退職金はいくらもらえる
皆さん、結婚、子育て、マイホーム等々で貯蓄もままならず、退職時の退職金を大いに期待していると思います。
退職金の目安は、会社からだいたい50歳前後で提示されるのではないかと思いますが、それ以外の方は次の表を参考にしてください(下記表は、厚生労働省「就労条件総合調査」から日本FP協会が作成したものです)。
退職金に対する税金
退職金の受け取り方は、会社の制度にも依りますが一時金として受け取る方式と退職金を原資(退職金の全部または一部)として年金形式で受け取る方式(企業年金)があります。
一時金にかかる税金
退職金は老後を支える大切なお金ですし、長年のご苦労様の意味あり、比較的税負担が軽くなるように配慮されています。
退職所得の計算方法は次のとおりです。
退職所得=(退職金収入-退職所得控除額)×(1/2)
退職所得控除額
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円保証) |
20年超 | 70万円×(勤続年数₋20年)+800万円 |
課税所得
控除額が出たところで、課税所得と税金です。計算方法の詳細は国税庁「退職金と税」を参照ください。
一例を次に示します。
計算例
例えば、勤続30年、退職金2,000万円の場合は次のとおりです。
退職所得控除額=70万円×(30年-20年)+800万円=1,500万円
退職所得=(2,000万円-1,500万円)×(1/2)=250万円
所得税額=250万円×10%-9.75万円=15.25万円
復興特別所得税=15.25万円×2.1%=3,202円
所得税と復興特別所得税が課税され、この他に住民税も課税されます。
この時点の課税を避けるためには、一時金で受け取る額を退職所得控除額一杯の1,500万円以内に抑えると課税は0になります。
このため、一時金を1,500万円、企業年金の原資として500万円とすることや、企業年金は退職後の生活のベース収入になりますので、もう少し多めに、一時金1,000万円、企業年金の原資1,000万円なども考えられます。
企業年金の月当たりの支給金額によりどのような比率にするか考えられてはいかがでしょうか。
公的年金等にかかる税金
退職金を原資(退職金の全部または一部)として年金形式で受け取る場合(企業年金)は、公的年金等控除がありますが、雑所得として課税対象になります。
計算方法は国税庁「公的年金等の課税関係」を参照してください。
退職金は一時金で受け取る方式と年金で受け取る方式のどちらが良いの
年金で受け取る場合は、将来の公的年金や個人年金の分も加えて税額を計算・予測し、他の雑所得と一緒に計算しなければならないので正確に算出するは難しいです。退職金は全て一時金で受け取った方が、私が読んだ中では、トータルの支払う税金は少なくて済むという記事もありました。
私の場合は、会社に企業年金制度がありましたので、次の理由で可能な分を企業年金にし、残りは一時金で受け取りました。
- 企業年金は一生涯の生活資金のベースの一部となる。
- 全て一時金で受け取り資産運用した場合、そのリスクが怖い。使ってしまうかもしれない。
なお、一時金で受け取った分でも、比較的安全なものと少しリスクの伴うもので運用しています。
私の勤めている会社の企業年金は、本人が生きている間は終身(本人死亡時:家族は有期20年)なので、これを老後の生活資金のベースの一部としました。
一方、残りの一時金の部分は安全なものばかりでは無く、少しリスクのある個別株などで刺激のある事も少しやっています。
リスクを伴うものでの運用はインフレリスクを避けるためですし、少々失敗しても企業年金があるので比較的安心です。
皆さんも、無理の無い範囲で考えてみてはいかがでしょうか。
なお、この記事の退職金の受け取り方は、家計の収支を反映させるキャッシュフロー表には重要な要素です。老後の資金的な安心のため、是非、キャッシュフロー表の作成をご検討ください。ご参考までに関連記事を紹介します。
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