ウクライナ危機で株式市場の世界的な低迷が続いており、米国市場指数に連動したETFや投資信託も大きな影響を受けています。株式投資では、安定・安全という意味では積立購入が間違いないのですが、このような低迷時期にスポット購入を検討する事もよいと考えています。日本市場より通常反騰が早い米国市場指数に連動した米国ETFのスポット購入について検討してみます。
米国市場と日本市場
次のグラフは、NYダウ(ニューヨーク・ダウ平均株価指数)と日経平均(日経平均株価指数)とドル円為替レートとの5年間の比較チャートで、NYダウの方が約2倍の株価上昇となっています。また、ドル円為替レートはそれほど大きな変化が無い事がわかります。
NYダウと日経平均の差は、長期で見るとさらに大きくなりますので、株価連動のETF(上場投資信託)や投資信託では、米国株式の方が有利です。
また、その他の先進国株式や新興国株式も米国株式と強い正の相関がありますので、ここでは米国株式指数でみていきたいと思います。
比較する米国ETFの概要
本当は積立投資信託で比較したかったのですが、銘柄数が多く、若干とはいえ為替レートの影響を受けますので、分かり易さ優先で、米国株式の次のETFで比較して見たいと思います。全世界のVT、米国市場のVTI、米国市場500社のVOO、米国NASDAQのQQQです。
- Vanguard Total World Stock Index Fund ETF(VT):全世界の先進国・新興国株式市場を対象にしています。TikerコードはVTです。
- Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF(VTI):米国市場のほぼ100%の株式を対象にしています。TikerコードはVTIです
- Vanguard 500 Index Fund ETF(VOO):米国市場の大型株500銘柄の株式を対象にしています。TikerコードはVOOです
- Invesco QQQ Trust Series 1(QQQ):米国NASDAQの中で金融機関を除いた時価総額上位100社の株式を対象にしています。TikerコードはQQQです。他と比較すると経費率が高いのが気になります。
各銘柄の信託報酬率や分配金利回りは次のとおりです。
比較チャート
米国ETF銘柄の株価を1年間及び5年間のチャートで比較してみます。なお、これらのチャートは、Google Financeの機能を使った作成しています。
1年間の比較チャート
まずは、1年間の比較チャートです。
コロナ禍から立ち直り傾向にありましたが、最近の米国利回り上昇予測とウクライナ危機のため低調が続いている状態です。
その中でも、VOO(S&P500)とQQQ(NASDAQ100)が比較的ましな傾向です。
5年間の比較チャート
次は5年間の比較チャートです。QQQ(NASDAQ100)が最も良く、次にVOO(S&P500)とVTI(ほぼ全米国株式)が続き、最後にVT(全世界)です。
結果と応用
結果をまとめると次のとおりです。
- QQQ(NASDAQ100)の株価が最も良い結果です。先端企業やベンチャー企業が多く含まれているNASDAQで、その中から100社に絞られているのが良いのでしょう。
- 次が米国株式のみのVOO(S&P500)とVTI(ほぼ全米国株式)です(数値でみるとVOOが若干良い傾向)。
- 全世界株式を対象にしたVTIがこの中では株価低調です。
対象が、全世界よりも米国市場、さらにそれよりも先端企業が集まるNASDAQという結果です。これらの米国ETFを積立て購入しても良いのですが(銘柄により購入時無料キャンペーンを実施中の証券会社もあります)、投資信託の銘柄を一例として挙げると次のとおりです。
- NASDAQ:
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(信託報酬率0.4950%)
- eMAXIS NASDAQ100インデックス(信託報酬率0.440%)
- VOO:
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(信託報酬率0.0968%)
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(信託報酬率0.0938%)
- VTI:
- SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(信託報酬率0.0938%)
- VT:
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(信託報酬率0.1144%)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))(信託報酬率0.1102%)
さいごに
突発的なウクライナ危機と米国金利上昇懸念があり、世界的にリスクの高い株価変動が続いています。まるでチキンレースをしているような状態です。ロシアはGDPこそ並みの国になりましたが、依然として資源大国ですので、貿易や金融が止まる一国に留まらず両刃の刃として米国・日本にも大きな影響があります。
このような状況では個別株式の取引はリスクが大きくなり、暫くは距離を置いた方が良いと思います。そのような中でも積立投資信託は比較的安心できますが、とはいえ大きく落ち込んだ時にはスポット購入を考えるのも良いのではないかと思い、この記事をまとめてみました。
早く、ウクライナ危機も良い方向で終息していただきたいもので、わが身を思えば老後資金を保全するために自分で可能な事をリスクを極力避けて手を打っておきたいものです。
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