JT株主優待廃止と増配のお得度を検証、かえって良かったのでは

日本たばこ産業から株主優待を2022年12月分までで廃止して代わりに12月期予想配当を従来140円から150円に増やすという発表がありました。元々利回りの良い株式ですが、株主優待有り/無しで比較してみましたので説明したいと思います。

日本たばこ産業の株主還元策

日本たばこ産業(以下、JTと称します)は、従来から株式配当が良く、しかも株主優待制度があり、株主を大切にする企業として知られています。簡単に現状の株主優待制度とこの制度の廃止について説明します。

現状の株主優待制度

2021年度の株主優待等は次のとおりです。

  • 株主優待の内容:JT株式を、2021年12月31日時点で100株以上を1年以上継続保有している場合に保有株式に応じて関連グループ商品をプレゼントされます。
    • 100株以上200株未満:2,500円相当
    • 200株以上1,000株未満:4,500円相当
    • 1,000株以上2,000株未満:7,000円相当
    • 2,000株以上:13,500円相当

ここで1年以上継続保有とは、2021年度(2020年12月31日基準日)の場合、同一株主番号で2019年12月31日、2020年3月31日、6月30日、9月30日及び12月31日時点でJT株主名簿に保有株式数100株以上記録されている事です。このため、貸株を実施している場合は株主番号が変わりますので使えません

次の画は、株式優待でプレゼントされる商品の一例です。詳しくは、画をクリックすると株主優待資料の移動しますので、ご覧ください。

【JT株式優待商品の例】
※画をクリックするとJT株式優待案内資料(JT Webサイト)へ移動します。

株式優待制度廃止等について

JTから2022年2月14日15時に株主優待制度の廃止と増配の発表がありました。主な内容は次のとおりです。

  • 株主優待制度の廃止株主優待は2022年12月分を最後に廃止します。このため、2023年以降の株主優待商品の発送はありません。
  • 増配2022年12月期予想配当を前期140円(2021年12月期)から150円に増やします

JT株式の状況

現状のJT株価等と株式優待有り/無し(変更前/変更後)を比較してみたいと思います。

株価と予想配当利回り

次の表は、現時点の株価で変更前(株式優待有り時の会社発表値)と変更後(2022年12月期以降の会社発表値、ただし2022年12月期までは株主優待有りですが)の配当から配当利回り計算し、比較したものです。

株価は2022年2月7日終値で一株2,350円、変更前の配当140円で計算すると配当利回りは5.96%となり、変更後の配当150円で計算すると配当利回りは6.38%です。JTは元々、高配当銘柄ですが、さらに配当利回りが上がっています。

JTの株主優待取止め前後の配当利回り
【JTの株主優待取止め前後の配当利回り】

株数に応じた損得度

次のグラフは、株数に応じて配当金額と配当利回りを変更前と変更後で比較したものです。つまり、変更前では株式優待でプレゼントされる商品を金額換算すると2,500円~13,500円相当になりますので、これを変更前の配当金額に加算したものと変更後を比較してみました。グラフの見方は次のとおりです。

  • 横軸:権利を有する株数を示しています。
  • 左縦軸:「配当額+株主優待商品金額相当値」を示しています。
  • 右縦軸:「(配当額+株主優待商品金額相当値)÷株価」で計算した利回りを示しています。
  • 灰色棒:元々の配当額140円/株と株主優待商品相当値を加算した値を示しています。
  • 黄色棒:2022年12月期以降の配当額150円/株で計算した値を示しています。※2022年12月期で最後にプレゼントされる株主優待商品の相当値は含めていません。
  • 青色折れ線:上記灰色棒で計算された値を株価で除した利回りです。
  • 赤色折れ線:上記黄色棒で計算された値を株価で除した利回りです。
JT株数における配当額及び予想配当利回り
【JT株数における配当額及び予想配当利回り】

これから次の事がわかります。

  • 400株までは、株主優待制度有りの方が利回りが良く、これは当然ながら優待でもらえる商品を金額換算したからです。そして、500株からは、今回増配された新しい配当額(2022年12月度以降で配当150円/株)で計算した方が利回りが良くなっています

JT株を400株以下で保有されている人は、だいたいが株主優待狙いの個人株主ではないでしょうか(私もその一人です)。先の「JT株式優待商品の例」を見ると、(100株~200株保有で)4,500円相当の商品がプレゼントされます。株主優待商品を金額換算するとここまでは金額的に悪くなっていますが、500株以上ではこれまで以上に配当利回りが良くなっています。

つまり株式を多く保有する人ほどメリットがあるという事です。例えば、JTの筆頭株主は国(財務大臣)で発行株式に対する所有率は33.35%(2021年12月31日現在)ですので、国庫に入る配当も多くなります。JTが扱うたばこは「たばこ税」の他にJT株式の配当も国庫に納められていろいろな所で役立っています。

そして実際にお金としてもらえる配当は増えていますので、株主優待商品のファンでなければ400株以下の株主も今回の変更は実質的に良かったのではないかと考えています。

さいごに

高配当で株主優待があるJT株は長く保有しています。確かに株主優待でいただく商品はオマケ感覚なので得した気にはなるのですが、残念ながらその商品自体にそれほど魅力があるとは言えません。私の場合は、優待商品をカップ麺で毎回いただいていたのですが、他の商品も食べたくなるんですね。

このため、昨年JTから株主優待に関するアンケートがあった際に、「株主優待を止めてその分配当を増やして欲しい」と書きました。今回の株主優待制度廃止はそのような回答が多かったのも理由の一つかもしれません。

株主優待制度廃止に伴い、それらの商品を作っていたグループ企業は影響を受けると思います。これらの動向を見守り、長期保有を続けていきたいと思います。

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JT株主優待制度廃止と増配の発表
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