今まで国民健康保険や会社の健康保険に入っていた方は、75歳(一定の障害のある方は65歳以上)からは後期高齢者医療制度に加入します。まだ先のことですが、我が家のキャッシュフローを作成する上で、どの程度保険料がかかるのか気になるところです。このため、後期高齢者医療制度の主に保険料について調べてみました。
後期高齢者医療制度とは
後期高齢者医療制度とは、75歳(一定の障害のある方は65歳)以上の方が加入する独立した医療制度で、それまで国民健康保険や健康保険に入っていた方は、75歳以降からこの医療制度に加入します。運営は、住んでいる都道府県ごとに設置された広域連合で、保険料の徴収や各種窓口業務は市区町村の担当窓口が行っています。なお、対象となる高齢者は個人単位で保険料を支払います。
保険料の見積り
我が家のキャッシュフローを作成するためには、75歳以降の必要な保険料もある程度明確にしなければなりません。私も、まだそれほど関心がありませんでしたが、今回初めて後期高齢者医療制度で必要な保険料の見積りをしてみました。初めての見積りなので少々見落としている個所があるかもしれませんが、その場合は随時修正していきます。
被保険者等の前提
保険料の見積りをするための前提は次のとおりです。
- 神奈川県のある市に在住し、夫婦二人のみ
- 夫75歳、収入:年金200万円(基礎年金79万+厚生年金121万円)のみ
- 妻72歳(3歳下)、収入:年金82万円(基礎年金79万円+振替加算3万円)のみ
- 夫は会社の特例退職被保険者制度に75歳前まで加入し、妻はその扶養者
保険料のしくみ
後期高齢者医療保険料は、一人ひとりが均等に負担を行う「均等割額」と、所得に応じた負担を行う「所得割額」から構成されます。平成31年度の保険料は次の計算式です。
後期高齢者医療保険料額=均等割額(※41,600円/年)+所得割額(※所得金額×8.25%)
なお、後期高齢者医療制度に加入する前日まで被用者保険(会社の健康保険など)に加入していた場合や所得に応じた軽減があります。
さらに、65歳以上で公的年金等控除を受けている方は、公的年金所得から高齢者特別控除として15万円を控除した金額になります。
被用者保険(会社の健康保険など)に加入していた場合の軽減
会社の健康保険などの被用者保険に継続して加入していた方は、所得割額の負担は無く、均等割額のみの負担となります。さらに、平成31年度以降については、加入後2年間(加入した月から24カ月までの期間)に限り、均等割額が5割軽減されます。つまり保険料は次のとおりです。
・夫の保険料:当初2年間20,800円/年、それ以降41,600円/年
・妻の保険料:75歳になるまで国民健康保険料を納付…後半で説明
参考:所得金額の算出方法
今回のケースではあてはまりませんが、ご参考までに均等割額の軽減判定の対象となる総所得金額と所得割額の賦課の基となる所得金額の計算方法を記載します。対象者はこの所得金額を基に保険料を算出していくことになります。
・均等割額:軽減判定の対象となる総所得金額等
=年金収入〇〇万円-公的年金等控除120万円-高齢者特別控除15万円
・所得割額:賦課のもととなる所得金額
=年金収入〇〇万円-公的年金等控除120万円-基礎控除33万円
※〇〇には自分の年金収入を入れます。
神奈川県在住で該当する方は、下記を参照ください。
妻の保険料
夫が会社の健康保険(今回のケースでは特例退職被保険者制度)に入っているときは、被扶養者として同じ健康保険でしたが、夫が後期高齢者医療制度に加入すると、奥さんは自分が後期高齢者医療制度に入る前まで国民健康保険に加入することになります。
このように会社の健康保険に加入していた方が後期高齢者医療制度へ移行することにより、その被扶養者ではなくなった奥さんが国民健康保険に加入する場合は、所得割額の負担はありません。また、7割・5割の軽減に当てはまる場合を除き、奥さんの負担する均等割額及び平等割額は、加入して2年間(資格取得月から24か月間)半額になります。
私の住んでいる自治体では、奥さんの国民健康保険料は次のとおりです。
・奥さんの国民健康保険料(均等割額+平等割額):60,880円/年
ただし、当初2年間は30,440円/年
これ以外の軽減処置は、今回のケースでは年金額が軽減の条件を超えていますので残念ながら受けることができませんでした。
保険料は住んでいる自治体により異なりますので、自治体名と「国民健康保険の軽減制度」や「国民健康保険 算出方法」とかを入力し、検索してみてください。
保険料をまとめると
上記の夫分と奥さん分の保険料をまとめると下表のとおりです。夫は、75歳・76歳の2年間、また奥さんも同時期の2年間は本来の保険料の1/2に軽減されています。また、被用者保険からの移行ということで所得割も0に軽減されています。あらためて日本では会社員が優遇されているのかなという思いです(その分会社が負担しているのでしょうが)。
まとめ
後期高齢者医療制度の保険料をケーススタディで算出してみました。正直、以外と保険料が高いなというのが印象です。今回は、平成31年度の計算式を基に算出しましたが、社会保険財政逼迫の折、より厳しいものになっていくと予想されます。均等割等が2年間と限定されたのも平成31年度からで、それまでは、2年間という縛りは無かったのですから。
今回の結果をライフプラン(キャッシュフロー等)に反映して家計の収支を確認し、早め早めに対策を考えていきたいと思います。また、引き続き、国の社会保険の動きを注視していきたいと思います。