将来のあなたの年金額はどれだけ減るのか、実質2割減ぐらい

国の年金状況・課題を把握する財政検証は5年毎に行われ、直近では2019年に実施されました。少子高齢化の進展に伴い、年金額が減少していきますが、その減少を抑える対策がオプションとしていくつか示されています。これらは、一部既に年金制度や社会保険の適用要件として反映されています。これらの結果をある程度把握して定年後のライフプランを考えましょう。

結論から(一つのケース)

2019年の年金財政検証では、ケーススタディとして、ケースⅠ~Ⅵまであります。ここでは、経済成長率(実質)0%のケースⅤでの将来の年金額についてみてみます。

前提

ケースⅤの主な前提は次のとおりで、この結果、2029年以降の20年~30年間の経済成長率(実質)は0%と見込んでいます。

  • 合計特殊出生率:1.44@2065年(中位)
  • 平均寿命:男84.95歳、女91.35歳@2065年(余命の延びがほどほどの中位の場合)
  • 物価上昇率:0.8%
  • 賃金上昇率(物価分を差し引いた実質):0.8%
  • 運用利回り(物価分を差し引いた実質):2.0%

なお、合計特殊出生率とは、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示しています。

結論(経済成長率0%として場合)

前述のケースⅤが、実質経済成長率0%の場合で次の表の結果となりました(数値を丸めていますので端数に誤差が生じています)。

ちなみに、ケース毎の実質経済成長率は、ケースⅠで0.9%、ケースⅡで0.6%、ケースⅢで0.4%、ケースⅤで0%、ケースⅥで-0.5%です。

2019年財政検証結果、ケースⅤ
【2019年財政検証結果、ケースⅤ】※社会保障審議会年金部会資料

2019年度では、現役世代の手取り月収(ボーナス込み、税・社会保険料除く)35.7万円に対して、夫婦二人の年金額は月額22.0万円(税・社会保険料込み)、所得代替率は61.7%です。

次の財政検証は、2024年ですので、その年度の予想年金額は21.7万円、今から20年後の2040年の予想年金額は20.8万円、さらにその3年後の2043年に所得代替率が50%となり予想年金額は20.7万円です。

2019年と2043年を比較すると現役世代の手取り月収35.7万円が41.5万円で1.16倍増えていますが、年金額の計は22.0万円から20.7万円と約1割減っています。

所得代替率では、2019年が61.7%で、2043年が50.0%ですので、2043年の年金額は2019年の約8割になります。

つまり、2043年の年金額は金額としては2019年の1割減ですが、実質では2019年の2割減の8割という事になります。これが結論です。

国が考えている施策案

国としては、なんとか所得代替率は50%を下回らないようにいろいろと施策を考えるようです。そのアイデアが、2019年財政検証の資料ではオプションという項目でまとまられています

簡単にオプションとして記載されているアイデアと現状を説明します。いくつかは既に法律として成立しているのもありますので、ほぼ全て実現されるものとして考えておかなければなりません

オプションAとして記載されているもの

  • 被用者保険の更なる適用拡大:例えば今の厚生年金保険の加入条件は、所定労働時間週20時間以上、1か月あたりの賃金が8.8万円以上の従業員数500名超の会社である必要がありますが、従業員数の要件を小さくして適応範囲を広げています(令和4年10月から100人超、令和6年10月から50人超)。

オプションBとして記載されているもの

  • 基礎年金の拠出期間延長:現行40年(20歳~60歳)を45年(20歳~65歳)にします。
  • 在職老齢年金の見直し65歳以上の在職老齢年金の仕組みを緩和・廃止します。
  • 厚生年金の加入年齢の上限の引き上げ:現行の上限を70歳から75歳に引き上げます。
  • 就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大:65歳を超えて70歳、75歳まで就労した場合と受給開始年連を繰下げた場合の効果等を試算しています。

補足:用語の意味

年金制度では、特殊な用語があり分かり辛いと思いますので、いくつか説明します。

マクロ経済スライド

従来は、物価上昇率や賃金上昇率に応じて年金給付額を計算していましたが、少子・高齢化社会の進展により、現役世代の負担が大きくなるため、財源の範囲内で給付費を賄えるように年金額を自動調整する仕組みです。

簡単に言えば、物価上昇率や賃金上昇率よりも年金額の上昇率を低く抑えるという事です。

所得代替率

「夫が平均的収入を得たサラリーマンとして40年間厚生年金の保険料を納め、妻が40年間専業主婦」というモデル世帯を想定し、このモデル世帯の年金額(税・社会保険料込み)が、その時点の現役男性の平均手取り収入(ボーナス込み、税・社会保険料除く)に対し何%になるかを表したものです。

片や税・社会保険料込み、片や税・保険料を除くで数値なので何でだろうと考えてしまいます。所得代替率の数値としては高めになるので気になるところですが、まずはそのようなものだと理解するしかないですね。

さいごに

60歳で定年かと思ったら65歳になり、65歳になったら70歳になろうとしていますので完全リタイアは夢のまた夢でしょうか。日本の年金制度が始まった1960年代の平均寿命は男性約65歳、女性約70歳でしたので、今は更に20年ぐらい寿命が延びていますので、仕方のない事なのでしょう。

どうせ働かなければならないのであれば、自分なりの生き方で過ごしたいと思いますね。お金のために働く事は2の次にして、自分の好きな事で働きたいと思います。

このためにも、例えば、iDeCoやNISA等を活用し、リスクを抑えた投資等を行い、しっかり恒産として蓄え、いつでも自分の道を進んで行けるようにしておきたいものです。

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