年金額の改定方法とマクロ経済スライド、令和3年度の年金額

令和3年度の年金額改定率が発表されました。本稿では、年金額の改定方法とこれに関連するマクロ経済スライド調整率の扱いについて説明します。

年金額改定の計算方法

年金額の改定率は、賃金・物価変動とマクロ経済スライド調整率により決まります。この計算式は、既裁定者と新規裁定者で少し異なります。

大きな違いは、既裁定者は物価変動率が影響し、新裁定者は名目手取り賃金変動率が影響します。ただし、物価変動率が賃金変動率より高い場合は、賃金変動率が使われます。

計算式は各々次のとおりです。

既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)の場合

  • 前年度改定率×物価変動率×マクロ経済スライド調整率

ただし、物価変動の方が賃金変動より高い場合は、賃金変動に置き換えます。

新裁定者(68歳到達年度前の受給権者)の場合

  • 前年度改定率×名目手取り賃金変動率×マクロ経済スライド調整率

ここで、名目手取り賃金変動率は、次を掛け合わせて算出します。

  • 前年消費者物価指数の変動率
  • 2~4年度前(3年度平均)の実質賃金変動率
  • 可処分所得割合変化率(▲0.1%)※令和2年度まで

マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドは、平成16年の年金制度改正によって導入されました。

少子高齢化が急速に進む中で将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように作られた制度で、賃金・物価変動を基に計算される年金額の改定率を緩やかに調整する仕組みになっています。

基本的な考え方

この年金額の調整は、賃金・物価の変動(改定率)がプラスの場合、この改定率から現役の被保険者(国民年金保険では20歳以上60歳未満の働く現役世代)の減少と平均余命の伸びに応じて算出したスライド調整率を差し引くことによって計算します。

つまり、賃金・物価の上昇率からスライド調整率を差し引く事で年金額の改定率が決まります

【年金額改定率のイメージ】※厚生労働省資料から

スライド調整率の計算式は次のとおりです。

  • スライド調整率=公的年金被保険者数の変動率(2~4年度前の平均)×平均余命の伸び率

年金額改定率の調整

ただし、賃金・物価の伸びが小さい場合や下落した場合は、スライド調整率をそのまま適用すると賃金・物価の変動率を下回り年金改定率がマイナスになる場合があります。

このような場合は、スライド調整率を完全に適用せずに年金改定率をゼロにするか賃金・物価変動率と同じマイナス率にします

マクロ経済スライドを適用している間の所得代替率

マクロ経済スライドの調整期間中は、所得代替率を低下されていきます。

所得代替率とは、厚生年金の標準的年金額を男子被保険者の平均手取り収入で割った値になります。つまり、厚生年金給付額が現役世代手取り収入の何割になっているかを表しています。

所得代替率は、現在では60%程度ですが、これを徐々に下げて2043年度には50%台になるような動きをしています(社会情勢により変わります)。これだけでも年金額は減っていきますが、現役世代が少なくなるので仕方のない事なのでしょう。

令和3年度年金額の改定

厚生労働省から令和3年度年金額改定率のプレスリリースが2021年1月22日にありました。次の表は、プレスリリースで示された平均的な年金額の例です(表をクリックするとプレスリリースに移動します)。

【令和3年度の新規裁定者の年金額の例】※厚生労働省

表中の厚生年金の※は平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)を平均収入として 40 年間働いた場合の年金額です。これには、働いていた方(例えば夫)の老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金が入っています。

この厚生年金の場合、夫婦2人の平均世帯で月当たり▲228円ですので、年換算すると2,736円です。

年金額を決める際に使われた指数は次のとおりです。

  • 物価変動率:0.0%
  • 名目手取り賃金変動率:▲0.1%
  • マクロ経済スライドによるスライド調整率:▲0.1%

名目手取り賃金変動率▲0.1%のマイナスです。この賃金がマイナスの場合はマクロ経済スライドによる調整は行いませんので、年金改定率は、名目手取り賃金変動率と同じで▲0.1%のマイナスとなりました。

なお、今回算入しなかったマクロ経済スライドの調整率▲0.1%は令和4年度以降に繰り越されます

年金の財政検証は5年に一度行われますが、直近では2019年度に実施されました。その中でいろいろなケースで年金額を試算しており、経済成長率ゼロの場合でいろいろな改善施策をしたとしても2043年の年金額は20%減となっていました。これからも順調?に年金額は減少していくということです。

2019年度の年金財政検証については、下記にまとめていますので、ご覧ください。

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さいごに

仮に今の時点で年金生活に入ったとしてもこの年金額だけでは生活が苦しいと思います。しかし、平均余命を見ると定年後20年以上残されて人生がありますので、安定した生活を送るためには、少しづつ貯蓄等を取り崩していかなければなりません。

老後のことを考えて、iDeCoやNISAによる資産構築や健康維持のための手当、住宅ローン等借金の返済等々考えれることは早めに手を打っておかなければなりません。

若いうちから老後のことかよぉ~と少々憂鬱になるかもしれませんが、人生ゲーム感覚で気楽にかつ効果的に実行できる事もありますので、まずはできるところから考えてはいかがでしょうか。

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