株式市場が活況です。その反面、金(ゴールド)の市場は一時期の上昇基調から調整段階に入っています。市場が落ち着いているこの時期にあらためて金の投資信託について検討するのも良いかもしれません。最近では、金のETFと費用的には同等の投資信託が出てきていますので、合わせて紹介します。
金価格の推移
金の価格は、海外では1トロイオンス(約31.1g)のドル建ての値が使われます。例えば現在の価格は1887.5ドル/トロイオンスです。
次のチャート図は、ドル建て金価格の月足チャートです。従来最高値は、2011年でしたが、2020年8月最高値を更新しましたが、その後は調整段階に入っています。
最近の株式市場は、上昇下落の動きが乱暴ですが、徐々に下値を切り上げているので、これを反映しているのだと思います。
しかし、このような時期こそ金投資を冷静に考えてみるのも一興です。とはいえ、上記チャートでもわかるように金も必ずしも完璧な安全な資産とはいえませんので、一極集中は避け、分散投資の一つとして見るべきです。
金価格変動の特徴は次のサイトにまとめていますので、ご興味があればご覧ください。
金価格が順調に値上がりしています。比較的安定感のある金について、特長を整理し、上昇の理由と投資の可能性を考えてみました。金の価格と性質金の価格の決め方は、海外では1トロイオンス(約31.1g)のドル建ての値が使われます。例[…]
金投資信託の比較
次の表は、金投信信託の代表的な銘柄を比較したもので(2020年11月13日時点)、ネット証券のSBI証券、楽天証券、マネックス証券での対応状況を現わしています。
ここで管理費用とは、信託報酬率を含み投資信託を保有している間にかかる費用です。
また、「為替ヘッジ」とは、ドル建ての金を購入・売却するためには日本円⇔ドルに交換する必要がありますが、その時の為替の影響を受ける事になります。この為替の影響を極力なくしているのが「為替ヘッジあり」で、為替の影響を考慮しないのが(つまり為替の影響を受ける)「為替ヘッジなし」です。
上記表の比較項目以外で、各銘柄に共通する特徴は次のとおりです。
- 金価格(国内、海外、世界)に連動するインデックス型投資信託
- 売買手数料無料のノーロードタイプ
- NISAは利用可、つみたてNISAは利用不可
この中で、最も管理費用が少ないのは「SMTゴールドインデックスオープン(為替ヘッジなし)(為替ヘッジあり)」です。まだ純資産が少ないですが、これは設定日が2017年で運用期間が短いためです。
一般的に純資産が多い方が投資信託として安心できますが、今回の場合は金が投資対象であり、管理費用が安いのでこれからどんどん増えていくと思います。
次にこの投資信託について見ていきたいと思います。
SMTゴールドインデックスオープン
この投資信託の主な特徴は次のとおりです。
- 委託会社は、三井住友トラスト・アセットマネジメントです。
- 基準価格と連動する指標(インデックス)は、LBMA金価格(1トロイオンス当たりの金現物価格)です。
- 投資家からの集めた資金をマザーファンド(比較的費用が安く安定しているファンド)に再投資して運用します。現在は、ETF(上場投資信託)の「iShares Gold Trust」、「SPDR GOLD Shares」に再投資しています。
- 「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」の両タイプがあり、管理費用は共に0.275%です。
ヘッジ無しの騰落率
次の図は、この「SMTゴールドインデックスオープン(ヘッジ無し)」の交付目論見書に掲載されている騰落率です。
期間は2015年6月~2020年5月の各月末における直近1年間の騰落率の平均・最大・最小を、当ファンド及び他の代表的な資産クラスについて表示したものです。期間が比較的短いので、一例として見てください。
新型コロナウィルスでミソが付きましたが、期間5年間と短いとはいえ、平均値を見ると良い値です。一番良いのは先進国株で、意外に日本株も良い成績です。金投資信託(当ファンド)は、比較的平均値も良く変動が少ない結果となっています。
ヘッジありの騰落率
次の図は、この「SMTゴールドインデックスオープン(ヘッジ有り)」の交付目論見書に掲載されている騰落率です。
ヘッジ有りの方が、ヘッジ無しより少し変動幅が大きくなっています。誤差の範囲でしょうが、現状ではヘッジ無しの方が安定していて平均利回りも良いという結果です。
先の主な特徴に上げたとおり、現在再投資しているのは米国ETFの「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」と「SPDRゴールド・シェアーズ」です。これらのETFを私たちが購入する場合は、管理費用が、0.25%、0.4%ですので、よくこのファンドで管理費用0.275%に抑えていると関心してしまいます。
金を購入する意味
金は安全資産なので、資産の5%~10%程度は保有した方が良いと一般的に言われます。しかし、つみたてNISAでは、今回あげた金の投資信託が利用できません。
これは、金投資信託は当然ながら金だけに投資するのでこれだけでは分散投資にならない、利息・分配金が無く資産を増やすためには値上がりする事しか期待できない等が理由のようです。
しかし、先の騰落率を見るとリターンは先進国株式等に劣りますが、比較的安定感は良く、今回の新型コロナショックがあってもある程度安心です。
この他に金価格は株式市場と逆相関が通常ですので、分散投資の一つとして金投資信託は考えるべきだと思います。
また、金への投資には、似たような金ETF(上場投資信託)についてはどうなのでしょうか。
金ETFには、先ほどの「iシェアーズ・ゴールド・トラスト(管理費用0.25%)」の他に「SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(管理費用0.18%)」があり、一般的に金投資信託よりも管理費用が低いのが特徴です。
しかし、ETFは株式同様に売買時に手数料が必要であり(SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラストは楽天証券では購入時の手数料無料)、日本円・米ドル交換時の費用も必要なので、あまりメリットがありません。
あらためて今回紹介した金投資信託のメリット・デメリットを整理すると次のとおりです。
【金投信信託のメリット】
- 価格が比較的購入しやすく、安定している。
- 積立が容易で売買手数料が無料(ノーロード)。
- 一般的に株式指標と逆相関にあり分散投資の一つとして有効。
- 現物資産(金)への投資なので比較的安心感がある。
- 一般NISAが利用できる。
【金投資信託のデメリット】
- 配当金・分配金が無いので値上がり益しか期待できない。
- 金投信信託だけの集中投資はリスクが大きい。
- つみたてNISAが利用できない。
金投資信託等を詳しく知りたい方は、ページ右サイドにSBI証券、楽天証券等のバナーがありますので、そちらでご覧ください。
さいごに
金投資信託について見てきました。繰り返しになりますが、金は安全資産なので資産の5%~10%程度は保有した方が良いと言われています。
今回の新型コロナウィルスの影響で一時期は上昇基調が続きましたが、今は調整段階に入ったようです。金価格は、なにかショックがないと動意しないようですので、落ち着くと退屈になるほど価格変動が少なくなります。
株式投資のようにリスクと取って大きな値上がり益を得る事を考えるのもたまには有りだと思いますが、あくまでも分散投資の一つとして金投資信託を入れることで保有資産の安定につながると思いますので、検討されてはいかがでしょうか。
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