意外とバカにならない生命保険の掛け金、保険金見直しのための必要保障額の計算方法

月4万円の生命保険金を支払っている場合、35年間加入でトータル2,100万円となり大変大きな金額になります。これが貯蓄に回ればどんなに良いかと思いますが、万一の時を考えるとそうもいきません。過大な保険金を掛けている可能性がありますので、生活に合った最低限必要な生命保険金の見積り方法を説明します。

生命保険をかける考え方

偶発的なアクシデントに備えるのが保険です。この中で特に生命保険は、一家の収入面に大きく依存する方が亡くなった後に残された家族が生活に困窮しないよう備えるておく事が目的です。

しかし、必要以上に高額な生命保険金にすると定期的な保険料支払いが多額になりますので、却って今の生活や将来への貯えが減少してしまいますので、まずは必要最低限に費用を見積り、そこから適切な保険料にしていくことが重要になります。

ここでは、残された家族が必要最低限の生活費を想定し、そこから掛けるべき生命保険金額を見積ってみたいと思います。

生命保険金額を見積る上での仮定

生命保険金額は、遺族に必要な生活費から遺族に入ってくる年金等の収入を差し引くことで計算できます。

まず、見積る上での家族構成を次の表のように仮定します。

3人家族で、主な収入を夫に頼っています。奥さんは、3歳年下で、小学校1年生の子供が一人います。

説明する上でかなり単純にしていますので、全体の流れを把握された後は、ご自身のケースで見直してください。

また、年齢も重ねていきますので、数年ごとに見直す事も重要です。

仮定する家族構成
【仮定する家族構成】

必要な生活費

夫が40歳で亡くなくなり次の年から母子家庭と仮定するとその後の最低限の生活費は次のとおりです。なお、住宅ローンがあっても団体信用生命保険(団信保険)に加入していたとして、亡くなった時に住宅ローンが無くなっていると仮定しています。

遺族に必要な生活費
【遺族に必要な生活費】

子供独立までの生活費は、一月当り25万円としています。子供の教育費を除いてその他税金を含めて全て含まれている事になります。

子供独立後の奥さんの生活費は、一月当り20万円と、その前の80%としています。子供が大学を卒業し、就職した後のことになります。この期間の生活費は、家庭により異なりますが、仮定としては以前の70%から80%ぐらいで見積ります。

子供の教育費は、小学校2年生から大学卒業までの期間が必要になります。年間教育費は次のように見積っています。

  • 小学校(公立):40万円/年
  • 中学校(公立):50万円/年
  • 高校(公立) :50万円/年
  • 大学(公立、4年制):60万円/年

これらの数値は、文部科学省公開の下記2点の資料を参考にしましたが、各家庭でどのようにしたいかご希望があると思いますので、その想定値で計算してください。

幼稚園から高校までの年間教育費
【幼稚園から高校までの年間教育費】
国立大学の授業料等
【国立大学の授業料等】

万一の場合の保障

遺族の収入面で見ると、今まで貯めた預貯金の他に、公的年金からの保障、会社からの死亡退職金、奥さんが働く場合の収入等があります。

公的年金からの保障

遺族が受給できる公的年金関係です。

遺族への公的年金の保障
【遺族への公的年金の保障】

遺族基礎年金は、18歳未満の子供が居る場合に支給されます。老齢基礎年金の受給資格は25年以上ですが、令和8年4月1日前の場合は死亡日65歳未満で、かつ滞納期間がなければ受給できます。支給額は、781,700円/月に子の加算(第1子・第2子で各224,900円、第3子以降で各75,000円)ですので、今回のケースでは子が18歳前まで、1,006,600円/年(781,700円+224,900円)が支給されます。

中高齢寡婦加算は、夫が亡くなった時に子供が居ない、または、子供が18歳になった以降の40歳以上65歳未満の奥さんに、586,300円/年が遺族厚生年金に加算されて支給されます。

老齢基礎年金は、奥さんが65歳以降にご自身の老齢基礎年金が支給されます。夫が亡くなった後も奥さんが働き続けると仮定して、満額781,700円/月(合算期間480月)が支給されます。

遺族厚生年金は、子供が居なくとも受給できます。老齢厚生年金の受給資格は25年以上ですが、令和8年4月1日前の場合は死亡日65歳未満で、かつ滞納期間がなければ受給できます。また、被保険期間が300月(25年)未満の場合は300月と見なして被保険者の厚生年金を計算し、その3/4が遺族厚生年金になります。ここでは、単純に被保険者(夫)の厚生年金を1,000,000円/年と仮定し、その3/4の750,000円/年を遺族厚生年金としています。

なお、奥さんが老齢厚生年金を受給できる権利がある場合は、遺族厚生年金と老齢厚生年金の調整が行われ、多い方を選択する事ができます(正確には、遺族厚生年金の方が多い場合は、「奥さんの老齢厚生年金」と「遺族厚生年金から奥さんの老齢厚生年金分を差し引いた額」を合わせた金額が支給されます)。

預貯金と会社からの収入

今まで貯蓄した一家の預貯金と会社に制度がある場合の死亡退職金です。

ここでは、預貯金5,000,000円、会社の死亡退職金を5,000,000円と仮定しています。

奥さんの収入

夫が亡くなった後、奥さんが働いて得られる収入です。仮に奥さんが38歳から65歳前までで年収900,000円としています。

必要な生命保険金額

今回のケースで必要な生活費と保障・収入等の差額を求めると次のようになります。

遺族に最低限必要な生命保険金額
【必要な生命保険金額】

この遺族に最低限必要な生命保険額は、24,165,500円となりましたので、夫にかける生命保険金額は25,000,000円ぐらいが妥当となります。

もしも余裕があれば、次のところで説明する内容を考慮して、この金額にあとどれだけ上乗せするかをご検討ください。

その他留意する事

長い人生には、いろいろなリスクがありますので、もしもまだ余裕があるようでしたら、次の項目についても検討する必要があります。

ただ、子供も成人すると助けてくれると思いますので、それに期待するのも親子ならばありだと思います。

一応参考まで。

  • 家屋の補修費用:10年~15年単位に比較的大きな補修費が発生します。
  • 子供の結婚費用等の援助:可能であれば少し援助を。
  • 趣味・旅行:たまには気分転換に。
  • 自家用車:生活上欠かせない場合もあります。
  • 介護費等:例えば奥さんの介護・施設等です。
  • 冠婚葬祭等のお付き合い:ある程度の割り切りは必要かもしれません。

最近では、生命保険もネット保険会社等が安い商品を売り出しています。貯蓄を兼ねる保険商品もありますが、本来の生命保険に課せられた目的とは異なりますし、利率が良くないので避けて掛け捨てタイプの比較的安価な生命保険商品を選ぶべきだと思います。

なお、家計の収支全体を見渡すには、キャッシュフロー表を作成し、収支を確認・検討・改善する事が大切です。キャッシュフロー表は、次の記事にまとめていますので、ご興味があればご覧ください(なお数値が異なる場合はこの記事の方が最新です)。

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さいごに

生命保険は万一の時に備える目的のものです。必要以上に掛金を増やし高額な保険金を掛ける事は、却って家計を圧迫しますので、適正な保険金を掛けるようにしましょう。

また、貯蓄目的で行う事も目的から外れることですし、財産を増やす目的にはもっと良い金融商品があります。

適切な生命保険の保障額を適切な掛金で行い、ゆとりのある生活を送りたいものですね。

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