託[…]
士業の方へ
もしも相続関係に得意で評判の良い方がいれば士業の方にお願いするのが一番安上がりです。ここでは、司法書士と税理士について簡単に説明します。
司法書士
先に説明した相続手続き支援センターに加入している方では、司法書士が多いです。
司法書士は、法務大臣から認定を受けた国家資格で、依頼により裁判所や検察庁、法務局に提出する書類を作成する仕事や登記手続について本人を代理して行います。
相続には自宅の不動産の名義変更が必ずありますので、手数料を節約するためにも最初から司法書士にお願いする手があります。
税理士
相続税の申告は、本人がやらなければ税理士しかできません。これは税理士の排他的な権利として税理士法で守られています。
ただし、相続税には基礎控除がありますので、基礎控除の範囲であれば相続税の申告は不要です。
相続税の基礎控除の計算式は「3千万円+6百万円×(法定相続人の数)」です。残された家族が、奥さんと子供1人の場合は、4千2百万円が控除されますので、この範囲であれば相続税申告は不要です。
なお、配偶者の場合は、法定相続分又は1億6千万円までならば相続税はかかりません。ただし、1億6千万円の方を適用して相続税を0にした場合は、0であっても相続税の申告が必要です。
まとめると
まとめると、相続関係に強く、評判の良い方が近くにいる場合は士業の方にお願いする。
良い方を紹介してもらうのであれば法テラスに相談する。
手続きに不安な場合は相続手続き支援センターに相談・依頼する。
お金に余裕がある場合は信託銀行にお願いする。ということでしょうか。
さいごに
相続はまだまだ先の事と考えています。しかし、準備は早い方が良いですので、まずは知識を広げていくのが良いと思います。意識をしているとご近所の士業の方の評判などにも関心がでてくるのではないでしょうか。
まずはできることから始めてみたいと思いませんか。。。
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