定年後のNISAの運用について再整理してみました、国債は対象外

定年後のNISA口座の金融機関変更を考えています。この機会にあらためて今のNISAを整理し、何に投資していくか考えてみました。預入れ期間にもよりますが、定年後なので一般NISA5年間以内の運用で比較的安定し、値上り益も期待するとやはり米国株式市場や少しは保有したい金(ゴールド)をターゲットとする米国株式・ETFが中心にしたいと考えています。

NISAとは

NISA(ニーサ:Nippon Individual Savings Account)とは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益(売却益や配当・分配金など)が非課税になる制度です。金融商品の対象は、株式や投資信託などで預貯金や国債等は対象外です。

NISAの種類

現行制度では、成人が利用できる一般NISAつみたてNISAと未成年が利用できるジュニアNISAの3種類があります。主な特長は次のとおりです。

一般NISAとつみたてNISAは併用できず年単位の選択性です。また、ジュニアNISAは2023年末で終了し、これを含めて2024年から新NISA制度が始まります。

  • 一般NISA:株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。ロールオーバー(非課税期間終了後の保有資産の翌年非課税枠への移行)は可能です。
  • つみたてNISA:一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。ただし、ロールオーバーは不可です。
  • ジュニアNISA:20歳未満に人が対象です。株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。2023年末で終了します。

NISAのメリットとデメリット

簡単にNISAのメリットとデメリットを整理すると次のとおりです。

  • メリット
    • 売却益や配当金・分配金等が非課税です。
    • 限度内であれば、いつでも購入・売却が可能です。
  • デメリット
    • 売却時に損失が発生しても損益通算や損失繰越しが出来ません。
    • 開設できるNISA口座は、一つの金融機関に限り一口座だけです。なお、金融機関は1年単位で変更可能です。

主な対象商品と非対象商品

NISAの目的は、私たちの投資スタンスを預貯金から株式・投資信託等金融商品へ移行して資産形成を促す事です。このため、NISAの対象金融商品と対象にならない金融商品がありますので、これを簡単に説明します。

一般NISAの対象金融商品

一般NISAの対象金融商品は、次のとおりです。これらの商品を一般NISA口座で保有すれば、5年間は売却益、配当金・分配金等にかかる税金が非課税となります。              

  • 国内株式・ETF(上場投資信託)
  • 国内REIT(不動産投資信託)
  • 投資信託
  • 海外株式・ETF
  • 新株予約権付社債(ワラント債)

つみたてNISAの対象金融商品

  • 一定要件を備えた投資信託:金融庁が認めた長期・積立・分散投資された投資信託が対象です。

一般NISAの対象とならない金融商品

非対象金融商品は次のとおりです。債券は対象外ですので、個人向け国債も対象外です。

  • 非上場株式
  • 預貯金
  • 債券
  • 公社債投資信託
  • MMF・MRF
  • eワラント
  • 上場株価指数先物
  • FX(外国為替証拠金取引)
  • 金・プラチナ

定年後に狙う商品

定年後は無理は厳禁です。大きな損失は一発アウトになる可能性があり、挽回が困難になります。このため、次に方針で臨みたいと思います。

  • 比較的価格が安定しており配当金・分配金利回りの良いものに投資する
  • 一般NISA5年間フル活用にこだわらず、途中でもある程度利益が生じた場合(例えば10~20%程度)は売却して利益を確定する。※NISAは損益通算・翌年繰越ができないので。

以下、対象金融商品の一例を

NISA対象商品の一例

比較的価格が安定しており配当金・分配金利回りの良いものとなると個別株式はリスクが大きくなりますので、避けたいところです。また、やはり世界の市場は米国中心なので、為替の動向に注意しなければなりませんが、米国をターゲットにした金融商品になると思います。

一例としては次のとおりです。

区分商品経費率利回り
国内REITケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人3.83%
投資信託_世界株式SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま)0.1102%
投資信託_米国株式eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.0968%
投資信託_世界債券eMAXIS Slim 先進国債券インデックス0.154%
投資信託_金SMT ゴールドインデックス・オープン0.275%
米国ETFバンガード トータルストックマーケットETF(VTI)0.03%税抜1.66%
米国ETFSPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)0.07%税抜4.15%
金ETFSPDRゴールド ミニシェアーズ トラスト(GLDM)0.18%税抜0%
※2022.11.11現在値

国内株式相当として比較的安定しているヘルスケア系(+住宅系)のケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人のREITを入れました。株式同様に保有後の経費は発生しません。

投資信託は、利回りの下になる配当が再投資されますので表面に現れません。

海外ETFとしては、米国ETF2点と金ETF1点です。米国ETFのSPYDは高配当株式ETFと謳うだけあり4.15%と高い利回りです。また、金ETFは配当が発生しませんので利回り0%です。

この他に類似商品もありますので、ご自身の考えに会ったものをご検討ください。できるだけ初期費用が不要で経費率の低い商品を選ぶのが鉄則です。

NISA非対象商品の一例

米国市場が中心といっても今の円安では、為替差損が気になると事です。このため、一時的に資金を退避しておくのが良いかもしれません。一例としては次のとおりです。なお、利率等は2022年11月11日現在の値です。

  • 個人向け国債:基準金利が変動し、最低利率0.05%が保証されている商品です。直近の変動10年(第152回、2022年11月)の場合は税引前利率0.17%です。原則1年間下ろせませんので、一時退避というよりは長く備えておく商品です。
  • ハイブリッド預金・マネーブリッジ:ハイブリッド預金はSBI証券と住信SBIネット銀行間、マネーブリッジは楽天証券と楽天銀行間の自動入出金用サービスです。ハイブリッド預金は0.01%マネーブリッジは0.1%と金利が優遇されています。
  • 米ドルを保有している場合:もしも米ドルを既に保有されている場合の方法です。円貨から購入する場合は為替リスクが発生し、かつ為替手数料が別途必要です。
    • 米ドル建MMF:SBI証券の米ドル建MMF(ゴールドマンサックス)で平均利回り3.2380%(2022年11月11日現在、税引前)です。最低1ヶ月間保有の条件があります。
    • 米ドル建定期:住信SBIネット銀行(NEOBANK)の場合、1ケ月もので2.1%1年もので3.4%です。
    • 米ドル建普通預金:住信SBIネット銀行(NEOBANK)の場合、金利0.9%です。住信SBIネット銀行とSBI証券では、外貨即時決済サービスがあり、無料で米ドル等外貨を移動する事ができます。SBI証券に保有する米ドル等を外貨即時決済サービスで一旦住信SBIネット銀行に移動させておくという方法もあります。

さいごに

現在、米国FRBによる政策金利上げの影響で株式市場が混迷しています。今回はNISAに係る金融機関変更に伴い、再度、NISAの運用をどうするか整理してみた内容を記載しました。

NISAは2024年から新たに制度が変更されますが、それも少し視野に入れて引き続き検討したいと思います。

利用制限が多いNISAですので、もう少し分かり易く、金融変更も簡単にできる使い勝手の良い制度にしていただきたいと思うのは私だけでしょうか。

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