積立てた投資信託を定期的に売却して不足する老後生活資金を補うことができる投資信託の定期売却サービスがあります。いろいろな金融機関がこのサービスを実施していますが、ここでは2大ネット証券である楽天証券とSBI証券のサービスについて比較してみたいと思います。
投資信託の定期売却サービスとは
サラリーマンの方は例えば65歳で完全定年となったとして、平均余命をみると、男性が65歳時点で19.83年、女性(奥さんが3歳年下として)は62歳時点で27.34歳です(厚生労働省令和元年の生命表)。男性で約85歳まで、女性で約90歳までとまだまだ長い人生が残っています。※詳細は下記の記事をご覧ください。
老後を安心して暮らせるために必要な資金を年金の観点で説明します。2,000万円問題等で定年までにどのくらい貯蓄しなければならないか良く話題になりますが、想定される生活費から主な収入源である年金額等を差し引く事で算出できます。年金は少し複雑[…]
定年後は、ほとんど年金に頼る事になりますが、もしも年金だけで心もとない場合は、いままで積立てた財産を基に少しずつ取り崩して生活費に補填することになります。まだ20年~30年ぐらい人生が残っているとすると財産の延命も図らなければなりませんので財産の運用しながら取り崩していくのが一つの解になります。
投信信託の定期売却サービスとは、対象の投資信託の銘柄を指定し、定期的に指定した方法で売却・受取る事ができるサービスです。
投資信託を定期的に取り崩していきますが、同時に投資信託として運用してもらいますので、資産の延命も図る事ができます。
楽天証券とSBI証券の比較
最近では、いくつかの金融機関が投資信託の定期売却サービスを取り扱っていますが、会社により若干制度が異なります。
次の表は、投資信託定期売却サービスについて、ネット証券大手である楽天証券とSBI証券の場合を比較したものです。
大まかなところでは、楽天証券は受取方法に、SBI証券は受取日に特徴があります。
個別説明
次に個別の項目毎で比較して見たいと思います。
対象商品
楽天証券は、自社が扱う積立可能な投資信託です 。
SBI証券も、自社が扱う積立可能な投資信託ですが、金額買付できるものが対象になり、口数買付できるものは対象外です。
対象口座
楽天証券は、一般、特定、NISA、つみたてNISA、そして法人口座が対象です。
SBI証券は、一般と特定口座が対象となり、NISA関係は不可です。
受取方法
楽天証券は、金額指定、定率指定、期間指定が可能です。各々の概要は次のとおりです。
- 金額指定:毎月一定額(1,000円以上1円単位)を売却して受取ります。最後に指定解除されるのは、指定売却金額がその時の評価額の50%を上回った場合に解除されます。
- 定率指定:毎月指定した率(0.1%以上0.1%単位)に相当する口数を売却して受取ります。最後に指定解除されるのは、指定した率で算出された金額が最低売却金額1,000円に満たない場合に解除されます。
- 期間指定:指定した最終受取年月から求められる当該年月までの売却回数で、保有投資信託口数を等分した口数分を定期的に売却して受取ります。毎月売却される口数は同じですが評価額が変更しますので、毎月の受取額も変動します。
SBI証券は、金額指定のみが可能です。
受取日
楽天証券は、毎月1日~28日の間で指定します(受取日が休日の場合は前営業日)。売却代金は、楽天証券口座の「預り金」に入金されますが、楽天銀行とのマネーブリッジ設定(自動スイープ)をしている場合は、受取日の22時以降に楽天銀行口座に出金されます。
SBI証券は、次の受取コースが可能です。
- 「毎月コース」「奇数月コース」「偶数月コース」の1日~27日の間、または「月末」から選択できます。
- さらに別途、年2回まで「ボーナス月コース」を設定する事ができます。
また、売却代金は約定日翌日に買付余力に反映され、実際に出金できるのは受渡日以降です。
特記事項
既に述べて事を含めて留意点を記載します。
楽天証券は、次のとおりです。
- ジュニアNISA、未成年口座は指定できません。
- 同一口座で現在積立設定がある銘柄は指定できません。
- 定期売却設定があっても、スポットの売買注文は可能です。ただし、同一注文日での同一銘柄・同一口座区分の売却注文は不可です。
SBI証券は、次のとおりです。
- NISA預りの投資信託は、対象外で指定できません。
- 積立設定がある銘柄は指定できません。定期売却サービスを利用するためには、積立設定を解除する必要があります。
なお、楽天証券とSBI証券にご興味があれば下記をご覧ください。
さいごに
投資信託定期売却サービスについて、楽天証券とSBI証券の比較をしてみました。このサービスに類似しているものとしては、特別分配金(元本から分配金を支払う)を前提としている投信信託があります。
一例として「グローバル・リブリン・オープン(毎月決算型)」があり、一時期人気がありましたが、その仕掛けがわかるにつけ下火になってきています。分かって利用するのであればそれなりの投資信託だと思いますが、信託報酬等の管理費用が1.375%と大きいので気になるところです。
その点では、今回紹介して定期売却サービスを利用すると比較的信託報酬等の安いもので積立運用を行い、老後はそれを定期売却サービスに設定し直すことで第2の自分年金ができるわけです。今まで積立運用でよく分かっている商品を扱うので、なにかと安心なのではないでしょうか。
私も年金生活にどっぷりつかる中で真剣に考えてみたいと思います。
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